労働法、組合について

2005.12.11

「40歳までのキャリアプラン」に「結婚・出産」を入れるべきか。

ある広告代理店のエントリーシートで「入社して40歳までに、どのような人生の計画を考えますか?」という課題が課されています。これに関し女子学生から「結婚や出産といったことも書かなければいけないのでしょうか」という相談がありました。

この件について、知り合いの社会保険労務士の先生にヒアリングしたところ、以下のような意見をいただきました。

・この会社は社員のキャリア形成支援に力を入れている。新卒採用にこのような課題を課すのは、その人の価値観やどのようなプロフェッショナリズムを目指すのか、そのためにどんな心構えや計画を持っているかを知りたいのであろう。

・キャリア・プランは2年先くらいまでの近未来、5年先、10年先、ライフ・プランといったスパンで記述するのが一般的。近未来は自己の能力開発などの実行計画を、遠未来は昇進・昇格や結婚・出産などのライフ・イベントをも想定して書くもの。

・一般論でいえばこの設問は職業観や信条、キャリアゴールを問うものであるため、自分の考えを率直に記述すればよいと思われる。ただしこれは建前であって、結婚・出産に対する取り組みは企業や組織のカルチャーによって微妙に異なるのが現実。この会社の福利厚生の方針や施策の具体的な内容なども念頭に置いて記述することが勧められる。

この話からも分かるとおり、キャリアプランというのはプライベートも含めた自分の人生と密接なものだと言えるでしょう。自分の人生の多くの時間を費やす会社がどのようなキャリアプランを支援してくれるかは、会社を選択する、または勤務している側からすればとても重要なことです。

しかし学生のキャリアプランを「選考の材料」にするということはいかがなものでしょうか。

今、日本の抱える諸問題の根源は「少子高齢化」だといえます。子供を2人、3人と持ちながら仕事ができる環境を整えるのが日本の課題であり人気企業の務めです。会社に子供を作ることはできません。企業の社会的責任(CSR)の基本は今や社員の子育て支援にあると言えるのではないでしょうか。

とはいえ、女子学生にとってこの質問では「出産」をどう表現するかが最大の難関です。果たして2人まして3人子供を持つと、このエントリーシートに書くことができるでしょうか。1人が限界の社会では少子は進行するばかりです。また男子学生が「育児休暇をとる」と書けるでしょうか。

人生は自由であり、結婚も出産も計画的にはいきません。その時々に人生の転機があります。個人的な意見ですが、会社が「選考の材料」としてキャリアプランを書かせるのは、その企業が出産・育児に関して男女の区別なく全面的な支援の姿勢をもっている場合に限るべきだと考えます。出産・育児への対応について事前に学生へ十分な説明がなされない中でこのような設問があるとすれば、それは不適切なものだといわざるを得ません。

この会社で育児支援に関する事前説明があったかは分かりませんが、社会保険労務士の先生の指摘にあるとおりこの会社はキャリア形成支援に力を入れている企業であり信頼できると思われます。今回のケースに限っていえば堂々と自分の考えを書くことが大事であり、入社後にそれをきちんと履行してもらうようにしましょう。

しかし子育て支援の姿勢がない会社がこのような質問を出せば、当落を決める材料にする恐れがあります。上記社労士の指摘の通り、その会社の福利厚生の方針や具体的な内容をきちんと調べることが重要です。

※この課題に取り組むには、山本直人氏(元博報堂人事ディレクター)の「グッドキャリア キャリアがブランドになる時」が参考になると思います。ぜひご一読を。

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2005.09.02

立場の線引き。

組織における立場と役割は、誰がその立場に立とうと不変です。言い換えれば「組織では立場が先にあり、人は後から当てはまる」と言えます。人は着任している間にその立場での役割を遂行する存在にすぎません。

労働組合の役員は常に組合員の選挙で選ばれます。誰が役員になろうとそこでの立場に当てはまることには変わりはありません。当然その役員が現場で働いている間は一従業員である立場にも変わりありません(職場を離れて労組専従になる場合を除く)。

組合役員に着任した人は任期中は従業員代表の立場として経営幹部と交渉します。しかしそのことでその役員が職場で不利な状況に追い込まれることはありません。これはそもそも「不当労働行為」という違法行為ですが、それ以前に会社も組合役員自身も組合の立場と職場での立場をきちんと線引きしているものなのです。

話し合いや交渉をすることが敵対関係であれば、営業活動も親子関係も成立しません。一方で「交渉は仕事」という当たり前のビジネス感覚が、仲間内の人間関係を重視する日本人には欠けているのも事実でしょう。しかしそれでも待遇を維持発展させるためにも交渉は必要です。このため誰か代表に託して交渉してもらう労働組合という仕組みは極めて日本的なものとも言えるでしょう。

労働組合の要職(委員長、副委員長、書記長)の在任中に昇進させ労働組合から脱退させることは、労働組合の弱体化になるため法律で禁止されています。したがってその期間は昇進しないわけですが、それにもかかわらず組合役員は選挙で選ばれた代表者であることを自覚し、責任をもって任期をまっとうします。そして次世代にその立場を譲り、普通の社員に戻ります。

しかし、たとえ一時期でも従業員代表として会社と話し合い合意していく経験をすることは経営全体を俯瞰するいい機会でもあり、その経験を買われむしろ昇進が早くなることも少なくありません。これもまた日本的会社のあり方そのものと言えるのではないでしょうか。

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2005.08.29

あなたの立場、労働組合の立場。

会社にとって従業員は重要なステークホルダー(利害関係者)ですが、同時にモノやカネと同様、企業のリソース(資源)のひとつでもあります。ステークホルダーとリソースの違いは「立場があるかどうか」です。

労働組合はまさに「従業員の立場」を代表する団体です。一人一人はただリソースに過ぎなくても、集まることによって初めて「ステークホルダー」としての立場が顕在化できるのです。

今ではどこでもストライキによる賃金闘争はありません。その組合は代わり職場の身近な問題について交渉します。例えば移動費や残業代の未払いがあれば本人に代わって支払うことを求め、残業代が利益を圧迫するようであればそもそも残業しないですむように仕事のあり方(時短や有給取得の促進)を提案します。評価や異動はもっとも不満の現れることですが、労働組合があればそれらの改定に参画することも少なくありません。労働組合や従業員組織に相当するものがなければ、これらのような職場の問題が「自発的に」解決されることはありえません

あまり関係ない(と自分が思っている)相手や事象に対しては、その立場に思いを巡らせることもなく切り捨ててしまいがちです。しかし実はその相手の立場が自分の立場に直結していることも少なくありません。一番代表的な例が親と子の立場です。親の愛情のもとでも子は反発し、親を否定します。しかし自分が成長し社会とのかかわりを持つにつれ親の立場が理解出来るようになり、自らが人の親の立場になってはじめて自分が反発していた当時の親の気持ちを実感するのです。

みなさんはもうすぐ社会人です。みなさんにはもう「保護者」はいません。就職活動を通じ親の有り難みも分かり、親の立場は実は自分の立場そのものだったと気づいたかも知れません。これからは「血縁」でつながった家族から「立場」でつながった社会に飛び出します。労働組合は外ならぬみなさん自身の立場を代表するものであることを、ぜひ認識しておいて下さい。

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2005.08.27

労働組合は会社の「敵」なのか。

労働組合という組織は従業員代表という立場で会社と交渉します。このため「会社と労働組合はお互いを敵視しているのでは」と思っている人もいるようです。

そもそも「敵」という言葉はどういう意味なのでしょうか。大字泉で引いて見ると

1 戦い・競争・試合の相手。「大国を-に回して戦う」「-の意表をつく」「-をつくりやすい言動」味方。

2 害を与えるもの。あるものにとってよくないもの。「民衆の-」「社会の-」「ぜいたくは-だ」

3 比較の対象になる相手。「-のほうがもてる」「弁舌にかけては彼の-ではない」

4 遊里で、客と遊女とが互いに相手をさしていう語。相方。おてき。
「-もをかしき奴(やつ)にて」〈浮・一代男・二〉

5 (「的」とも書く。代名詞的に用いて)多少軽蔑して、第三者をさしていう語。やつ。やつら。
「-めもえらい痴呆(へげたれ)めぢゃ」〈滑・浮世風呂・前〉
(大字泉)

とあります。「敵視」という場合は、2の「害を与えるもの」という意味と考えられます。ということは、会社にとって労働組合は「害を与える」存在なのでしょうか。

株主が資本を、従業員が労働力を提供することで、会社は利益をあげていきます。当然配当や人件費を抑えれば会社に利益がたまりますので金銭的には一種の「利害関係」にあるといってもいいでしょう。しかし3者とも会社という組織体の継続性を共通の前提としています。したがってその利害関係は「話し合い」による建設的な解決が可能なのです。労使関係を「敵視」「敵対関係」とするのは全くの誤解であるとしか言いようがありません。

とは言え世の中きれい事だけでは済みません。確かに労組と会社がうまくいっていないところは存在します。「社長が労働組合を嫌っている」などと公言している場合もあるようです。

しかし明白なステークホルダーに対してそのようなことを公言すること自体、経営者失格であることは言うまでもありません。オーナー社長やワンマン社長にありがちなパターンですが、そもそも企業を取り巻くステークホルダーの存在自体を軽視している可能性も高いといえます。監査部門すら正常に稼働していないかもしれません。

本当の「敵」とは国内であれば裁判、国外であれば場合によっては戦争でしか解決しない関係のことを指すのです。軽々に相手のことを敵と呼ぶのは、敵を増やすだけにしかならないと心得るべきでしょう。

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2005.08.25

会社の立場、従業員の立場。

いきなりですが、「立場」とは何でしょう。大辞泉では

1 人の立つ場所。立っている所。
2 その人の置かれている地位や境遇。また、面目。「苦しい―に追い込まれる」「負けたら―がない」
3 その状況から生じる考え方。観点。立脚点。「医者の―からの発言」「賛成の―をとる」「第三者の―」

となっています。この定義を見ると、社会とはまさに「立場の集合体」と言えます。

働いている人には「社会人」という共通の立場があります。同時に「雇用されている」人にはさらに「従業員」、古臭い言い方で言えば「労働者」という立場に立っています。

従業員とは「会社の定めた就業規則と業務命令に従うことで対価を得る立場」であることを意味します。従業員の意見を聞くことは経営者の重要な施策ですが、個々の従業員と交渉することはありません。会社の経営判断は絶対であり、理不尽な決定や施策がされても、それに従いたくない従業員は辞表を出すしかありません。サービス残業に代表される違法行為も、(労基署の摘発など)表に出なければ従業員は泣き寝入りするだけです(いかなるみなし労働制度の会社でも、夜22時以降の残業代を出さないのは例外なく違法です)。

しかし従業員の方にも「会社に雇われているのだから仕方がないじゃないか」という人はいます。しかし本当に従業員が自分自身の立場を捨て、会社の立場だけを擁護したらどうなるでしょうか。

それは問題を助長するだけです。相手が柔順で交渉するつもりがないと分かれば、もっと自分の都合のよいようにするのは当然の道理です。結局はたまった不満が我慢できなくなったころに退職者が続出し、会社はその分を見越して大量の新卒を採用します。そして会社はそれまでの未払残業代という「隠れ債務」をこっそりチャラにするのです。「払ってください」と言われなければ払わないのはビジネスでは当然のことです。そのような「サイクル」で経営を回している会社は結構あります。

会社の立場を配慮するのはとても大事なことですが、自分の立場を捨ててしまうのは極めて危険なことであり、何の利益もないことだと覚えておいてください。

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2005.08.19

労働組合は常に従業員を代表するか。

労働組合が必ずしもその会社の従業員代表になるとは限りません。法律上自動的に労働組合が従業員代表となるには全社員の過半数を占める組織率が必要とされます(過半数組合)。例えば月20時間以上の残業を命じるときに必要な「36(さぶろく)協定」では過半数組合があるところはその代表者が会社と締結しますが、過半数組合がなければ全従業員が投票で従業員代表を選ぶ必要があります。

とはいえ労働組合自身の規約により管理職を組合加入資格から除外しているところがほとんどです。したがって非管理職(いわゆる平社員)の過半数が加盟していても、管理職の比率が高い会社では全社員の過半数に達しない組合も少なくありません。

ほとんどの会社で、会社内で組織されている労働組合を事実上の従業員代表と見なしています。それは組合員と非組合員で人事諸制度を分けて施行することは困難であり、労働組合と合意してはじめて従業員全体に適用することになるからです。また非管理職の過半数が加入していれば「現場社員の代表」には変わりありません。このため労働組合の組織率は「有資格者(組合が加入対象とみなしている職位にある社員)」を基準(有資格者組織率)に過半数を超えることを最低限の目標値とします。この数字が小さい労働組合の発言力は弱いことは言うまでもありません。

本blogサイトでは「労働組合=従業員代表」と書くことがありますが、上記のような前提であることを念頭に置いておいてください。

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2005.08.15

好きなだけ長く働けるか。好きなだけ多く残業代を稼げるか。

従業員の中には「仕事が面白いので働きたいだけ働きたい、いくら働いても飽きない」「クライアントが自分を信頼していつでも相談してくる。期待に応えたい」と思っている人もあるでしょう。しかしそれは労働基準法が許しません。従業員が好きなだけ働きたいと言っても、経営者がその従業員まかせにすることは許されません。

あなた自身が自分の好きなだけ働きたいのであれば、従業員の立場ではなく、自ら事業を興し経営者の立場になる必要があります。経営者に労働法の加護はありません。また、働いた時間に比例して収入が上がるという保証もありません。経営者に時給という概念はないのです。

法律どおりきちんと残業代が支払われることで36協定がずるずると運用されていくと、従業員も「残業代がもらえるならいくらでも働いてもいいだろう」という雰囲気になり、会社側も配置転換や人員増などの具体的な改善施策をせず目をつぶっていきます。そして長時間労働が度を越していき、健康悪化、メンタルヘルス問題、過労死、過労自殺などの原因になっていくのです。

労働組合はあくまで労働法に則った団体であり、特に長時間労働が問題とされる広告業界の労組はこの問題から目をそらす訳にはいきません。とはいえ組合員のすべてが労働法の精神、成り立ちを知っている訳ではなく、時間管理については労組内でよく議論が出てくるのも事実です。しかしこれは運送会社の従業員が「なぜ高速道路にスピード制限があるのか」「なぜ積荷には重量制限があるのか」と(会社や労組に)クレームを言っているようなものです。

健康と安全、そして法律は、決して利益と取引できません。従業員側も、自分の健康は自分自身だけのためではなく両親や家族のためにも大事であるという原点を、時々でも思い起こす必要があります。

もちろん、会社自身も。

(2004年09月16日に発表したものを再掲載)

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2005.08.12

残業時間上限の協定を超えても、残業代は支払わなければいけない。

言うまでもありませんが、ある月に定められた残業時間の上限の労使協定(36協定)を締結している会社で、結果としてその上限を超える残業量になった場合も、すでに仕事が提供されている以上会社は残業代を全額払わなければいけません。仮に全社の36協定で月間40時間(毎日平均2時間、17時半が終業時間なら平均19時半まで)を上限とし、ある従業員が結果的に月間60時間残業をした場合(20時間分の36協定違反)でも、会社はその時間相当の残業代を全額を支払う義務があります。

仕事を提供したことが分かっていて会社が対価を支払わないということは、自分で追加注文した料理分をただ食いすることと同じです。36協定超過分を払わないのは、オーダーストップ後に無理してつくってもらった料理を食い逃げするようなことです。

労働基準法はあくまで「働かせる立場(会社)を」規制する法律であり、働く側(従業員)を規制するものではありません。マネジメント者は、その残業相当がもっと効率的にできるのであればその社員に働き方の適切な指導や業務命令をしなければいけません。また明らかに業務量が過剰であれば適切な時間に収まるよう業務自体を減らさなければければいけません。

このような施策の結果として、業務効率を賞与(ボーナス)の査定に反映することは問題ありませんが、やってしまった残業代を支払うか支払わないかの判断をする権利は会社にはありません。多くの会社では適切な指導もなく、サービス残業(残業代の不払い)が横行しているようです。これには会社の無策以外にも社員側の無知と職場全体の風土によることも多く見られます。

残業代を会社が支払わない場合は従業員が労働基準監督署に申し出ることで「未払賃金」として会社に支払わせますが、労働組合があれば労働組合が代わりに会社に指摘することができます。会社も役所の命令を受けるのは恥ですので、組合の話を聞くはずです。

労組がある会社では、グチを言う前にまずは組合に入ることが重要です。

(2004年09月14日に発表したものを再掲載)

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2005.07.22

身元保証人の責任。

企業に雇用されるときには、「身元保証人」を求められることがほとんどです。この身元保証とはどのようなものでしょうか。

身元保証ニ関スル法律は、

第一条  引受、保証其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ期間ヲ定メズシテ被用者ノ行為ニ因リ使用者ノ受ケタル損害ヲ賠償スルコトヲ約スル身元保証契約ハ其ノ成立ノ日ヨリ三年間其ノ効力ヲ有ス但シ商工業見習者ノ身元保証契約ニ付テハ之ヲ五年トス

第二条  身元保証契約ノ期間ハ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ若シ之ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ期間ハ之ヲ五年ニ短縮ス
○2 身元保証契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得但シ其ノ期間ハ更新ノ時ヨリ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ


となっています。

分かりやすく言えば、名称にかかわらず、被用者(就職する人)がしたことで使用者(会社)が受けた損害を賠償することを約束する契約は、原則3年、最長5年でその保証期間を終えるということとなります。仮に会社が提示した契約書にそれ以上の期間が明示されているとしても無効な契約となります。

身元保証は損害を賠償する意味で重大な役割ですが、お願いする側としても期間が最大でも5年間であるということを覚えておくといよいでしょう。万が一あなたが6年後に横領で捕まっても、身元保証人に賠償請求が行くことはありません。

さらに気になるのは、もし身元保証期間内に退職したくなった場合に身元保証人に迷惑がかかるかということですが、民法(第八節雇傭)第六百二十七条が定めるように(期間の定めのない=原則として定年まで勤務する)雇用契約はいつでも解約でき、契約解除通知後2週間で契約が終了するとなっています。

いつでも解約できる契約というのは変な感じでしょうが、雇用は憲法第二十二条の職業選択の自由に基づく特殊な契約なのです。すなわち、普通に退職する分にはなんら損害賠償の対象にはなりません。会社に身元保証を求められても、そのことによって勤務し続けることを強制されることはないということです。

かといって身元保証は気軽にお願いできるものでもありません。きちんと礼を尽くし、社会人となる心構えをきちんとプレゼンし、快諾してもらってください。

身元保証については「法、納得!どっとこむ」に詳細がありますのでご参照ください。

(2004年06月05日発表のコラムを再録)

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2005.07.17

最低賃金法と制裁規定の制限。

7月15日、ある保険会社の社員が営業成績によって増減する給与制度で平均給与約21万9000円のところ成績により額面で11万5000円、手取り額が約2万2000円とされ、生存権を定めた憲法に違反するなどとして仮処分を東京地裁に申し立てたと報じられました。このニュースを見たとき、「最低賃金法」と「制裁規定の制限」のどちらにも抵触しているのではと、調べてみました。

最低賃金法とは

賃金の低廉な労働者について、事業若しくは職業の種類又は地域に応じ、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

という法律です。

最低賃金は地域別に定められています。平成16年時点での最低賃金の平均は時給665円、最高時給は東京都の時給710円、最低は青森、沖縄他の606円となっています。雇用者はこの金額以上の待遇で賃金を支払わなければならず、違反した場合は1万円以下の罰金となります。

正社員雇用であれば一般的に少なくとも1日7時間勤務、月間実働20日として140時間労働となります。この場合東京都では99,400円、青森・沖縄でも84,840円が月給の最低ラインということになります(税・社会保険差し引き前の額面)。

また、賃金(各種手当や賞与を除く給料部分)をカットすること(減給)は「制裁」でしか行使できず、労働基準法第91条「制裁規定の制限」

第九十一条  就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

と定められています。

この保険会社の例で言うと最低賃金法はかろうじてクリアしているようですが、賃金を調べてみると2004年4月初任給実績によると大学卒で初任給21万2500円以上、30歳入社8年目の固定給月給が35万円となっており、この社員が同条件の正社員であれば明らかに労働基準法91条に違反していると見られます。

日本においては賃金(月給)と賞与の二段階になっているのが一般的であり、賞与はゼロベースでいくらでも変更できますが、賃金部分は労働基準法91条がある以上一時的な制裁という理由以外で切り下げることはまず不可能です。このようなことは労働組合があればすぐ指摘できることです。この会社には組合員数4,626人にもなる労働組合がありますが、制度を導入する上でどのような合意をしたのでしょうか。

しかし年俸制と呼ばれる制度では給与と賞与の境目がなく、カットする上で成果と制裁の区別がつきません。何がミニマムで何が加算部分がはっきりしていない成果主義は、恣意的で危険な運用をされる恐れもあるのです。

これから社会に出る学生の方も「会社が決めたことだから仕方がない」では都合よく使われるだけです。労働組合のあるなしにかかわらず、社会人として最低限の労働法の知識は持ち合わせておくべきでしょう。あなたが経営者になるときこそ、労働法の知識がないでは済まされないことになるのです。

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2005.05.17

年収で社長を越えるサラリーマン。

5月16日、「長者番付1位はサラリーマン」という記事が大々的に報じられました。

成功報酬は運用成果の2割 投資顧問、不振なら解雇も

 タワー投資顧問の清原達郎運用部長が、サラリーマンとして初めて高額納税者のトップに躍り出た。高度な金融技術を駆使して「ハイリスク・ハイリターン」を狙うヘッジファンド系の運用会社には「成功報酬として、年間の運用成果の2割程度を支払う」(外資系証券)のが一般的という。
 ただ、成績が上がらなければ解雇もありうる厳しい身分で、一般的な日本企業で働くサラリーマンにとっては、まだまだ“別世界”と考えた方がよさそうだ。
 ヘッジファンド系運用会社は会社の規模や組織形態にもよるが、個人がたたき出したもうけが、かなり直接的に給与に反映する仕組みになっている。大ざっぱにそろばんをはじくと清原部長は顧客に対して、500億円を大幅に上回る運用成果をもたらしたことになる。

このニュースは広告業界で働くものとして「現場が利益を稼いでいる会社」の人事制度における大きな示唆を感じます。

メーカーなど、多大な設備投資を伴う事業は、ヒト、モノ、カネの3資産の運用について経営トップしか判断できないことがあります。メーカーや銀行では仕事の規模に合わせて決裁権があり、上に行かなければ大きな仕事はできないという構造があります。しかし、ファンドマネージャも広告の仕事も、現場の判断が利益を生み出す業態です。私たちの仕事で上司の決済がなければその提案ができないということはかつて聞いたことがありません。今回のニュースは(この会社の社長がよっぽどうまい節税対策をしていない限り)、自分よりも高い報酬を出すことを決断したという点で歴史的な認識を社会にもたらした功績は大きいのではないでしょうか。

社員を成果主義で処遇するためには、その前にその会社のクライアントに対する成果の評価があるはずです。しかし現在の成果主義は往々にして縮小均衡にある利益をどう理屈をつけて配分するかに腐心しているような気がしてなりません。今も利益の取り合いが労使交渉だという「旧来の価値感」が存在するのも事実です。

今回の象徴的な処遇を目の当たりにすると、一律的な交渉以外にこのようなバッファを持っていることが会社にも組合組織にとっても一定のメリットになるのではというヒントになると思います。。市場環境が上向いてきた今だからこそ、ゼロサム・縮小均衡を打破できる知恵が労使で絞り出せるのではないでしょうか。

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2005.04.28

社長報酬「594円」まではよかったが…。

ウィルス対策ソフト大手「トレンドマイクロ」が4月23日朝に配布した更新ファイルに不具合があったという事故で、問題が収拾するまで社長報酬を「594円」にするという報道がありました。

(前略)チェン社長は、障害を肝に銘じるために、給料を問題のパターンファイルのバージョン番号「2.594.00」にちなんだ594円に大幅に減給。チェン社長は「最後のユーザーのパソコンが復旧するまで給料は594円にする」と話した。
 また、マヘンドラ・ネギ代表取締役CFO(最高財務責任者)は「顧客の環境を復旧する支援はするが、損害賠償は検討していない」と、障害があった企業などに対する損害賠償はしないことを明言した。 (中井 奨=日経ソリューションビジネス)

PCトラブルを回避するための企業がPCに悪影響を及ぼすということは病院の院内感染・医療ミスに近く、根本的な信用問題となります。このような不祥事に直面した場合、メディア対応の初動が極めて重要です。今回の役員報酬「594円」という象徴的な責任の取り方はメディアにも取り上げられやすい、とてもいい措置だったのではと思っています。

しかし4月27日の日経MJ企業総合面で、トレンドマイクロ社は「『最後の1台が復旧するまで』検査担当者の給与を50%カットする」ことを発表したと報じられました。これが事実だとしたら残念ながら法律違反と言わざるを得ません。

労働基準法第91条では「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半分を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。」と定められています。したがって、トレンドマイクロ社が担当者の1日分の賃金の「50%カット」をするのは合法ですが、減給の総額が月給の10%を超えるような場合は法律に抵触することになります。検査の担当「役員」であれば労働者ではないので問題ありませんが、取締役でない従業員はすべて上記制限の対象となります。

もちろん担当者の不注意が原因であれば、その担当者が(法律の範囲内の)社内処分を受けるのは当然です。しかし現場担当者に法律を越えた処分をするということは別次元の問題であり、同時に担当者を全面に出した処分は、その会社ワークフローが極めて属人的であり、チェック態勢の考え方自体ができていないのではと思わせます。

この会社は外資であり社長も外国人女性の方のようです。全体的には危機管理としてはよくできたメディア対策をしたのではと思います。しかし日本の労働法をよく知らないということも別な批判を受ける恐れもあるでしょう。ここは日本ですので適切な対応をしていただければと思います。

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2005.04.19

「内定」と「内々定」の違い。

新卒採用の過程で「内定」と「内々定」という言葉が使われます。法的にどんな違いがあるのか、内定の取消しはどんな場合に可能なのか。神奈川県商工労働部労政福祉課の労働問題対処ノウハウ集からの抜粋を紹介します。

一般に新卒の採用は、企業の募集案内(誘引)→学生の応募(労働契約締結の申込み)→試験・面接→採用内定の通知(申込みに対する承諾)→労働契約(解雇権留保付の就労始期付労働契約)の成立、という経過をたどります。契約成立の時期と履行(就労開始)の時期の間に数ヵ月またはそれ以上の期間があるために慣習的に「内定」という言葉が用いられています。内定は採用内定通知書の交付と入社同意書または誓約書の提出という形で文書化されるのがふつうです。

企業が内定を取消すことは労働契約の解約すなわち解雇となります。企業には労働基準法20条の解雇予告(30日以上前の予告または30日分以上の平均賃金に相当する解雇予告手当の支払い)の義務があるほか、内定者を不適格などとする客観的で合理的な事由がなければ解雇そのものが解雇権の濫用と解され無効とされます。

これに対して正式な内定通知に先立って「内定と理解して(考えて)もらってよい」「採用の予約をさせてほしい」などと遠回しな表現で採用の内意を口頭で伝える場合があります。これは「内々定」と呼ばれ、正式な採用内定手続きが後日行われることの通知であるといわれます。法的性質については議論があり、内々定はまだ承諾の意思表示であるということはできず、労働契約が成立しているとは解せないという意見もあります。そうなると内々定の取消しは労働契約の解約でなくなり、法的効力において内定と大きな違いがあることになります。

内定の取消しは、その事由が内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような合理的事由があると認められ、かつ、社会通念上相当とされるものであれば可能とされます。たとえば次のような事由が考えられます。

①学生側の事由によるもの
・単位不足などにより学校を卒業できなかった場合
・所定の免許・資格が取得できなかった場合
・心身の病気その他の理由により勤務できないことが明らかな場合
・履歴書の記載内容や面接時の発言内容に虚偽があり、採用内定通知までにそのことを知ることができない理由があり、その内容が採否判断の重要な要素である場合
・採用に差し支える犯罪行為(破廉恥罪など)があった場合
②会社側の事由によるもの
・企業に新規採用を不可能とするような予測不能な経営事情が発生した場合(経営不振を事由とする場合は、「整理解雇の4要件」に照らして解雇が有効かどうかが判断されることになります。)


●内定取消・内定辞退のときのチェックポイント
・現在すでに内定になっているか、内々定の段階か。
・取消事由はどんな内容か。
・内定通知書や入社誓約書等に記載されている取消事由はどうなっいるか。
・内定を辞退する場合の予告期間はどのように定められているか。

●内定期間中の研修に関するチェックポイント
・提出済みの入社誓約書等にその研修に参加することが明示されていたか。
・記載されていない場合、その研修は職務に関係のある内容か。
・卒業試験や卒業論文などの学業に支障をきたさないか。

●採用延期になった場合のチェックポイント
・就労予定日、延期事由、給与の取扱いはどうなるか。

顧問社会保険労務士の先生にお聞きしたところ、内定取消が不当と思われる場合は、

①まず企業の住所地を管轄するハローワークに相談する
②解雇ルールに反するような労基法違反の可能性があると思われる場合は労基署に相談する


というのが順当な対応策です。

ただし、①については、内定が10月1日の就職協定日前に出されたものであるかどうか、その企業の求人をハローワークが受理していたかどうかで、対応のし方が異なるようです。たとえば神奈川県では大学新卒には就職協定が適用される以上、協定日前には内定そのものが存在しえない、したがって取消問題があっても関与しない(関与したくない)ということのようです。

いずれにせよ内定は必ず文書でもらうことが肝腎で、文書が届くまでは内々定にすぎない、というくらいに考えた方が無難なようです。

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2005.02.13

「40歳までのキャリアプラン」に「結婚・出産」を入れるべきか。

ある広告代理店のエントリーシートで「入社して40歳までに、どのような人生の計画を考えますか?」という課題が課されています。これに関し女子学生から「結婚や出産といったことも書かなければいけないのでしょうか」という相談がありました。

この件について、知り合いの社会保険労務士の先生にヒアリングしたところ、以下のような意見をいただきました。

・この会社は社員のキャリア形成支援に力を入れている。新卒採用にこのような課題を課すのは、その人の価値観やどのようなプロフェッショナリズムを目指すのか、そのためにどんな心構えや計画を持っているかを知りたいのであろう。

・キャリア・プランは2年先くらいまでの近未来、5年先、10年先、ライフ・プランといったスパンで記述するのが一般的。近未来は自己の能力開発などの実行計画を、遠未来は昇進・昇格や結婚・出産などのライフ・イベントをも想定して書くもの。

・一般論でいえばこの設問は職業観や信条、キャリアゴールを問うものであるため、自分の考えを率直に記述すればよいと思われる。ただしこれは建前であって、結婚・出産に対する取り組みは企業や組織のカルチャーによって微妙に異なるのが現実。この会社の福利厚生の方針や施策の具体的な内容なども念頭に置いて記述することが勧められる。

この話からも分かるとおり、キャリアプランというのはプライベートも含めた自分の人生と密接なものだと言えるでしょう。自分の人生の多くの時間を費やす会社がどのようなキャリアプランを支援してくれるかは、会社を選択する、または勤務している側からすればとても重要なことです。

しかし学生のキャリアプランを「選考の材料」にするということはいかがなものでしょうか。

今、日本の抱える諸問題の根源は「少子高齢化」だといえます。子供を2人、3人と持ちながら仕事ができる環境を整えるのが日本の課題であり人気企業の務めです。会社に子供を作ることはできません。企業の社会的責任(CSR)の基本は今や社員の子育て支援にあると言えるのではないでしょうか。

とはいえ、女子学生にとってこの質問では「出産」をどう表現するかが最大の難関です。果たして2人まして3人子供を持つと、このエントリーシートに書くことができるでしょうか。1人が限界の社会では少子は進行するばかりです。また男子学生が「育児休暇をとる」と書けるでしょうか。

人生は自由であり、結婚も出産も計画的にはいきません。その時々に人生の転機があります。個人的な意見ですが、会社が「選考の材料」としてキャリアプランを書かせるのは、その企業が出産・育児に関して男女の区別なく全面的な支援の姿勢をもっている場合に限るべきだと考えます。出産・育児への対応について事前に学生へ十分な説明がなされない中でこのような設問があるとすれば、それは不適切なものだといわざるを得ません。

この会社で育児支援に関する事前説明があったかは分かりませんが、社会保険労務士の先生の指摘にあるとおりこの会社はキャリア形成支援に力を入れている企業であり信頼できると思われます。今回のケースに限っていえば堂々と自分の考えを書くことが大事であり、入社後にそれをきちんと履行してもらうようにしましょう。

しかし子育て支援の姿勢がない会社がこのような質問を出せば、当落を決める材料にする恐れがあります。上記社労士の指摘の通り、その会社の福利厚生の方針や具体的な内容をきちんと調べることが重要です。

※この課題に取り組むには、山本直人氏(元博報堂人事ディレクター)の「グッドキャリア キャリアがブランドになる時」が参考になると思います。ぜひご一読を。

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2005.01.10

なぜ広告労協は自由に就活支援ができるのか。

先日のコラムに書いたとおり、会社員という立場では一定規模以上の就活学生支援では、その会社の就業規則の制限という問題に直面します。それならば就業規則下におかれない労働組合という立場なら可能なのでしょうか。

電通労組やADKユニオンといった単体の組合が自社の志望者への支援活動をする大義名分も少なく、実施したとしても会社説明会との線引きもあいまいになるため、会社側も広報的観点からある程度のすり合わせを求めてくることになるでしょう。実際、組合の時間的・人的・金銭的負担も考えると実現は困難です。

このような壁を越え、労働組合の連携に着目したのが広告労協Fさんでした。彼は特定の会社でなく「広告業界で働きたい」という学生を、個々の組合の協力のもと広告労協が主体となって支援するという、かつてないスキームを創り出しました。その最初の試みが、2002年3月3日(日)に飯田橋で開催された「広告業界就職フォーラム2003」です。

F氏と親しかった私は、彼の構想を聞くなりぜひ参加させてほしいと申し入れました。必ず学生のニーズがあり自分たちは役に立てる、しかも労働組合活動としても意義があり個々の会社の干渉を受けずに独自のポリシーで運営できる、なにより若い人たちと接することで自分も学べることがある、私は一瞬にしてそう直感しました。案の定イベントは大盛況で、参加したスタッフもみな組合という存在がこのような形で若い世代へ貢献できることに驚いていました。

私を含め、広告業界就職フォーラムでのパネリストや模擬面接会の面接官は、原則としてすべて広告労協から各加盟労組への依頼によって協力している「組合員」です(したがって組合のない会社や広告労協非加盟の博報堂従業員組合からの参加はありません)。このため協力者はみな社員として個々の会社のことを話す立場にはありません。広告労協という枠組みがあるからこそ「広告業界で働く者」という立場から自由に発言でき、学生に貢献できるのです(もちろん自分の発言や行動には自己責任を負いますが)。

このように広告労協の新卒支援は自主的に活動できる一方いくつかの制限事項があります。このあたりの事情をよく理解した上で、広告労協の活動やイベントに参加していただければと思います。

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2005.01.08

就職支援と、就業規則。

社員として会社に勤務し給料をもらうためには、その会社が定めた就業規則に従わなければなりません。就業規則は就職する「前に」必ず提示され、それに合意することにより雇用契約が開始されます。

就業規則の代表的な項目は就業時間や有給休暇、給料の支払日や退職金規定、業務命令への服従や報告義務などですが、会社への届け出や許可がなければ禁止される事項も定められます。

同時に就業規則に関連し就業規則違反をした社員を処罰するための規定(懲戒規定、戒ちょく規定などといいます)も設けられます。懲戒規定により、違反社員の戒告、減給、出勤停止、降格、諭旨退職(ゆしたいしょく、自主的に退職するように諭す。退職金は支給されるのが一般的)、懲戒解雇(ちょうかいかいこ、会社側から雇用を解約する。一般的に退職金は没収)といった処分が下されます。

懲戒では業務上横領など刑事犯が対象になるのはいうまでもありませんが、「(社業に関することで)許可なくマスメディアに出演したり取材を受けてはならない」「届け出なく出版や講演をしてはならない」といった項目が定められていることが大半です。「広報も会社の業務のひとつ」と「業務上知り得たことの守秘義務」という、会社の根本的なルールがその原点にあります。また許可するかどうかは本人の希望や社会的意義の程度ではなく、会社にとっての(有形無形の)利益不利益という観点で判断されます。

インターネット就活全盛の時代、就活関係イベントでこの問題が発生することがあるようです。

OB/OG訪問程度なら慣習上問題視されませんが、不特定多数が参加する公募イベントに社名を使って無許可で出演したことが会社に分かると、会社から本人にクレームが入り場合によっては処分されることがあります。また少なからぬ謝礼を受け取っている場合は「金品授受、副業禁止」という規則違反も加わる可能性があります(もちろんあらかじめ会社から許可を得ていればなんら問題はありません)。

学生への就職支援は社会人側ができるボランティアとしてきわめて有意義であり、OB/OG訪問の受け入れなど無名の草の根活動は各所で行われています。しかし規模が拡大し一般にその存在が告知されるようなレベルになると「社員」と「個人」の線引きが必要になってきます。特に若い社員の方は就業規則に詳しくないので要注意です。

また学生側も、例え内輪のものだろうが社員が会社に許可をとっていようが、社員の個人名をネット掲示板に書いたりするのは論外であると心得てください。内輪の掲示板でもパスワード制限がない限り情報を公にさらしていることと同じです。主催している学生は、自分やスタッフが書かないことは言うまでもありませんが、参加した学生にも徹底するようにしてください。

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2004.11.03

プロ野球の「現状復帰」。

11月2日、注目されたプロ野球「新規」参入は、楽天が選ばれました。2種類の垂れ幕を用意した仙台市民は、楽天の方を掲げ祝いました。

しかし最終形を見る限り、パリーグはもとの6球団となります。新規参入は高橋オリオンズ以来54年以来と報じるメディアもありますが、新しい本拠地を持つ球団が誕生したということであれば、南海ホークスがダイエーに譲渡され福岡に本拠地を移したことと何ら変わりません。プロ野球はやっと「現状復帰」したに過ぎません。

個人的に納得いかないのが、プロ野球機構が「新規参入球団の審査結果について」でコメントしている、

ライブドアは金融事業の業績変動が経営に大きく影響する可能性があり、楽天の場合は、一つの事業の業績変動は楽天全体の業績に与える影響が限定的だと考えられます。

という点です。

少なくともパリーグの球団を見る限り、この2社についてこのようなことを言える立場にないことは明白でしょう。両社とも球団自体の黒字化を目標としており、親会社が支えることができるかどうかは二の次のはずです。自らを振り返れば、株の不正売却で株価が暴落したり、親会社が産業再生機構に入っている球団すらあります。業績変動のリスク分散でいえば、食品や飲料業界は一つのトラブルであっという間に信用を失なうことがあるということをどう考えるのでしょうか。日本語ではこのようなことを「噴飯モノ」といいます。

今回の現状復帰は、球団合併とプロ野球選手会のストライキという、世論を大きく動かした事象が背景にありました。選手会とりわけ古田敦也選手会長とライブドア堀江貴文社長が立役者であり、破滅への道を止め、歴史を「切り開いた」貢献はとても大きいものでした。

2日の決定には、ライブドアの参入表明をバックにした選手会側に事実上完全にやられた機構側が、その原動力となったライブドアに対して今さら参入を認めるわけにはいかないという「結論」を最初から決めていたと、誰もが思っているでしょう。自分の置かれた立場を抜きにした今回の発表自体、そのことを自ら証明しているのではないでしょうか。

結果として歴史上「勝った」のは楽天でした。確かに申し分ない会社です。広告会社に勤務するものとして、新しい風を吹き込んでいただきたいと思っています。一方、ライブドア堀江社長には、労働者・労働組合、そして世論のバックに立ってくれたことに、労働組合の役員として敬意を表します。

今後のプロ野球の現状復帰「以上」のことを楽天に、そして新たな開拓精神をライブドアに期待したいと思います。

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2004.09.27

「妥結」とは何か。

9月25日朝日新聞朝刊スポーツ面で「代替試合、結論先送り」と報じられました。ストで実施されなかった2試合分をどうするかという話が、今実行委員会で議論されているということです。

これに関連し朝日は同面で[そもそも代替試合という発想がおかしい。職場でストライキがあった。労使が妥結したからといって、経営者側からストライキの分、残業しろと言えるだろうか」とのコラムを掲載しています。

代替試合については、まさに朝日の指摘するとおりです。ここまで実行委員会が愚かな議論をするのであれば、9月23日の妥結調印時に「代替試合は行わない」と明記しておくべきだったのでしょう。

ストライキというのは、経営者の業務命令を労働法上の権利をもとに拒否することです。選手はすでにストライキ期間の年俸をカットされることに合意しています。「ドッグイヤーとプロ野球。」の回でもコメントしましたが、経営者がこのストライキを労働法に基づくものでなく不当であるというのであれば、交渉決裂後にでも試合を行うよう仮処分申請など法的手段を講じておくべきだったと思います。

妥結」を辞書で調べると、

利害の対立する二者が、同意に達して約束を結ぶに至ること。双方が互いに折れ合って、話がまとまること。

となっています。すなわち、それまでの紛争をすべて収めるという合意が「妥結」です。妥結・妥協とはお互いに100点満点のものではありません。それが故に、お互いが真摯に話し合って定めた合意項目を尊重し、過去の問題をすべて精算すべきです。

朝日の記事では落合監督の

「代替試合は出来ない。これだけ世の中を巻き込んだ選手会のストを軽く見るな」

というコメントも掲載されました。この言葉で代替試合問題は終了です。

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2004.09.24

「労働組合」とプロ野球。

プロ野球界を揺るがした労使交渉は歴史的な合意をもって終結しました。以下が合意内容となっています。

1、 NPBは、来季(2005年シーズン)に、セパ12球団に戻すことを視野に入れ、野球協約31条、32条に基づくNPBの参加資格の取得に関する審査(以下「審査」という)を速やかに進め、適切に対応する。

2、 審査は、実行委員会の下部組織として組織される「審査小委員会」が担当し、審査開始後1か月を目処に実行委員会およびオーナー会議に答申する。来年(2006年シーズン)以降の審査については、第三者を委員とする新規加入球団審査委員会(仮称)を設置する。

3、 NPBは、現行野球協約の加盟料・参加料を撤廃し、預かり保証金等の制度を導入する。

4、 審査は、適正・公平に行い、小委員会の審査過程を可能な限り、開示するなど、透明化に努める。

5、 審査小委員会の答申に基づいて、実行委員会及びオーナー会議が、来季参入を可とした場合は、NPBは、その参入が円滑になされるよう最大限の協力をする。

6、 新規参入が決まった場合、分配ドラフトへの新規参入球団の参加を認め、統合球団のプロテクト選手(2巡目、3巡目の指名選手を含む)を除いて柔軟に対応する。また、既存球団は、新規参入球団と既存球団との戦力均衡を図るため、新規参入球団に協力する。

7、 NPBは、選手会との間で、プロ野球構造改革協議会(仮称)を設け、1年間をかけて、ドラフト改革、エクスパンション・ドラフト制度の導入、選手年俸の減額制限の緩和などについて徹底的に協議する。

この合意に至ったのは、選手会がコメントしている以下の部分が大きかったようです。

しかし、この2日間の交渉では、球団側は、真摯に新規参入の審査を行うという点について、NPBから、「新たな参入ですから申請に不備な点もあろうかとおもいます。その点を突いて、最初からはねつけるようなことはありません。補えるような問題なら、NPBでアドバイスなどをしながら積極的に対応したいと思います。」といった姿勢が示され、また合意書にも、「審査は、適正・公平に行い、小委員会の審査過程を可能な限り、開示するなど、透明化に努める」などの条項が設けられ、具体的な審査過程でのガラス張りの情報公開の方法を提示するなどの新規参入に対する積極的な姿勢や公正な姿勢を示していただきました。現に新規参入の申請が行われ、またさらに今後行う予定の会社があることも報道されている中で、いわばファンの皆さんにもこの審査の過程をチェックしていただくことができ、また、申請の不備については、NPBにおいてアドバイスをしながら対応するという柔軟な姿勢が示されたことで、2005年シーズンに12球団を維持するために、前向きで、かつ、適正な審査が行われるとの期待も持てると判断致しました。

結論としては、「野球はファンのものであり、ファンに対してオープンにしていこう」という姿勢を労使が確認したということです。NPB側のコメントにもこのことが読み取れます。合意事項には選手にも痛みを伴う項目が入っていますが、お互いの痛み分けということではなく、総体として大きな価値を生み出した歴史的合意だと思います。

団体交渉という法律上の権利にもとづかなければ、ここまでの結果には至らなかったと思います。この点では、労働組合は存在するだけでも価値があると、いまさらながら実感しています。労使は一方の勝ち負けのためではなく、お互いの成長のために話し合います。合意に至った今、損害賠償やストライキといったネガティブなことは水に流し、ファンのために一体となったプロ野球改革を期待していきたいと思います。

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2004.09.22

業績連動とプロ野球。

現在賞与や年俸などの労使交渉は、多くの場合「業績連動」の考え方によって行われています。具体的には、全体の賞与原資は売上総利益や営業利益などの経営指標に連動して決め、その後個々に配分するというものです。

景気が右肩上がりの時には、より多くの賞与原資を獲得していくことが労働組合の役目でしたが、景気が悪くなってくると逆に大幅カット、リストラを避けることができません。「悪い時には下げてもよいが、よくなったら上げることを約束する」という労使の「ルール」をあらかじめ作ることで、大枠での金銭交渉はなくし、「ストライキ」といった争議もなくなります。

業績連動のルールを合意している企業では、労使が「全体の業績を上げる」ことを至上命題として共有することができます。同時にいかに会社を成長させていくかが労使交渉の中心として団交の場で議論されます。これは現在の労働法の「義務的団体交渉事項」には該当しないでしょう。しかし、労働組合が金銭に関する最終手段ともいえるストライキ権を事実上放棄するためには、従業員にも経営がオープンにされ、将来の発展のための知恵を従業員側も出す権利を担保されなければいけません。会社が間違った方向に行くことは、業績連動のルールをも狂わせることになります。

職業としてのプロ野球は事実上1つの事業体であり、その経営方針はNPBが独占しています。選手もドラフトという制度により原則として自由に球団を選ぶことはできず、個々の球団は1部署に近い位置付けといえます。セリーグ・パリーグも全体を効率的に盛り上げるための単位に過ぎず、競争原理でどちらかが一方を駆逐していく類いのものではありません。

このように考えていけば、プロ野球全体を盛り上げることがNPBの基本的な役割であって、縮小の方向を選ぶのは「乱心」ともいえる間違った事態です。選手会は今回近鉄・オリックスの個別問題として扱わず、プロ野球全体の問題として団体交渉をしているのは極めてまともな判断であるといえるでしょう。

日本プロ野球選手会のストライキが「義務的団体交渉事項」に該当せず不当・違法な行為であるとNPB側は考えているようですが、日本で唯一の職業野球の団体が事業体が今後どのような方向性にいくかチェックし、間違っているならば正さなければいけないことを、選手会は後世への義務と考えています。すでに当面の雇用確保をすればよいというレベルではありません。どんな脅しがあろうと、今は可能な手段はすべて実行すべき時期です。

同時に選手の方も、セリーグの人気球団に行けば高い年俸がもらえる、といった考えを一人一人が変えていかなければいけない時期にきていると思います。年俸をNPB全体でプールするなど報酬制度改革に自ら提案をし、放映権を一括管理・戦力の均衡化をNPBとともに進めていかなければいけないと考えます。

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2004.09.20

ロックアウトとプロ野球。

ストライキは労働者側が集団で労働提供を拒否することですが、ロックアウトとは使用者(経営者)側が争議中(ストライキなどを実行中)の組合員を事業所に入れないことを言います。

ロックアウトについて日本労働研究機構の解説には

労働組合が争議に入った場合、原則として、会社が対抗して、操業を継続すること自体は禁止されていませんが、争議時に、新たな職業紹介を受けたり、派遣労働者を受け入れたりすることは禁止されています。なお、部分ストやサボタージュに対抗して、一定の場合、ロックアウトをすることはできますが、ストを潰すため先手を取る形の積極的なロックアウトは認められません。

とあります。すなわち労働者がストライキをしても、管理職などの非組合員だけで事業を継続することは会社として認められており、争議中の労働者がその邪魔をしないよう事業所から排除するために、ロックアウトという手法を使います。

今回、日刊スポーツが「巨人ドタバタ、深夜ロックアウト→朝解除と報じました。

 ナゴヤドームで首位攻防戦に臨むはずだった巨人ナインは、球団側のロックアウトの対応に際し、ドタバタの一日を過ごした。前日17日夜、協議・交渉委員会終了をもってスト突入が決まると、選手にロックアウトの措置をとるとの通達がなされた。都内で労使交渉に出席した選手会長の高橋由と同副会長の仁志には、フロントから電話で連絡が入った。広島から名古屋に移動していたナインには、宿舎の各部屋のドアの下に書面が差し込まれた。ナインは、移動や用具など、すべて自前で対応するつもりで、この日の朝を迎えた。ストを実感する目覚めだった。

ところが、球団側の対応が二転三転する。この日の朝、ロックアウトが解除された。午前9時40分の段階で、午後4時前からのナゴヤドームでの自主練習に、堀内監督以下、首脳陣も参加する予定となった。試合はないが、通常の練習風景が目に浮かんだ。

しかし、またも事態は動く。正午前、清武球団代表が都内から駆けつけ、スト突入の経過をナインに説明。その後、今度は監督、コーチの不参加が正式に決まった。清武代表は「われわれは『ロックアウト』という言葉は使っていない」と、ロックアウト行使を認めなかったが「(ストは)初めてのことなんで」と、対応に苦慮したことを明かした。

結局、練習は選手と球団スタッフだけで行われ、一方でナゴヤドームへの移動バスや宿泊費、ユニホームなどは、通常の遠征と同様にすべてを球団が負担した。

また、2軍選手も“慣れない”一日のスタートだった。午前9時から川崎市内の選手寮に待機。10時になると、寮の館内放送で「(ロックアウト)解除です」のアナウンスが響き、25選手はジャイアンツ球場での練習へ向かった。プロ野球70年で、だれもが初めてのスト決行日。慣れたくないことだけは、確かだった。[ 9月19日 9時58分 更新 ]

巨人では実際にロックアウト(相当)のことを実施しようとしたようですが、相当混乱したようです。他球団でも大半の球場がロックアウトとなりませんでした。このため選手たちは練習風景をファンに開放し、また球場でサイン会など選手自身によるファンへの埋め合わせをしています。以下はこの18、19日に行われた選手会によるイベントです。

横浜ベイスターズ・広島東洋カープ選手会サイン会のお知らせ(時間変更)
中日ドラゴンズ・読売ジャイアンツ選手会 お子様との交流会のお知らせ
北海道日本ハムファイターズ選手会・大阪近鉄バファローズサイン会
9/19(日) ファンと選手の集い 緊急開催!
横浜ベイスターズ・広島東洋カープ選手会によるサイン会(9/19(日)も行います)
オリックスブルーウェーブ選手会サイン会のお知らせ

球場も球団自体が保有している場合が少ないため、選手のこのような活動を排除する必然性がありません。このような動きを球団側が制すればむしろさらに世論の反発を受けることは必至であり、球団もなんら対抗措置をとれていないという状況なのだと思います。もっとも注目される巨人選手会の動きですが、ナゴヤドームでの試合だったことがとりあえず幸いだったのかもしれません。

焦点が「新規参入の早期検討」に絞られ、12球団オーナーの密談による合意が今後どのようになるか、選手会だけでなく今や何千万人の国民に注視されています。「経営の専権事項」という言葉が「経営の独裁権」と聞こえているのは私だけでしょうか。

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2004.09.19

テレビとラジオとプロ野球。

日本プロ野球選手会によるストライキは、放送業界にも大きな影響を与えています。

スト突入でTV各局対応に大わらわ(スポニチ)

プロ野球史上初のスト突入が決まり、巨人戦ナイターの生中継を予定していたテレビ各局は17日夜、番組差し替えなどの対応に追われた。18日夜に中日との首位攻防戦を中継するはずだったNHKは「週刊こどもニュース」で急きょ、プロ野球問題を集中的に“報道”。19日に同一カードを組んでいたTBSは大リーグ特番などを編成した。25、26の両日に伝統の阪神戦を構えていた日本テレビは、メークミラクル?のスト回避に望みを託した。

NHKは18日午後6時10分から、定時ニュースをはさんで試合終了まで中継予定だったが、同時刻からレギュラーの「週刊こどもニュース」を、「7時のニュース」を挟んで同7時半から「列島縦断鉄道12000km~最長片道切符の旅~」を放送することになった。

(中略)

一方、「残念ですが、結果は結果として受け止め、粛々と対応する」とするTBSは、あす19日午後6時半から「特報!MLB」、同7時から8時54分までは「標的はあなた!大都会最新犯罪ファイル2004まさか!の決定的瞬間」に差し替えた。

「…MLB」は急きょ制作したもので、メジャー年間最多安打新記録への挑戦を続けるイチローを中心とした日本人選手の動向に迫という内容。大リーグファンにとっては思いがけないタイムリーな番組となった。「標的…」は「スーパーフライデー」(金曜後7・00)枠用に制作してあったものを“繰り上げ放送”する形に。

当初、レギュラー番組の編成案も検討されたが、同局は20日から“秋の期末期首特番ウイーク”に入る。「19日の日曜ゴールデンタイムは事実上、特番ウイークの扱い」(関係者)だったため、通常番組に戻すのは難しく、頭を痛めていた。

テレビが番組変更対応に追われた一方、ラジオ各社は通常の野球中継番組をそのまま「今後のプロ野球を考える」といった番組編成とし、ファンとともに真剣にこの問題に取り組んでいたようです。

私が車の中で聞いていたTBSラジオ「プロ野球ネットワーク!どうするどうなるプロ野球!」ではファンから寄せられた1400通を超えるストライキ賛成票(反対票は200通強)などの声を中心に、プロ野球経験者・識者が様々な議論を自由に繰り広げていました。そこでの中心的な話題はやはり「なぜ新規参入を急いで検討できないのか。1リーグ制に向けての密約でオーナーたちが固く結束しているのではないか」ということでした。普段の野球中継よりもとても興味深い番組でした。

本来ストライキというものは、ストを実施している間にも交渉を続け、妥結をしたらそこから就業を再開するというものです。しかし今回は最初から18・19日のスト実行が確定され、その時間には交渉進展も追加情報もありません。野球はテレビでというファンも、今日ばかりはみんなラジオをつけたのではないでしょうか。

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2004.09.18

ドッグイヤーとプロ野球。

9月17日付日本プロ野球選手会コメント(ストライキ決行のお知らせ)を支持します。

今回の団体交渉の最大の分かれ道は、2005年度からの新球団参入を検討するかどうかという一点に絞られたといえるでしょう。NPBは頑なに2005年度からはありえないといい、選手会は現実に2005年度から参入希望している企業が手を挙げている以上検討すべきと主張しています。

ライブドアも楽天もIT企業の代表であり、ドッグイヤー(犬の寿命は人間の約7分の1であり、犬が年をとるスピードは人間の約7倍に相当することから、通常の世界の約7倍に相当するスピードで変化が起きること)という経営のスピードの中で、現在の地位をつかんできました。球団参入の審査は現在のペナントレース中に並行して進めていくことも可能であり、NPBの説明には、1年以上かかる(かけなければいけない)という理由が決定的に欠けています。事実NPBコメント(ファンの皆様へ)にもこの点については何ら説明がありません。

経営にスピードと機動的な判断が求められている中で、NPBのいう「経営」がいかに生ぬるいか、選手会、堀江社長、三木谷社長だけでなく、全国のプロ野球ファンも感じていることです。経営の専権事項なのでストライキは不当であるとNPBは言っていますが、なぜ2006年度以降でなければ新球団が設立できないのか、納得いく説明を出させるためにはストライキ実行しか現在は打つ手がないと思います。

日本プロ野球選手会は、労働法上の団体交渉・ストライキという手法を使っていますが、彼らはあくまで選手とファンの立場を代表してNPBから説明を引き出そうとしているのです。企業であればファンというステークホルダーに対して十分な説明義務を負っています。そもそもストライキが労働法に基づくものでなく不当であるというのであれば、交渉決裂後にでも試合を行うよう仮処分申請など法的手段を講じておくべきでしょう。現時点での報道ではその様子もありません。これでは事後に損害賠償訴訟を起こすことも難しいはずです。

今のプロ野球はドッグイヤーでの経営スピードに切り替えていかなければ、金もファンも失っていく状況にあるといえるでしょう。楽天三木谷社長は、ひげを剃り、めったにしないネクタイをして記者会見をしていました。ライブドア堀江社長があまりに衝撃的な登場をしNPB(の一部?)に不評を買ったことから、三木谷氏はこのような点も配慮していたように思います。ドッグイヤー経営者がタートル(亀)イヤー経営者サークルに入ることには様々な障壁があると思いますが、各リーグ6球団と言わずどんどん球団が増え、選手が活躍する「場」が増えていくことを願います。

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2004.09.16

好きなだけ長く働けるか。好きなだけ多く残業代を稼げるか。

従業員の中には「仕事が面白いので働きたいだけ働きたい、いくら働いても飽きない」「クライアントが自分を信頼していつでも相談してくる。期待に応えたい」と思っている人もあるでしょう。しかしそれは労働基準法が許しません。従業員が好きなだけ働きたいと言っても、経営者がその従業員まかせにすることは許されません。

あなた自身が自分の好きなだけ働きたいのであれば、従業員の立場ではなく、自ら事業を興し経営者の立場になる必要があります。経営者に労働法の加護はありません。また、働いた時間に比例して収入が上がるという保証もありません。経営者に時給という概念はないのです。

法律どおりきちんと残業代が支払われることで36協定がずるずると運用されていくと、従業員も「残業代がもらえるならいくらでも働いてもいいだろう」という雰囲気になり、会社側も配置転換や人員増などの具体的な改善施策をせず目をつぶっていきます。そして長時間労働が度を越していき、健康悪化、メンタルヘルス問題、過労死、過労自殺などの原因になっていくのです。

労働組合はあくまで労働法に則った団体であり、特に長時間労働が問題とされる広告業界の労組はこの問題から目をそらす訳にはいきません。とはいえ組合員のすべてが労働法の精神、成り立ちを知っている訳ではなく、時間管理については労組内でよく議論が出てくるのも事実です。しかしこれは運送会社の従業員が「なぜ高速道路にスピード制限があるのか」「なぜ積荷には重量制限があるのか」と(会社や労組に)クレームを言っているようなものです。

健康と安全、そして法律は、決して利益と取引できません。従業員側も、自分の健康は自分自身だけのためではなく両親や家族のためにも大事であるという原点を、時々でも思い起こす必要があります。

もちろん、会社自身も。

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2004.09.14

残業時間上限の協定を超えても、残業代は支払わなければいけない。

言うまでもありませんが、ある月に定められた残業時間の上限の労使協定(36協定)を締結している会社で、結果としてその上限を超える残業量になった場合も、すでに仕事が提供されている以上会社は残業代を全額払わなければいけません。仮に全社の36協定で月間40時間(毎日平均2時間、17時半が終業時間なら平均19時半まで)を上限とし、ある従業員が結果的に月間60時間残業をした場合(20時間分の36協定違反)でも、会社はその時間相当の残業代を全額を支払う義務があります。

仕事を提供したことが分かっていて会社が対価を支払わないということは、自分で追加注文した料理分をただ食いすることと同じです。36協定超過分を払わないのは、オーダーストップ後に無理してつくってもらった料理を食い逃げするようなことです。

労働基準法はあくまで「働かせる立場(会社)を」規制する法律であり、働く側(従業員)を規制するものではありません。マネジメント者は、その残業相当がもっと効率的にできるのであればその社員に働き方の適切な指導や業務命令をしなければいけません。また明らかに業務量が過剰であれば適切な時間に収まるよう業務自体を減らさなければければいけません。

このような施策の結果として、業務効率を賞与(ボーナス)の査定に反映することは問題ありませんが、やってしまった残業代を支払うか支払わないかの判断をする権利は会社にはありません。多くの会社では適切な指導もなく、サービス残業(残業代の不払い)が横行しているようです。これには会社の無策以外にも社員側の無知と職場全体の風土によることも多く見られます。

残業代を会社が支払わない場合は従業員が労働基準監督署に申し出ることで「未払賃金」として会社に支払わせますが、労働組合があれば労働組合が代わりに会社に指摘することができます。会社も役所の命令を受けるのは恥ですので、組合の話を聞くはずです。

労組がある会社では、グチを言う前にまずは組合に入ることが重要です。

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2004.09.12

普通の土曜日。特別な土曜日。

プロ野球選手会のスト延期判断で、昨日は平穏な普通の土曜日となりました。当たり前のように開催される野球が改めてクローズアップされ、報道各社は球場に来ているファンに取材し、様々な声が放送されました。

今回の会議は事前にオーナーから球団代表へ一定の裁量権を与えられていたために、従来の交渉と比べて実効性のあるものになっており、選手会としても今後の交渉にも進歩が期待できると判断してのスト延期だったのでしょう。

しかし個人的には、この日が「9・11」という特別な土曜日であることも考慮されたのではないかと思っています。同時多発テロから丸3年となった9・11をそれぞれの局が特集し、それに関連しテレビCMでは公共広告機構(AC)の作品が多く流されているようでした。このような重大な意味を持つ日にストを打つ判断、またニュースの中心になりえるかどうかの判断も、選手会側にあったのだと想像しています。

スト回避でも依然として高い世論のスト支持率(67.4%、共同通信調べ 9/11)を見ると、球団側がもっとも恐れているのはストライキが実施されても依然世論が選手会側を支持している状況でしょう。ファンや球界に損害を与えているのはどっちなのか、明らかになる瞬間です。

現在もっとも重要とされる「新球団の積極的参入」についてはまだはっきりしておらず、莫大な加盟金など従来の障壁が残るのかどうかが注目されています。来週の週末までには、歴史的な労使合意が成立し、球界にとって特別な土曜日を迎えることを期待します。

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2004.09.09

ノーワーク・ノーペイの原則。

働かなければ報酬をもらえない、この当たり前なことをを「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます。働くということはかならずしも実際に体を動かすことを意味するのではなく、業務命令に従うことを意味しています。当然無断欠勤に給料を支払う必要はありません。

これは、ストライキ(同盟罷業)にもあてはまります。ストライキにより業務命令に従わないこと自体は当然合法ですが、ノーワークノーペイの原則も適用されストライキ期間の賃金は時間に応じてカットされます。これには例外がありません。

日本プロ野球選手会のストライキに対して損害賠償も辞さずといっている会社があるようですが、試合をしないことによる報酬カットは全組合員が合意しているはずです。会社が賃金カット以外の手法で、組合=選手会から賠償金をとろうとする考えを示すこと自体が異常だと言えるでしょう。このようなことがあれば労働法は不要です。

国内でストライキ権がこれだけ話題になることは極めて珍しいと思いますが、そもそもストとはなにかという世間的な理解がうすい中では、本質を見失うことになりかねません。blogという地道なメディアですが、少しでも選手会への理解の手助けになりたいと思っています。

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2004.09.08

国会・政府がプロ野球選手会を労組と認めている証拠。

報道ステーションで「過去国会で日本プロ野球選手会のことを労組と認めている」とコメンテータが言っていたのを聞き、国会会議録検索システムで調べてみたところ、確かに平成12年11月08日 衆議院労働委員会の議事録にそれを確認することができました(要約、太字は筆者)。

大森委員(日本共産党)発言No.259

(要約)労働組合プロ野球選手会が代理人による契約更改交渉についてオーナー会議が選手会と協議会期間を設けて検討すると報じられているが、Wオーナーが「くだらぬ代理人をつれてくる連れてくるやつは球団代表に給料カットしろという」と言ったもと報じられている。これは不当労働行為の意思を公然と表したものであり問題である。

澤田政府参考人(労働省労政局長)発言No.260

(要約)新聞報道であり確たることは言えないが、一般的に言えば報道が事実でありかつ労使間で合意された事項については契約といえるので穏当な発言ではないだろう。

大森委員 発言No.261

(要約)代理人交渉するなら「給料カット!!」」これほど大きい見出しで出している。まさにこれ自体が脅迫にもなるのではないか。代理人交渉は労組たる選手会と使用者団体であるオーナー会議の間の正式合意であり、このルールに基づく交渉は労働組合員として正当な権利であることを確認したい。

澤田政府参考人 発言No.262

(要約)今回の合意はまだ書面を交わしていないので現時点では労働協約ではなく民法上の契約だと考えられる。その前提でWオーナーの発言が不当労働行為になるかどうかは事実関係を精査する必要がある。いずれも個別の問題は労働委員会制度を使って判断されるべき。

大森委員 発言No.263

(要約)社会的な大問題になっているので労働省としても措置をとるべき。

吉川労働大臣 発言No.264

(全文引用)不当労働行為であるかどうかについては労働委員会において判断さるべきものであり、私が個々の問題について申し上げる立場にはないと思っております。
 いずれにせよ、労使間での合意については、当事者間において誠実に対応されることが労使関係の安定にとって重要であると考えております。

この質疑では、プロ野球選手会とオーナー会議の関係を労働省労政局長、労働大臣ともに「労使関係」と認定しており、大臣にいたってはその交渉過程に問題があれば労働委員会(司法の場ではない!)と発言しています。

もちろんそもそもプロ野球選手会は1985年に東京都地方労働委員会に労働組合として認定されています。確かにこの問題は決着しており、労働委員会ではなく司法の場で損害賠償論を語るのは明らかに論点のすり替えになっていると考えていいでしょう。

上記議事録の全文を以下に転載します。当時どのような背景と議論があったかも、極めて興味深いものです。

150-衆-労働委員会-1号 平成12年11月08日

○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 三日付の各新聞によりますと、プロ野球の選手会労働組合が長年にわたって要求してきた代理人による契約更改交渉について、オーナー会議が今オフに限って認めることにしたとなっております。今後については、労働組合選手会と協議機関を設けて検討をすると報道されております。
 このこと自体については私どもとやかく言うことは一切ないわけでありますが、これに関連して、どうしても見過ごすことのできない問題があります。それは、この決定が行われたオーナー会議の後のジャイアンツの渡辺恒雄オーナーの発言であります。マスコミを前にした発言。
 どの新聞でもほぼ共通して書かれておりますけれども、発言の内容は、巨人にはくだらぬ代理人を連れてくるやつはいないだろう、連れてきたらおれが球団代表に給料をカットしろと言う、それで五千万、六千万ふえると思ったら大間違いだ、二千万、三千万下がるだけだ、嫌なら自由契約だ、うちに入りたいやつは幾らでもいる、そういう選手は他の球団も採らないようにすればよいなどという暴言であります。
 この発言は、労使間で取り決めた交渉のルールをほごにしようというものであります。労働組合法第七条で厳しく禁止されております不当労働行為の意思を公然と表明したものと言えるのではないかと思います。
 我が日本において、プロ野球は国民的なスポーツの一つでもあり、子供たちに夢を与えるスポーツでもあります。その中で、ジャイアンツはことし日本一になって、先日の銀座のパレードには三十六万人も集まるということから見ても、このことの持つ影響というのは非常に大きいものがあるのではないかと思います。
 この発言は単に私的な見解を個人的に述べたというものでもなく、大勢のマスコミを前にして行われ、実際、翌日の新聞はこれを大きく報道したわけであります。一般新聞もそうでありますが、これはスポーツ関係の新聞であります。ごらんいただきたいと思うのですが、「代理人なら年俸カット」似たような調子で各紙とも一面を使って報道しております。「代理人 巨人選手が連れて来たら年俸下げてやる…嫌なら自由契約だ」などなどであります。
 これは、現在の雇用情勢のもとで、ただでさえ雇用関係についてさまざまトラブルが発生している、労働者の権利侵害がさまざま行われている、そういう中で、もしこういうことがまかり通るようになれば、悪質な経営者を励ますことにつながるのではないか。労働組合と使用者との関係を律した労働組合法の適正な執行、労働行政、この面から見ても見過ごしてはならない非常に重要な問題ではないかと思いますが、労働省の見解をお聞きしたいと思います。

○澤田政府参考人 今先生お話ございました件については、私どもも新聞紙上で承知しておる限りでございます。渡辺オーナーの発言につきましては新聞で承知しておりますが、その場の状況あるいは発言の前後の脈絡等不明でありますので、確たることはなかなか申し上げることはできません。
 ただ、一般的に申し上げるということでありますと、一つは、報道された発言等が事実であり、かつ労使間で合意された事項について、これはいわば契約でございますので、市民法上の契約につきましては当事者が履行義務を持つということになりますので、そうした意味で、労使間で合意された事項について一方的にその履行を行わないという旨の趣旨であるとすれば、二つの前提でありますが、そういうことであれば穏当な発言ではないだろうと思いますが、いかんせん、発言の前後の状況等が不明でありますので、確たることはこの場では申し上げることは難しいと思います。

○大森委員 二つの前提を置かれましたけれども、労使間で合意をしたルール、それを一方的に執行しないということを宣言すれば不穏当であるということをおっしゃいました。
 これは確認をしておきたいと思うわけですが、二千万、三千万下がるだけだ、自由契約だ、うちに入りたいやつは幾らでもいるなどというのは、改めて私は申し上げますけれども、組合員の正当な権利行使を理由として不利益扱いを公言するもので、いわば脅迫にも相当する。実際、報道の中では恫喝をしたという報道もされているわけであります。このように「代理人交渉するなら「給料カット!!」」これほど大きい見出しで出している。まさにこれ自体が脅迫にもなるのじゃないかと強く思うわけであります。
 労働組合法第七条は、使用者に対し「労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること」を禁じております。
 今回の代理人による交渉は、労働組合である選手会と使用者団体であるオーナー会議との間で交わされた交渉のルールの正式な合意であります。このルールに基づいた交渉を行うことは労働組合員としての正当な権利の行使でもあると思うのですが、その点、ちょっと確認をしておきたいと思います。

○澤田政府参考人 まず、今回の合意についての性格でございますが、私どもが把握している限りにおきましては、当事者間で口頭で合意をした、書面を交わしているわけではない、口頭で合意したことを議事録において認証したという形式をとっていると聞いております。したがいまして、法律的に申しますと、今回のこの合意は労働組合法上の労働協約ではない、先ほどから申しております民法上の契約であるというふうに私どもは考えております。
 そういう前提をはっきりさせた上で申し上げますが、不当労働行為との関係につきましては、大森先生は七条の一号あるいは三号を念頭に置いて御質問されているかと思いますが、オーナーの発言が七条の一号ないし三号に直ちに抵触するかという点については、事実関係を精査しないことにはよくわからない、抵触すると断ずることは今のところはできない、これだけは申し上げられると思います。大事なことは、オーナーの発言を一方の当事者である方々がどう受けとめ、どう理解しているかというところも大事だろうと思うのですが、そこのところは私どももまだよく把握はいたしておりません。
 いずれにしましても、個別の問題につきまして不当労働行為の関係を議論するのであれば、それは、必要があれば労働委員会制度という制度を使って事実関係を精査した上で判断されるべきもの、こういうふうに考えております。

○大森委員 正当な権利行使に対してこういう発言がそのまま執行されれば、これは明らかな不当労働行為であると思います。こういう形で大々的に報道されているということで、個人的な見解でもないことも明らかだと思うのですね。
 この間、労働省に対しても、政府に対しても、私ども、例えば解雇にかかわるさまざまな要求をしてきた場合、労使間での話し合いを特に労働省も強調してきたわけであります。もし、労使間で合意された事項がこのような形で守られないということになれば、そのことの持つ影響は本当に大きいと思うのですね。
 おれの言うことを聞かなかったらどうだこうだという形でこれほど社会的な大問題になっていることは、労働省としてもやはりきちんと何らかの措置をとるべきではないか。労働委員会のことを言われたわけなんでありますけれども、しかし、労働省としてこういうものは当然未然に防止しなくてはならないという立場からも必要な措置をぜひとるべきではないかと思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。

○吉川国務大臣 お答えいたします。
 不当労働行為であるかどうかについては労働委員会において判断さるべきものであり、私が個々の問題について申し上げる立場にはないと思っております。
 いずれにせよ、労使間での合意については、当事者間において誠実に対応されることが労使関係の安定にとって重要であると考えております。

○大森委員 労使間の合意が誠実に実行されるよう――今、私のこの質問に対して随分いろいろな反響があったわけでありますけれども、この問題について言えるのは、そして同時に、言う責任があるのは労働省だけだと思うのです。その点で、今おっしゃったように誠実に対応されるよう、これは労働大臣として明確に、この問題に関して改めて明言をしていただきたいと思います。

○吉川国務大臣 繰り返しになりますけれども、申し上げさせていただきます。
 いずれにせよ、労使間での合意については当事者において誠実に対応されることが労使関係の安定にとって重要であると考えております。
 以上です。

○大森委員 オーナー会議、オーナーとプロ野球選手会労働組合との合意が本当に誠実に実行されるよう、私も大いに期待をするものであります。

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2004.09.06

労働組合の設立に、会社の許可はいらない。

9月5日、「ストなら損害賠償請求できる」 横浜社長が解釈示す(asahi.com (09/05 19:04))と報じられました。

横浜の峰岸球団社長は5日、「選手会がストに踏み切るのなら、球団側は損害賠償請求できると思う」と述べた。

日本プロ野球選手会が申し立てた仮処分に対する決定で、東京地裁は選手会を「団体交渉の主体となり得ると認められる」とした。選手会は「労組と認定された」と解釈しているが、峰岸社長は「選手の集まりである任意団体が、代表して交渉主体となることを認められたに過ぎない。労組と認定したとは言えない」との解釈を示した。

労組ならストは権利として認められるが、任意団体なら契約に反する行為で損害賠償請求の対象となる、という考えが前提にある。峰岸社長は「損害賠償請求するかしないかは、全球団が足並みをそろえるはず」と述べた。

また、横浜球団はこれまで、選手の年俸に対して5%の消費税を支払っている。商店同様、選手を「個人事業主」と認めているから支払っているといい、「『労働者』であれば支払う必要はない。個人事業主と労働者の二つの利益が併存するのはおかしい」と述べた。

これは先日コラムに書いた「ストライキによる損害を賠償請求できない」という日本プロ野球選手会の見解に対する反論です。

法律上の労働組合は労働組合法第2条

「労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」

と定義され、「労働者」とは労働組合法第3条

「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者」

とされます。 そして、労働組合法第5条の要件に合致していれば、会社に許可を受けることなく一方的に設立できます。

日本プロ野球選手会は1985年に東京都地方労働委員会に労働組合としての認定を受けています。横浜球団は「労組と認定したとはいえない」と報じられていますが、このニュースどおりであれば同団体への理解がないとしかいえないでしょう。

一連の問題に関連し、選手側の方は労働組合日本プロ野球選手会で一本化していますが、経営者側は個々の球団、オーナー、リーグ、コミッショナーなど、様々な当事者の形が存在し、それぞれが責任を回避しようとしているようです。横浜ベイスターズはTBSがオーナーであり、メディアとしてのTBSは一連の問題には極めて慎重に対応すべき立場にあると思います。このような記事がまず横浜球団から報じられたことに、心配な気持ちにさえなります。

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2004.09.05

課題解決が私たちの仕事なら。

9月4日の組合大会をもって会社内の組合の要職からはずれ、組合関係は今後はしばらく広告労協ほか対外活動に専念できることになりました(もちろん本業は本業として)。

組合の活動といえば一般には現場の仕事と関係なく大変だ、というイメージだと思います。しかし広告業界に限って言えば、クライアントの課題解決も自分の会社の課題解決も、仕事として見ればどちらも同じようなものだといえます。

解決のメソッドが広告か労使交渉かという点は違うものの、コミュニケーションによる問題意識・課題解決能力がある人なら、それを自分の会社に向けるだけで誰でも組合役員をできると確信しています。

内部から解決しようという機運の生まれない会社では、往々にして外部コンサルに高い金を支払い、押し付けの人事制度が導入されてしまうものです。課題解決を謳う私たちが紺屋の白袴(こうやのしろばかま)ではいかにもみっともないことです。

組合のある会社に入る人もそうでない人も、一度は職場のことを現場の力で解決してみる機会を得てみてください。そもそも自分自身が選んで入った会社なのですから。

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2004.09.04

ストライキによる損害を、相手は賠償請求できない。

本日東京地裁は、労働組合プロ野球選手会他の合併差し止め仮処分申請を却下しました。asahi.comは以下のように報じています。

 プロ野球オリックス・ブルーウェーブと大阪近鉄バファローズの合併問題をめぐり、日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)が合併差し止めなどを求めた仮処分申請で、東京地裁(土田昭彦裁判官)は3日、選手会の申し立てを却下する決定をした。近鉄の親会社、近畿日本鉄道(大阪市)の株主2人が合併差し止めを求めた仮処分申請でも、大阪地裁(揖斐潔裁判長)が同日、申し立ての却下を決定した。選手会は東京高裁に即時抗告し、株主側も即時抗告する予定だ。
(中略)
一方で、決定は「選手会は日本プロ野球組織との団体交渉の主体になりうる」と認定。合併に伴う選手の労働条件については団体交渉が義務的に必要になると指摘した。ただし、今回の件については「現時点までの労使交渉の状況からすれば、仮処分を発令する必要はない」と述べた。
(中略)
決定を受けて、日本プロ野球組織は6日の臨時実行委員会、8日のオーナー会議でオリックスと近鉄の合併承認手続きを進める。 (09/03 21:31)

これを受けて選手会のコメントでは、

1.選手が労働者であること
2.選手会が労働組合であること
3.統合に伴う労働条件についてはNPBは選手会と団体交渉をしなければいけないこと。
が認定され、ストライキを実施しても球団から損害賠償が認められないことが明確に判断された。

と発表しています。

ストライキ(同盟罷業、どうめいひぎょう)とは、業務命令に反して労働力を提供しないことですが、労働組合が労働組合法の手順に則って行う限り、労働組合法第八条により

使用者は、同盟罷業その他の争議行為であつて正当なものによつて損害を受けたことの故をもつて、労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない。

とされます。選手会の判断にあるとおり、労働組合は(雇用者に)損害を与えても賠償請求をされないという、極めて特殊な特殊な権利を持っているのです。

またNPBが選手会との団体交渉を「拒否できない」ということは労働組合法第七条(不当労働行為)第二項の「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」に該当するからとなります。

とはいえ会社に損害を与えるということは事実であり、会社側は逆手にとりストライキをすればファンが離れるなど、世論を反ストライキにもっていくことになります。しかし今回の事情は、いくらプロ野球選手もファンが大事だとしても、この問題を抱える限り今まで通り野球のプレイを続けていけないほどの深刻な状況です。いいかえればこのような大問題でストライキが外圧でできないようであれば、労働組合法上の権利を持っている団体である意味がないともいえます。ストができなければ、NPBはただ団交の場につき、同じ回答を繰り返すだけでしょう。団交のテーブルにつき話し合いをする義務はありますが、相手の要求にこたえる義務はありません。

まずストを回避すべき、という世論は、まず合併を先延ばしすべき、という世論になっていくべきです。きちんと十分議論を尽くすために作られたのが、労働法の精神なのですから。

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2004.09.02

残業は時給を割り増して支払わなければならない。

割増賃金とは、法定労働時間を超える労働(いわゆる残業)および休日出勤における賃金のことで、文字どおり通常の時給よりも2.5割以上割り増して支払われます。端的に言えば、残業代、休日勤務手当です。また深夜22時以降の勤務も(タクシー運転手等を除けば)さらに割増率を2.5割以上アップすることが義務づけられています。

通常の9時半から5時半までが就業時間の場合、仮に通常の時間給が2000円だとすると、普通の残業時間には2.5割増しの時給2500円以上、深夜にはさらに2.5割が加算され時給3000円以上になるということになります(東京労働局「時間外労働の割増率」参照のこと。)

36協定のコラムで書いた通り、36協定は就業時間以上に勤務させるための「例外的な」協定であり、通常勤務より割高に支払う義務を課すことで、労働時間増を牽制することが法律の趣旨となっています。

これから分かる通り、法律上、就業時間外の勤務は短ければ短いほどいいと考えられています。しかし、同じ人が残業してそのまま勤務する方が企業としても圧倒的に効率的です。割高な賃金を支払っても、時間外勤務をさせている会社は多数派といえるでしょう。

もちろん全額残業代を支払うことが大前提ですが。

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2004.08.30

36(さぶろく)協定がなければ残業命令できない。

法定労働時間(1日8時間、週40時間)以上の勤務や休日勤務を命じる可能性の場合は、労働基準法第36条に基づき、会社は過半数を組織した労働組合と、そのような組合がなければ従業員の過半数から選ばれた従業員代表と、命じることのできる時間外勤務時間(いわゆる残業)の上限(36(さぶろく)協定)を締結しなければいけません

現在ある程度の規模の会社では1日7時間勤務が一般的です。この場合プラス1時間の残業をさせることは法定労働時間の8時間の範囲であり、ざっくり言えば月間20時間以内であれば、36協定を結ぶ必要がありません。しかし追加勤務には変わりがなく、追加賃金を支払わなければいけないことはいうまでもありません。

また、協定を結べば何時間でも時間外勤務を命じられるかといえばそうでなく、健康問題への懸念もあり、一般には月45時間程度が最大とされます。ただしこの数字は法定労働時間の8時間を基準にしていますので、所定労働時間が7時間と定められている場合には月65時間ぐらいが限界とされています。

一般的な7時間勤務の時間帯である9時半から17時半では、プラス1時間のといってもまだ18時半。広告業界で毎日この程度で終わることは極めてまれですから、事実上すべての会社に36協定が「あるはず」です。

いいかえれば、残業がある会社には、必ず36協定を締結した従業員代表が存在します。過半数の組合があればその委員長が代表ですが、なければ(管理職を含む)全従業員の過半数の推薦によって代表が1名決められている「はず」です。この代表者は、投票または挙手などの民主的な手続きにより選出された者でなければいけません。

社員の読者の方、あなたは自分の会社の従業員代表がだれか、ご存じですか?

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2004.08.27

1日8時間以上勤務させてはいけない。

意外に思われるかも知れませんが、労働基準法第32条労働時間の上限、すなわち「従業員を働かせることのできる時間」は1週間40時間、または1日8時間までと定められています(法定労働時間)。

法定労働時間は、それ以上は原則として労働させてはいけないという法律です。したがってそれ以下であれば会社が就業時間を何時間に定めてもかまいません。個々の会社の就業規則で定める就労時間を「所定労働時間」といいます。

高度成長時代の日本では、生活のゆとりを求める声が高まり、それまで半日勤務が一般的だった土曜日を休日とする「週休2日化」が推進され、また勤務時間も短くしようとする動きがでてきました。この流れで「報酬を大きく変えず」所定労働時間を法定より1時間短くした7時間とする会社が増えてきました。これも右肩上がりの経済成長の余裕と、当時の全国的な組合活動があったおかげでしょう。

週休2日で就業時間が9時半から17時半までの会社は、一般に休憩時間が1時間(少なくとも45分)入りますので、所定労働時間は「1日7時間、週休35時間」となります。同様に9時から18時が就業時間の会社の所定労働時間は「1日8時間、週40時間」です。

同じ初任給でも、1日8時間労働と7時間労働では大きな違いです。広告代理店上位の多くは7時間労働としています。これはそれぞれ社内に労働組合があり、労使で話し合いがあったからかもしれません。いい人材を採るためにも企業は週休2日・1日7時間労働化を推進していくべきでしょう。

なお大手広告代理店には9時半から17時45分までの「1日7時間15分、週休36時間15分」というちょっと中途半端なところがあります。所定労働時間を15分短縮するのは、組合があればそう難しいことではないのではないでしょうか。
>某労組役員の方。

# 残業の話はこの後で。

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2004.07.12

内定前の健康診断問題、調査開始。

先ほど広告労協サイトに、「健康診断問題情報提供フォーム」を設置しました。

これまで発言してきた内定(または内々定)前の健康診断問題は、最終的には行政および立法の段階に関与しなければ抜本的に解決できないものです。このアンケートをきっかけに広告業界以外の情報も吸い上げ、広告労協として厚生労働省に働きかけをすることにしています。

これまで来ている報告でも、広告代理店、新聞社、放送局と、マスコミといわれる業界でも信じられないような規模の会社が実施しています。厚生労働省に行政通達が周知されてないことを認識させるためには、生々しい情報の提供、そして学生の困っている状況をアピールする必要があります。

投稿フォームはこちらです。ぜひ多くの方からの投稿をお願いします。

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2004.07.08

プロ野球選手会が「労働組合」である意味。

本日各TV、ニュースサイトで、「パリーグで、もう1組合併を検討している」という衝撃的なニュースが流れました。

「堤発言」に衝撃 渡辺氏と握手で会場へ

 7日に東京都内で行われたプロ野球オーナー会議。記者会見場は予想しなかった「堤発言」に一瞬、息をのんだ。
 正式な議題の発表に続いて議長の巨人・渡辺恒雄オーナーが、西武の堤義明オーナーの発言を紹介した。「もう一組の合併話が進行中であるということです」。球団創設時以来、26年ぶりに出席した堤オーナーの持ち込んだ話は衝撃となって走った。
 根来泰周コミッショナーらを横にして、渡辺オーナーの話は続く。「もうワンペアできない限り、2リーグだが、それができれば9月のオーナー会議で、1リーグでできるか取り組みたい」と一気に1リーグ構想に踏み込んだ。
 近鉄、オリックス両球団の合併合意発表以来、1リーグ移行の話はさまざまに取りざたされていたが、今回のオーナー会議では時期尚早とみられていた。しかも、進行中の話をわざわざ出してきたことに、会議に参加していた関係者も「各オーナーも驚いていた」という。(後略)[ 共同通信社 2004年7月7日 20:33 ]

当然のごとく、古田選手会長は反発し、「ファンの声を聞いてみたいですよね。それが本当に球界の発展につながるのかどうか。」とコメントしていました。

プロ野球選手という職業は極めて専門的なものであり、また社会に密接しているという意味でも特殊なものです。2つめの合併は1リーグ制への布石であることを明言されていますが、そのためにパリーグの選手の3分の1がリストラされる可能性があるとすれば、本末転倒もいいところだとおもいます。

今回の近鉄・オリックスによるある種の問題提起は「旧来型の発想の球団経営では立ち行かない」ということだと思います。今回はいわば経営者がモラルハザードを起こしているということです。したがって選手会としてはきちんと会社と交渉し、現在の経営者に次世代を担う経営者に譲り渡すよう説得しなければいけない状況です。少なくともライブドアという会社が手をあげているわけであり、それを検討することなく選手との契約を解除するような事態は、不法な解雇の可能性すらあると思います。

労働組合は会社と対等な立場で話し合う権利を与えられた組織です。労働組合がある会社では、経営陣も「対等な立場」を尊重し、きちんと話し合いをしながら物事が決まっていきます。しかし今回のプロ野球の状況は全く選手不在の中でことが進んでいます。プロ野球選手とファン、社会的責任を忘れ、モラルハザードを起こした経営者は、すでにオーナーとはいえません。これを止めるためには、選手会としても法律で与えられたあらゆる手法を検討すべきでしょう。

古田会長は「スト権樹立、行使の提案も(選手会の中から)出てくると思う」といっています。法律上の労働組合である日本プロ野球選手会だからこそ、(あくまでやむをえない選択として)法律上の権利であるスト権を留保できるのです。労働組合でない従業員会のようなものではこのような抗議行動は保障されません。ファンと一緒に世論を喚起するとともに、年寄りに強引にでも聞く耳をもたせるために、セ・パ問わず選手会役員は団結して闘って欲しいと思います。

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2004.06.05

身元保証人の責任。

企業に雇用されるときには、「身元保証人」を求められることがほとんどです。この身元保証とはどのようなものでしょうか。

身元保証ニ関スル法律は、

第一条  引受、保証其ノ他名称ノ如何ヲ問ハズ期間ヲ定メズシテ被用者ノ行為ニ因リ使用者ノ受ケタル損害ヲ賠償スルコトヲ約スル身元保証契約ハ其ノ成立ノ日ヨリ三年間其ノ効力ヲ有ス但シ商工業見習者ノ身元保証契約ニ付テハ之ヲ五年トス

第二条  身元保証契約ノ期間ハ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ若シ之ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ期間ハ之ヲ五年ニ短縮ス
○2 身元保証契約ハ之ヲ更新スルコトヲ得但シ其ノ期間ハ更新ノ時ヨリ五年ヲ超ユルコトヲ得ズ


となっています。

分かりやすく言えば、名称にかかわらず、被用者(就職する人)がしたことで使用者(会社)が受けた損害を賠償することを約束する契約は、原則3年、最長5年でその保証期間を終えるということとなります。仮に会社が提示した契約書にそれ以上の期間が明示されているとしても無効な契約となります。

身元保証は損害を賠償する意味で重大な役割ですが、お願いする側としても期間が最大でも5年間であるということを覚えておくといよいでしょう。万が一あなたが6年後に横領で捕まっても、身元保証人に賠償請求が行くことはありません。

さらに気になるのは、もし身元保証期間内に退職したくなった場合に身元保証人に迷惑がかかるかということですが、民法(第八節雇傭)第六百二十七条が定めるように(期間の定めのない=原則として定年まで勤務する)雇用契約はいつでも解約でき、契約解除通知後2週間で契約が終了するとなっています。

いつでも解約できる契約というのは変な感じでしょうが、雇用は憲法第二十二条の職業選択の自由に基づく特殊な契約なのです。すなわち、普通に退職する分にはなんら損害賠償の対象にはなりません。会社に身元保証を求められても、そのことによって勤務し続けることを強制されることはないということです。

かといって身元保証は気軽にお願いできるものでもありません。きちんと礼を尽くし、社会人となる心構えをきちんとプレゼンし、快諾してもらってください。

身元保証については「法、納得!どっとこむ」に詳細がありますのでご参照ください。

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2004.04.20

体調が悪くて内定が取り消されることがあるのか。

「健康診断するということは、内定したということ。」というコラムを発表した後、「内定したとしても、その後体調が悪ければ取り消されることもあるのか」という質問をよく受けます。

企業は内定者だけでなく従業員に対しては定期的に健康診断を受けさせる義務があり、深刻な病状などが見つかった場合は産業医とも相談の上「本人の健康のため」残業を命じるのを控えたり、職場を変えたりといった配慮をしなければいけません。特に深刻な場合には休職させて(自費で)加療を受けさせるといったこともあります。勤務者であれば病気による休暇(私傷病休業)の就業規則規定が設けられ、一定の有給・無給期間を過ぎれば退職となります(無給期間も健康保険から一定の支給があります)。

内定者は従業員ではないため就業規則上の措置の対象とはなりませんが、広告業界において内定が取り消されるほどの病状というのは、本人にとって命にかかわる、またはそれに準じるものであり、勤務を命じるなどとんでもないというレベルのものに限ります。このレベルであれば、本人がいくら働きたいといってもそもそも働かせるわけにはいかず、本人のためにも療養に専念させるべきであることは明らかです。これらはあくまで「本人のため」という視点が重要です。

広告業界では、このような深刻なレベルの病状でない限り、内定が取り消されることはありません。無用に心配している就活生の皆様、そんなことで不健康な精神状態にあるほうが損ですよ(笑)。

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2004.04.19

健康診断を受けたら、内定です。

「健康診断するということは、内定したということ。」というコラムを、過去に発表しました。これは一言で言えば「会社が血液検査をしたら、内定を出したことと同じ」という内容です。

このコラムは会社からの検索も多く、企業の陥りやすい採用上の過ちなのだと実感しています。このサイトや上記コラムをご覧になった採用者の方は十分配慮されているかと思います。

しかし昨年度はいくつかの企業で血液検査を実施した後に最終試験段階で落選させたところが見受けられました。健康状況という個人情報を企業が安易に持ち、それをもとに落選させていないという立証が不可能である以上、この行為は個人のプライバシーへの最大級の侵害と言えるものです。

勘違いしてはいけないのは、「内定を出すのであれば(採血を含む)健康診断を実施しなければいけない」という法律があるわけですから、健康診断を受診させた受験生全員を採用すればなんら問題はありません。ですので、健康診断を予告されたら、受診後に「健康診断を受けたということは、内定したということでよろしいんですよね」と確認するとよいでしょう(受診後に、という点が肝要です)。

万が一相手が「いえ、まだ選考の途中です」とでも言ったとすれば、相手はこの通達を知らない可能性がありますので、「大学では、健康診断を受診したということは(厚生)労働省の平成5年、平成13年の通達によって、採用を前提としているものと理解してよいと指導されています」と返してください。念のため上記コラムをプリントアウトしてかばんに入れておいたらよいでしょう。

なお、多くの企業では10月以前には「内々定」という言葉を使いますが、内々定も内定も意味合いは変わりません。「採用可否決定のための健康診断を実施することは適切さを欠くもの」という厚生労働省通達を理解している会社であれば、あなたを採用するつもりがあるということです。ご安心ください。

もし理解してない、すなわち(特に血液検査を含む)健康診断の実施後に落選した場合には、この通達をもって必ず会社に問い合わせてください。先方は落選を取り消し、内定を出す以外に対処する方法はないと思います。

今年は多くの採用担当がこのサイトをご覧になっているようなので、このようなトラブルは少なくなるかと思います。血液を採取された学生がすべてきちんと採用されることを祈ります。

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2004.03.21

労使関係と夫婦関係。

今日は、広告労協・組合関係の知人の方の結婚式に参列しました。小雨降るとても寒い日でしたが、多くの方がお二人を祝福に横浜のホテルに集まりました。

主賓には、新郎の会社の代表取締役社長がご出席されていました。新郎は勤務する会社のユニオン(組合)委員長であり、すなわち従業員の代表です。社長は1社員かつ従業員代表である彼を称え、祝福の言葉をかけていました。

ここの会社の労使関係は前経営者の元でかなり揉めていました。しかし新社長が就任し、社員代表たるユニオン委員長と直接対話をするようになってから、大きく分かり合える関係になりました。披露宴に出席した社員の方々は一同に、新社長とユニオンの建設的な話し合いにより、社員が大いに前向きになったとお話されていました。

夫婦というものは、ケンカ・議論もしながら、それでも良い家庭を築いていくために、二人で協力します。同様に経営者と組合も、お互い対話・議論しながら、良い会社を築いていくために協力していく関係にあるのです。

正義感あふれる若い委員長と、人情味あふれる社長。今日夫婦としてスタートしたお二人と同様、この会社の将来を大いに期待したいと思います。

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2004.03.16

日本プロ野球選手会。

古田敦也選手が会長の「日本プロ野球選手会」は、れっきとした「労働組合」です。正確には「社団法人日本プロ野球選手会」と「労働組合日本プロ野球選手会」の2法人になっています。それぞれ会長が別であり、労働組合の方を古田選手が会長を務めています。
同HPより引用。


日本プロ野球選手会は社団法人及び労働組合という二つの形態を取っております。
労働組合については純粋に労働者としての選手による組合であり、雇用者である球団との間での待遇改善交渉などを行っております。
現在、ヤクルトスワローズの古田敦也選手が会長をつとめております。
社団法人については野球に関する公益事業ということで、野球教室を全国各地で行うなど、野球全体の発展に寄与するための活動を行っております。
現在、中日ドラゴンズの立浪和義選手が理事長をつとめております。


現在の組合役員名簿はこちらのようになっています。そうそうたるメンバーですね。

日本プロ野球選手会はHPに「プロ野球選手は選手寿命も短い上に社会保障も不十分であることなどの問題を受け、主にプロ野球選手の地位向上を目的として」設立したこと、労働者としての選手が雇用者である球団と待遇改善の交渉などを行っていること、85年に東京都地方労働委員会から労組法上の労働組合として認定を受けたことなどを述べています。名実ともに労働組合の要件を満たしています。

個々に取り組んでいる問題は以下のような項目になっています。

├─移籍の活性化
├───国内移籍
├───海外移籍
├─試合の活発化
├─契約更改交渉
├───代理人
├───参稼報酬調停
├───その他
├─外国人枠問題
├─肖像権問題
├─その他
├───小久保選手無償トレード問題
├───上原選手代理人問題
├───選手のポスティング要求問題

これらは、多くの少年が今後もプロ野球選手を目指して励んでいけるための、基盤作りだといえるでしょう。

プロ野球もまた「人だけが財産」の業界であり、業界整備のために労働者団体として活動している日本プロ野球選手会は、広告労協および構成する個々の労働組合と共通の価値観があるのではないかと思っています。いつかプロ野球のオフシーズンに、古田会長をお招きしてのシンポジウムを開催したいものです。

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2004.01.15

次なるは、新聞労連新聞業界就職フォーラム

 昨日ついに「新聞労連新聞業界就職フォーラム」がオープンしました。労協サイトに「クリソツ」なのは、パロディなのではなく、志が全く同じだからでしょう(笑)。新聞労連Kさん、ほんとうにお疲れ様でした。みなさんも新聞記者を志望している友人がいたら、ぜひ紹介してあげてください。

Fさんの発明は、

(1)人材が経営資産の中心である業界
(2)その業界に、労働組合の連合体が存在
(3)その連合体に新卒支援に中心的人物が出現

の3要素が揃えば、他の業界でももっともっと広がっていける可能性がありますね。

 別に連合体がなくても、新卒支援のためだけに各社労組が連携するという方法はあるでしょう。例えば、パイロット、フライトアテンダント、アナウンサー、教員などが適しているのではないでしょうか。各業界で、中心的人物が出てくるのを期待したいところです。

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2004.01.11

完全週休2日の定義。

確かに広告業界は激務です。しかし社会に出て従業員として働く上では、現在のような「週休2日」に助けられることがあります。

休日のシステム定義(FIND JOB)


 [週休制]
 週1日の休みがある
 [週休2日制]
 1年を通じて、月1回以上週2日の休みがあり、他の週は毎週1日の休みがあること
 [隔週休2日制]
 1年を通じて隔週に週2日の休みがあり、他の週は毎週1日の休みがあること
 [完全週休2日制]
 1年を通じて毎週2日の休みがあること
 [週休3日制]
 1年を通じて、月1回以上週3日の休みがあり、他の週は毎週2日の休みがあること
 [隔週休3日制]
 1年を通じて隔週に週3日の休みがあり、他の週は毎週2日の休みがあること
 [完全週休3日制]
 1年を通じて、毎週3日の休みがある
 [○勤○休制]
 ○日勤務して○日休みを繰り返す
 [月4日以上]
 一ヶ月を通じて4日以上の休みがあることが
 分かれば良い
 月4日では×あくまで月4日以上でなければ
 いけない
 [年間休日○日]
 月4日以上の休日を与えなければならないとする
 労働基準法の法律を侵さなければ年間で休日日数を表記できる

しかし、完全週休2日は、「完全に週に2回」の休日を設けるという意味であり、その週に祝日がある場合の取り扱い(すなわち週に3回目の休暇があるか)は、その会社との就業規則での取り決めによります。

IBACの解説では、「一般的に完全週休2日とは祝祭日+土日」となっています。しかし「完全に週休2日」ということは、3日以上はない、とする会社もあるようです。これはきちんと人事に確かめたほうがいいですね。

さらに労働基準法第35条では、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。」とされています。週に1回以上休めないような労働条件は、労働基準監督署より厳しい罰則が与えられます。なお、経営者には休日の規定は当然ありません。

私は正月早々ひいた風邪・発熱を、この3連休できちんと直したいと思います。助かった。。

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