広告豆知識

2005.11.07

Share of VoiceとEvoked Set。

マーケティングや広告の世界では、Share of Voiceという言葉がよく使われます。Quick MBAというサイトではShare of voiceを

the firm's proportion of total promotional expenditures in the market.(市場全体のプロモーション費用におけるその企業の費用の割合)

と解説しています。

もちろんShare of Voiceがその企業のマーケットシェアに必ずしも比例するわけではありません。しかし消費者は何かを購買する上でいくつか「自分の知っている」選択肢(evoked set、エボクドセット)から選びます。消費者が自社製品を「知っている」状態にするためには、企業は一定量「自ら声を出して」消費者に存在を知らせておくことが必要です。

Yahoo! JAPANのようにすでに他社を圧倒する利用者を抱えている企業は、もはや費用がかかる広告を出す必要はないかもしれません。しかしすでに大きなシェアとファンを持つiPodは、現在でもエミネムを使ったCMを大量に流しています。今ならばiPodはCMがなくても売れることは間違いない中、Appleは何のために広告を流しているのでしょうか。

AppleはもはやiPodをただの音楽再生デバイスとは考えていません。iTuneによる楽曲購入、Podcastingによるブログ・ラジオ・動画再生など、その先に存在する全く新しく巨大な市場を持つビジネスモデルの構築を目指しています。彼らのブランド戦略はすでにネットワークオーディオの中のシェアだけでなく、人が利用する「メディア」のEvoked Setに強烈に入り込んでいこうとしているのだと思われます。特に注目されている「Podcasting」が「メディア」として確立し、一般名詞化すれば、ネットにおけるコンテンツ流通や放送の強大なイニシアチブをAppleが持つことができるでしょう。

その日が来るまで、Appleは潤沢な利益を使い様々なプロモーション戦略で莫大なShare of voiceを徹底展開していくに違いありません。Yahoo!やGoogle、楽天などのようにあまり広告活動をせず先行優位を保ってきた企業がそのまま勝ってきたIT業界の構造の中で、Appleの戦略は全く違うアプローチだと言えるのではないでしょうか。

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2005.01.18

求人広告。

一般的に広告とは企業の商品やサービスを販売するための機能としていちづけられますが、会社を維持し発展させていくための「人材」を得るために広告することがあります。これを求人広告といいます。

新聞広告では求人というジャンルが確立しており、特化した広告代理店も多数あります。内藤一水社は老舗の新聞求人広告代理店です。同社サイトの効果的求人戦略というページが参考になります。

もともと職業紹介は労働省管轄の国家事業だったのですが、リクルート社が登場すると状況は一変、求人情報自体をコンテンツとした雑誌が次々と発売されました。広告自体が売れる情報になると見極めた、創業者の江副浩正氏の先見性には敬服するばかりです。ジャーナリズムとコマーシャリズムの間に存在する広告代理店には想像もつかないことです。

今は転職市場はインターネットが主戦場になっています。リクルートのリクナビだけでなく、「type」を出版しているキャリアデザインセンターのように雑誌とネット(@type)の組み合わせや、ネット専門のエン・ジャパンもあります。これらは広告代理店を通してというよりは、主に媒体社自身が直で営業をかけるスタイルです。

新聞の求人広告は、目的をもって購入する転職雑誌やインターネットサービスにくらべ、普段読んでいる新聞にさりげなく入っていることで転職を考える初期段階にアピールできます。古臭いメディアのようですが、マーケットの上流に位置しているといえるでしょう。

今後もネットを中心として求人事業が発展していくことは間違いないでしょうが、案外新聞広告もまだまだ有望だと思います。なぜなら採用担当も「新聞ぐらい読んでる人」を求めているからです。数名の採用であればメディアを絞り応募者自体にフィルターをかけることが効率的です。

※広告業界の会社の求人であれば、広告労協も掲示板で協力するようですよ>採用担当者様。

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2004.12.02

流行語大賞に冠スポンサー。

12月1日、流行語大賞に「ちょー気持ちいい」が選ばれました。

流行語大賞とは「現代用語の基礎知識」を出版する自由国民社が1984年から続けている一種の広報イベントです。しかし2003年からこのイベントにユーキャンが提携し、今年は「ユーキャン流行語大賞」という名称で相当パブリシティが出ています。

異業種提携による、出版事業第1弾『生涯学習のユーキャン』とパートナーシップ。(自由国民社)

小社は2003年、㈱日本通信教育連盟(本社:東京都新宿区/代表:品川 惠保)と『日本新語流行語大賞』を始めとして「現代用語の基礎知識」に関するパートナーシップを結びました。

小社は、異業種提携による出版事業の拡大を希求していたところ、その第1弾として『生涯学習のユーキャン』と「現代用語の基礎知識」選『日本新語流行語大賞』のパートナーシップのお話があり、両社が共に半世紀にわたって掲げてきた企業理念「全ての人に知る、学ぶ、喜びを提供することで、社会、文化に役立ちたい」という共通点から同意に至り連携の運びとなりました。

これにより、日本新語・流行語大賞は『現代用語の基礎知識選/ユーキャン流行語大賞』とネーミングも新たに展開いたしましたので、今後ともよろしくご支援ください。

そもそも自由国民社の現代用語の基礎知識のための広報イベントが完全に社会的地位と権威を持つようになったためこの度冠スポンサーをつけたというとても珍しい事例になっています。誰のための広報イベントなのかよくわかりませんが(苦笑)。

しかしあくまで広報イベントであってネーミングライツにはなりえません。NHKは「ユーキャン」流行語大賞を報じているのでしょうか…。

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2004.10.28

レスポンス型広告(後編)。

営業部門を代行するレスポンス型広告に携わることは大変困難な仕事ではありますが、大きな成果を得られたときの広告主からの信頼はとても厚いものになります。

もちろんレスポンス型とはいえブランド価値を無視した広告はNGです。飛び込み営業に失うものはありませんが、広告はブランド価値を上げも下げもします。広告表現面で、会社の顔としての位置付けとレスポンス促進のバランスが極めて難しいところでもあります。

レスポンス型広告の究極の指標は「コスト効率」ですが、コスト効率を追求すれば、結局は媒体の仕入れ価格を下げるというところに行き着きます。しかし安くできる媒体ではレスポンス「数」を上げていくのにも限界があり、ブランド醸成の観点からも課題があります。

さらには、レスポンス型広告は売上とコストが比例するので、広告を止めればすぐに売上がなくなります。客引きをしないと客が入らない飲み屋と同じです。

現在のように景気回復基調になる前は、広告もレスポンス効率に特化した時期が長く、広告代理店にも付加価値よりコストカットを求められてきました。今後は消費者の消費意欲向上と共に、広告主も「指名買い」を得られる高付加価値・高収益の商品・サービスを投入してくることが予想されます。

その際には本来の広告代理店の役割である「コミュニケーション戦略による付加価値創造」を再認識してもらう絶好のチャンスになることでしょう。

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2004.10.27

レスポンス型広告(前編)。

営業という職種は、その会社の商品やサービスを販売し、会社に利益ををもたらす役割をもちます。営業部門がなければ会社は利益を得ることができません。しかし自ら顧客を捜し当てるような「外勤の営業マン」がいない会社もあります。

例えば消費者向けの通信販売には営業マンは存在しません。また美容や毛髪関連など、人の悩みに関するサービスを提供する業界にも営業はいません。

このような業界では、広告が営業活動そのものになります。このような業界への仕事では、広告会社は営業部門をまるごと請け負っていることと同じです。もちろんこれらの会社には外勤営業部門がないだけで、コールセンターなど広告の反響に対応する内勤部署はあり、そこが実質的な顧客窓口となります。

営業としての広告は、営業マンと同様、知ってもらうだけでなく具体的に反応がなければ評価されません。このような目的の広告は「レスポンス型広告」と呼ばれています。

インターネット専業の広告代理店の多くはこのレスポンス型広告に特化しています。また大手広告代理店の大広は自前のコールセンターなど独自のノウハウなどを持ち、テレビや新聞通販に強みがあるといわれます。

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2004.10.21

ケイパビリティ・プレゼン。

はじめての広告主と取引を開始しようとする時や一手扱い(1つの広告会社が広告予算すべてを扱うこと)のための代理店競合では、自分たちの会社がどのような独自性や優位性を持ち、どのような体制と条件でサービスを提供し、どのような貢献ができるかということを包括的にプレゼンテーションすることがあります。これを「ケイパビリティ・プレゼン(ケイパビ)」といいます。

ケイパビでは広告主が何を求めているかあらかじめ探っておくことが大事です。価格が第一条件の広告主もいるでしょうし、IT関係の知識を求めるところもあるでしょう。もっと踏み込めば、相手が求めているのが「パートナー」なのか「請負先」なのか、「自分を成功させてくれる」会社のなのか「楽をさせてくれる」会社なのか、見極めることが有効です。

総合力で攻める大手総合代理店や、新聞やセールスプロモーションなど独自の強みをもつ専門代理店など、さまざまなケイパビリティがあります。必ずしも総合代理店だけが勝つとは限りません。イメージ広告ばかりだと思われる車も、カタログを作る上では極めて専門的な知識を代理店にも要請されます。またビジネスショーなどのイベントを仕切る能力も立派なケイパビリティです。

採用試験はあなた自身のケイパビリティ・プレゼンそのものです。相手はどんな人物像を求め、あなたにどんな強みがあるのかがぴたりマッチすれば、それは内定を意味します。

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2004.10.05

「B to B」と「B to C」。

広告業界に限らずビジネスで頻繁に使われる言葉に、「B to B(ビー・トゥ・ビー)」と「B to C(ビー・トゥ・シー)」があります。B to B は、Business to Businessの略であり、法人(企業)から法人向けのビジネス、B to CはBusiness to Consumer、すなわち法人から個人向けのビジネスを意味します。

B to Cの代表例は、スーパーやコンビニ・百貨店などの流通業界やレストラン・ファストフードなどの外食産業、B to Bの代表例はオフィス機器メーカーやSI(システムインテグレータ)などが挙げられます。

しかし、コンシューマ(消費者)向けの商材を取り扱っているならB to C、法人向けならB to Bと、簡単には分類できません

アルコールメーカーは個人向けの商品を取り扱っていても、それを仕入れる酒屋、スーパー、飲食店への販売が中心です。自社流通を持たないメーカーの営業部門の実態はB to Bといってもいいでしょう。

流通業界にも法人向け営業があります。百貨店にとって法人が顧客に送るギフトは、個人のマーケットと同様巨大なものです。また景品があたるキャンペーン(プレミアムキャンペーン)のようなセールスプロモーションも百貨店の巨大マーケットであり、百貨店が広告主や広告代理店に景品を提案し、大量調達します。景品が食器皿の場合は海外からの輸入や梱包・輸送も手慣れておかなければならず、百貨店ならではの強みがあります。

PC直販のデルは個人同様法人にも大きなシェアを持ちます。いわば「B to B or C」と言える業態でしょう。またクレジットカード業界は、個人に決済機能を提供するという意味ではB to C、加盟店に入金代行する点でB to Bと、「B to B and C」とも呼ぶべきビジネスです。さらにはほぼ100%B to Bである広告会社の業界に、最近「スラムダンク作者井上雄彦氏の新聞広告」のような「個人広告」という事例も出てきていることにも注目したいところです。

結論をいえば、ビジネスに「B to B」の要素がないという業界は極めてまれだといえるでしょう。仮にB to Cから始まったビジネスとしても、そのノウハウをB to Bに水平展開することで企業はさらに成長します。また外食産業のように実際に販売するのは個人だとしても、その原料の調達は巨大なB to Bの交渉です。

業界や会社の研究をするときには、実際にその企業がお金をもらう、お金を払う先がどこなのかという視点を持つことが重要です。

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2004.09.29

クリティカル・マス。

クリティカル・マス(critical mass)とは化学用語で「臨界(質)量」のことです。物質が一定以上の密度で集まると自然に化学現象を起こすことで、原子力の分野などで使われます。

マーケティングの世界では、普及している数(または普及率)があるレベルを超えるとさらに普及が加速する現象、その普及レベルを言います。この経済学的理論は奈良産業大学経営学部水谷直樹氏のサイトが極めて分かりやすい解説をしています。このレベルを越えれば需要が加速していき、生産体制もどんどん拡大して価格も下がり、関連マーケットも生まれ成長していきます。マーケティング上は「人口の17%がクリティカル・マス」といわれているそうです。

最近もっとも劇的にクリティカル・マスを越えて成長したのは携帯電話でしょう。携帯電話は相手あってのツールですが、クリティカルマスを越えて普及が進むと、まだもっていない人はコミュニケーションの中で取り残され、ついにもたない理由すら許さない状況に追い込まれます。普及率自体がコミュニケーションニーズを創造し、急速に普及が進んでいきました。

もう一つ有名な例は、DVDプレイヤーです。DVDプレイヤーは長い時間をかけてクリティカルマスを越え、録画もできるDVDレコーダーは今や家電製品の中心的位置付けとなっています。

普及の最初のステップはソニープレイステーション2がDVD再生機能を搭載したことですが、その後パソコンのCD-ROMドライブがDVD対応に取って代わられ、いつの間にかDVDを再生できる機器が複数台あるという家庭も多くなっていきました。日本映像ソフト協会(JVA)発表の資料では2001年のDVD世帯普及率は22%となり、業界としてはこの時点でクリティカル・マスを越えたと判断したのだと思います。

その後DVDプレイヤーのクリティカルマスに敏感に反応したレンタルビデオチェーンは、品揃えまで変えて消費者の現在そして将来の需要に応えました。DVDプレイヤー未購入者もレンタルビデオ店を見て新しい時代がきたことを実感し、次々と購入に踏み切っていきます。そして今や2004年3月時点のDVD世帯普及率は35.4%に急増、3世帯に1世帯はDVDが見られる環境になっています。

機関車トーマス、クレヨンしんちゃん、ポケットモンスターなど子供用のレンタルビデオはものすごい回転率であり、たいていボロボロです。かすれた画面を子供と一緒に見ながら、アナログメディアによる映像コンテンツはクリティカル(危機的)な状況にあると実感しました。

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2004.09.26

カタログの仕事が大事な理由。

先日会社の先輩が「いろいろ大事な仕事はあるけども、実は大事なのはカタログ製作だ」と言っていました。そういえばある後輩も「ずっとカタログ製作の仕事で泥沼の残業をしていましたが、とても楽しかったです」と言っていたのを思い出しました。

2人は共通して「カタログの作業は広告主とがっぷり四つに仕事ができる」と言います。

カタログ製作は極めて地味な作業であると同時に莫大で正確な製品知識が必要となります。また素材となる写真撮影数も膨大です。極めて専門的であり、かつ販売の現場でそのまま使われるものであるため、広告主も広告会社などに丸投げすることはできず、最終的な校正は結局広告主側が行うことになります。テレビCMや新聞広告でも同様に制作物の最終責任は広告主にありますが、要請される正確さや知識はカタログの比ではありません。

このためカタログ製作は知識や経験のあるスタッフが極めて重宝されます。価格競争もないわけではありませんが、一度も取引をしていない印刷会社がいかに安く言ってきても、結局製作で苦労するのは広告主自身です。したがってカタログ製作は一旦広告主との信頼関係が構築されれば比較的長期に指名受注できる分野となっています。後輩は「とにかく広告主とべったりの作業だったが、苦しさも楽しさも共有できた」と言っていました。

とても地味な分野だと思われますが、たとえば電機製品や自動車などの高額商品は、最終的な購入行動の決め手がカタログであることも度々です。小さい広告会社でもこのカタログ扱いのあるところは一つの強みを持っていると言えるでしょう。

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2004.06.30

公告。

「公告」と「広告」は極めて異質なものです。

自発的にメッセージを広く伝えることで、なんらかの影響を及ぼすことを目的とするのが「広告」であり、なんらかの定めに則り特定情報を公に周知させることを目的とするのが「公告」といえるでしょう。

一般に公告は国や官公庁が法律に則って新しい法律の施行前や国有地の払い下げなどの際に行われます。しかし公告といっても、官報と呼ばれる専門紙(?)への掲載や、役所の前にある掲示板に掲示するだけという場合がほとんどです。

官公庁以外にも、株式上場企業が重大な決議や判断をする際に、商法や東証の定めに則り公に告知することがあります。代表的な例が決算公告を筆頭とする法定公告です。

6月29日は株主総会が集中する日でした。株主総会で承認された決算は商法に則り官報または定款に定めた日刊新聞紙で公告しなければなりません。

多くの上場企業が定款で日本経済新聞を公告を掲載する日刊新聞紙と定めています。このため6月30日の日経朝刊はこの「決算公告」が集中します。今朝はぜひ駅売店で日経を購入し、その分厚さを確かめてみてください。

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