エントリーシート

2009.02.02

(緊急新作)「当社で成し遂げたいことは何ですか?」

この問は、例年大手広告代理店のエントリーシートでも聞かれているものです。毎年聞かれているということもあり、この会社がこの質問を極めて重要視していることがわかります。

この問に取り組む上で一番重要なのは、「当社でやりたいことは何ですか」ではなく、わざわざ「成し遂げたいことは何ですか?」と聞いている点に注目することです。「成し遂げたいこと」はもっと大きな、そしてもっと具体的なことが期待されていると考えるべきでしょう。言いかえるなら、この問は「あなたは当社でどんな夢を実現したいですか?」と聞かれているのと同じだと、私は考えています。

もちろんその会社で実現する夢ですから、その事業を完全に逸脱した独りよがりのものでもダメでしょう。といって「人々に商品のことを知るキッカケを作りたい」といった、ただ広告の機能を説明しているにすぎないような内容では、「あなたが」成し遂げたいことへの答えにはなり得ません。

また、会社で「成し遂げる」経験はそう何回もありません。日常の仕事をこなすことや、例えば営業という任務を首尾よく全うする、ということでは、この答えとしては不十分です。逆にいえば「成し遂げる」級の仕事は、そのチャンスを積極的につかみに行かなければ、いつまでたっても自分には回ってこない類のものとも言えるでしょう。

大きな夢を語り、社員として自らを磨きつつ、いつかその夢をつかんでやる。そんな姿勢が見られる答を書いてみてはいかがでしょうか。会社に入ってしまうと、そんな夢も忘れがちになるものです。その会社は夢を実現するにふさわしい代理店であり、決して若い人の夢を笑ったりしませんよ。

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2008.02.13

エントリーシートは、期末試験ではない。(再掲)

私にはひとつ気になっていることがあります。もうすぐエントリーシートの提出期限が一斉にやってくる時期になっており、「エントリーシート書いた?」というノリの話がよく聞かれます。これは、「期末試験対策した?」「やっべー、まだだよー」という会話と同様のレベルの感じがしてなりません。

内定する、ということは、役員面接で通過することです。

途中で何回エントリーシートや筆記や面接を通過しようと、役員面接で落選すればなんら意味はありません。過去のコラムに書いた通り役員面接は特殊な位置付けだとしたら、役員面接に送り込む学生を採用当局が絞り込む「役員面接前面接」が、極めて重要な位置付けとなります。しかも選考はすべての過程が1、2カ月程度で終わる、急なスケジュールになっています。

はっきりいいましょう。広告業界では採用倍率から考えても、エントリーシートで「かつかつ受かる」レベルの人が内定することはありません。じゃんけんに4回連続で勝てば内定、という訳にはいかないのです。

SPIのような筆記試験は別にすれば、広告業界の採用試験のすべてのフェーズは、同じ「コミュニケーション力」という競技です。甲子園で本気で優勝を目指すチームは、地区予選の初戦突破に特別な対策を練ることはありません。手を抜く事なく、優勝するための練習を生かし、普段どおりの試合をするだけです。

人事幹部や役員との面接の場で、どう自分が会社に貢献できるかを説得し、相手に納得してもらうかを、徹底的に追求する。これだけが、内定し、それだけでなく実際に仕事で活躍するために、あなたがしなけらばならないことです。徹底的に考え、自分なりの結論を得たのなら、エントリーシートはその一部分として必ず簡単に書けます。

広告業界は常に「競合プレゼン」に晒されており、「完勝」を目指して全スタッフがそれぞれのパートで全力を挙げます。一度でもベストを尽くしたことのない人には、絶対に通用しない業界です。

内定を手にする学生は、大学の試験でいえば「全優」を狙うレベルで努力している人と言えるでしょう。単位は試験対策程度で取れるでしょうが、内定はエントリーシート対策程度では遠く及ばないのです。

普段の試験対策の「ノリ」でエントリーシートに取り組んでいる学生の方がいれば、まず、心構えから考え直してみてください。今なら、まだ間に合うかもしれません。

※このコラムは、地方の就活生に贈ります。中途半端にエントリーシートに通っても、最後まで駆け抜ける力がなければ、途中の莫大な移動費用が無駄になります。役員面接まで一気に内定するつもりで、十分自己革新して臨んで下さい。

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2006.02.26

小学生でも分かる。

拙著はおかげさまで売れ行きもよく、また無料PDFプレゼントキャンペーンのおかげもあってか、本の感想を多くの方から頂戴しています。心より感謝申し上げます。

寄せられた感想の中で、「本の中でもっとも印象に残ったコラム」を聞いていますが、「おかしいです」は、おかしい「です」。を挙げてくる学生の方はかなりいます。このことが家庭で話題になり、私が小学生低学年の息子に

(すこし幼稚な読み方で)「~になりたいです!」って大学生のお兄ちゃんたちがいうのは小学生みたいだよね~
というと、息子は
そりゃ幼稚園だ。
と軽く返してきました(爆)。

このコラムのミソは、会話ではなく文章を書く上で極めて重要であるということです。あなたがどのようなイントネーションで書こうと、読む側が幼稚な読み方と捉えれば、小学生どころか幼稚園級に聞こえてしまうのです。

本コラムを熟読いただいている方、今一度心に刻んでください。

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2005.12.25

話の「編集」。

以前広告労協F氏が主催した「上京者のための辛口模擬面接会」でF氏はある女子学生のエントリーシートを見ながら個々の項目に関して質問し、最後に困惑したようにこう指摘しました。

「もっと話を『編集』してください。」

面接官というのは学生を一言で言える優秀さを探し当てるために面接をします。その材料たるエピソードがたくさんあっても、方向性がばらばらでは、全体で何を言いたいのかが分かりません。そのようなエピソードはいわゆる「撮って出し(撮ったものをそのまま放送する)」のビデオ素材と同じです。そのようなものをただダラダラと見せられても、一つのメッセージとしては伝わってきません。

F氏の「編集」という言葉は、問題の本質を見事に言い表しています。私も「機関車トーマスの価値観。」(2004.04.27発表)で書きましたが、短い面接の場ではどんな話をしようと、どんな質問に答えようと、その内容は「自分は役に立つ人物である」ことをアピールできるものになっているべきだと言えます。採用試験が「自分を採用してもらう」ことを目的としているなら、少々強引でもすべてのエピソードを「役に立つ=採用してもらう価値がある」という統一した方向性に「編集」することが重要です。

私は常々テレビ番組の編集能力の高さに注目しています。短い時間でのプレゼンメソッドとして、テレビの情報番組・ニュース番組の編集はとても参考になります(もちろんやりすぎの編集が批判されることはありますが)。あなたのエピソードのそれぞれが、流れるように統一テーマ(=役に立つ人材像)を醸し出せるようになれば、あなたというドキュメンタリーは完成です。質問にただ回答するのではなく、その質問から多少強引にでも統一テーマに持っていくぐらいしなければ、その部分は面接官の記憶から「カット」されるに違いありません。

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2005.12.23

話題の選び方。

学生の方の面接報告で

エントリーシートに好きなものとして(マンガ・アニメの)「ワンピース」を挙げていたところ、面接官に「『ワンピース』は私は実際よく分かりません。相手が分からないかも知れないものをあなたはなぜ書いたのですか」と聞かれました。

というものがありました。模擬面接ではこのような指摘をすることがよくありますが、実際に面接官が指摘した事例は初めて聞きました。まさに氷山の一角と言えるでしょう。

例えばこれがCMのタレントやキャラクターの提案だったらどうでしょうか。「ワンピース」を知らないクライアントにそのよさを理解してもらうには、その存在自体や人気の程度をていねいにプレゼンする必要があります。大きなキャンペーンのメインキャラクターを決めるプレゼンなら十分準備もできるし、プレゼン本番でもじっくり説明できます。しかし、面接で本筋と関係ないところで相手がひっかかったりするのは時間が無駄であるだけでなく面接のいい流れを止めてしまうことにもなりかねません。また上記面接官のように話題の選び方自体を指摘されることもあるでしょう。

また私の仕事であるインターネット広告ではPV、CT、CPC、CPA、UUなど極めて多くの専門用語が飛び交います。また販売方法自体もページビュー保証型、期間保証型、クリック課金型、成果報酬型などがあります。これらの専門用語に慣れ過ぎると、重要なプレゼンテーションの場で相手が知らないまま使ってしまったり、請求する場になってトラブルを引き起こしたりします。

難しいのはプレゼンする相手の知識レベルが様々な場合です。その場合は、そのプレゼンに出席する相手のキーマンが誰かを事前に調べ、その人のレベルに合わせるのが通常でしょう。レベルに合わせるといっても、すべて冗長に説明するということではなく、最初にその用語を使う時にきちんと説明したり用語集を添付したりなど、「相手への配慮」が感じられることが重要です。

このように、話題の選び方や説明の仕方の問題は単なる世代間のギャップが起こしたことと考えるべきではなく、仕事の現場でこそ気をつけなければいけないことだといえます。

面接で自分の興味のあることを話すのであれば、「一言の」補足説明で「あ、あれね」と分かるような説明ができるようなものでなければいけません。広告業界での面接では、タレントならCM、アーティストであればCMソングで例えるのが一番分かってもらえる確率が高いでしょう。逆に言えば広告業界で働く人にもきちんと知られている話題を挙げることがよいと思われます。

私にとって「ワンピース」とはその直前の「こち亀」同様、「ADKが絡んでいるアニメ」というイメージがあります。最近で言えば東急エージェンシーが取り組んでいる「快傑ゾロリ」が我が家の主役です。これらは著作権表示やスタッフロールを注意深く見ていればわかります。CM同様、アニメや映画でどこの広告会社が絡んでいるかは、当該会社を受ける際の必須知識かも知れません。

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2005.12.19

アルバイトと、職業観。

模擬面接の場で幾度となくアルバイトの話を聞いてきました。社会を垣間見る上でアルバイトの経験は非常に重要です。しかしその言い方ひとつでプラスにもマイナスにもなります。

「アルバイトで頑張れたので、御社でも頑張れます」と直球で言えば、「仕事をなめるんじゃない」と思われるでしょう。またウェイトレスをしていた学生が「人と接する仕事が好きなので、御社を志望しました」と言っても、接客業のようなB to C型と広告業のようなB to B型のビジネスは基本的には異質なものであり、「そのような志向ではこの業界には合わないのでは」と思われても仕方がありません。

アルバイトに限らず、自分の経験や得意分野が相手の世界にも「そのまま」当てはまるというロジックには、注意と気配りが必要です。あなたが主張することが仕事の現場にも当てはまるかどうかは、あくまで面接官側の判断なのです。

アルバイトは特にその人の「職業観」に直結します。これは企業と学生のマッチング度を計る上で最も重要な要素の1つです。個人的な意見ですが、アルバイトの話は、その経験を通じて構築された自分自身の職業観(大きく言えば世界観)に一旦昇華すべきだと思います。その後に、その職業観がその業界や企業がマッチするかどうか、どのように生かすことができるか論じていくことで、相手の世界にすんなり入っていくことができるのではないでしょうか。

人とのつながり、コミュニケーションの重要性などは、社会人にも学生にも共通の価値観が存在するでしょう。しかし「職業」に関する意識は天と地ほど違います。業界内外で働く人の職業観に数多く触れ、自分のアルバイト経験などと照らし合わせ、自分自身の職業観をしっかり持ってください。それが説得力を持つかどうかが、社会人になれるかどうかの分かれ目といっても過言ではないでしょう。

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2005.12.17

経験による自分の成長は、「位置」より「幅」。

自己PRに、サークルやボランティアの経験による「自分の成長」を書いてくる人はとても多いです。しかし、ESはあなたのもともとの背景を知っている両親や親戚、旧友にアピールするのではありません。相手は、初対面の社会人です。

現実のセレクションでは、倍率が高いこともあり、成長ではなく、あなたがどの位置にいるか、絶対的なポジションが勝負になります。広告代理店は社員を教育するメソッドが少ないので、特にこの傾向が顕著です。中間採用が多いこともこれを示します。

では、絶対的に高いポジションにいない人にチャンスはないのでしょうか。そんなことはありません。成長の「幅」を「具体的」に見せればいいのです。

TOEIC200点の人が、ネットで英語が使えないを悔しさをバネにして一念発起して800点までいけば、帰国子女の900点より評価する採用担当はいるでしょう。また引きこもりの人が、ボランティアサークルに接したことで一気に社会性に目覚め、今では引きこもりの子供の指導をしているという話は、面接官にもっと話を聞かせてほしいと思わせることでしょう。ここまで極端でなくても、表現方法一つであなたの成長はいくらでもイキイキとアピールできるはずです。

もともと、ほとんどの(文系の)会社は、新卒者に具体的な経験を求めていません。なぜならば会社に入ってからの教育・経験の方が圧倒的に厳しいからです。あなたが会社・社会についてこれるかどうか、自分で道を切り拓けるタイプなのか、TOEICや資格など絶対的なポジションにいる学生より、成長の幅を経験した学生の方を期待する面接官も必ずいます。

今のあなたの位置を確認するのと同時に、過去の自分がどうだったのか、具体的に振り返ってみてください。成長の幅が小さいとすれば、まだまだ人生を変えるような経験が少ないといえるのではないでしょうか

(2002.12.08 に発表したものを再掲載)

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2005.12.15

「Jess:日本語小論文 評価採点システム」。

エントリーシートをチェックするのに、役立つ「かもしれない」サイトがあります。その名も「Jess:日本語小論文評価採点システム」。

大学入試の小論文を「自動的に採点する」というものであり、質問文と解答文を入れると以下の評価基準で採点します。

■修辞

文章がよく書かれているか評価します。具体的には以下について評価します。

・文章の読みやすさ
・語彙の多様性
・ビッグ・ワード(big word, 長くて難しい語)の割合
・受動態の文の割合

■論理構成

アイディアが理路整然と表現されているかを評価します。

■内容

与えられた問題文に関連した語彙が用いられているかを評価します。

私のコラムで様々な方から評価をいただいたいくつかのコラムで試してみました。

●「役員=お父さん、人事=お母さん論」(質問文は「就職活動における役員面接の問題点を論ぜよ。」)、

・修辞 3.9 ( 5点中 )
長すぎる文があります。
句(読点と読点の間、あるいは読点と句点の間)の長すぎる文があります。
句の中の文節の数が多すぎる文があります。
埋め込み文が全体の分量に比べてやや多いように見受けられます。
語彙の多様性がやや不足しています。
・論理 2.0 ( 2点中 )
・内容 1.5 ( 3点中 )
質問文との関係が希薄であるように見受けられます。
分量過少による減点 0
最終得点 7.4 ( 10点中 )


●「まず、名乗る。」(質問文は「採用試験では、自己紹介で自分の名前を名乗ることが重要である理由を述べよ。」)

・修辞 3.5 ( 5点中 )
漢字の使用がやや少ないように見受けられます。
連用形や接続助詞の句の並びの多い文が、幾つかあるように見受けられます。
語彙の多様性がやや不足しています。
長くて難しい語がやや少ないように見受けられます。
・論理 2.0 ( 2点中 )
・内容 2.2 ( 3点中 )
分量過少による減点 0
最終得点 7.7 ( 10点中 )


●「性差のない登用。性差のない採用。」(質問文は「女性の昇進問題について論ぜよ。」)

・修辞 3.6 ( 5点中 )
句(読点と読点の間、あるいは読点と句点の間)が総じて(平均的に)やや長いように見受けられます。
句の中の文節の数が総じて(平均的に)やや多いです。
句の中の文節の数が多すぎる文があります。
埋め込み文が全体の分量に比べてやや多いように見受けられます。
連用形や接続助詞の句の並びの多い文が、ややあるように見受けられます。
受動態の文が全体の分量に比べて多いように見受けられます。
・論理 2.0 ( 2点中 )
・内容 2.6 ( 3点中 )
分量過少による減点 0
最終得点 8.2 ( 10点中 )

全般的に論理では高得点、文章自体には課題が多いようです(苦笑)。また初期のコラムはやはり荒っぽいものも多く、最近は文体が固まってきたのか安定してきているようです。

「広告業界を志望する理由を述べよ。」という質問文で、あなたのエントリーシートの文章を入れてみてはどうでしょうか?論理は普通にきちんとしていれば評価されるようですので、まずは論理点から高得点を目指してみてください。

※「埋め込み文」とは括弧書きか引用のことなのでしょうか。要注意ですな>挨拶専用85氏(爆)。

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2005.12.13

「添削」と、「ダメ出し」。

「エントリーシートの添削をしてください」という要望が多数寄せられます。しかしこの活動で「添削」をするつもりは一切ありません。大学生が求めている「添削」の多くは、提出するESを完成させるためのものです。しかしESは提出するだけで単位が取れる授業ではないのです。

strong>ESで大事なことは「何を言うか」と「どう言うか」です。これは広告業界の重要な機能であるマーケティング(what to say)とクリエーティブ(how to say)を自分自身で一気通貫してみる疑似体験だと言えます。

「添削」とは、目の前にある中身をベースに「どう言うか」かをチェックすることです。しかし就職活動では「何を言うか」の方が圧倒的に重要です。それはあなた自身しか分かり得ないことであり、中途半端な添削は「何」の追求を止めてしまう恐れもあります(もちろんクリエーティブ志望なら、同じぐらい「どう言うか」を評価されています)。

「添削」という言葉は受動的なニュアンスが大きく、個人的にも好きではありません。OB/OGにエントリーシートの件で相談するならむしろ「ダメ出しをしてほしい」という方がいいのではないでしょうか。これであれば「what to say」がダメならそれを、「how to say」がダメならそちらを指摘してくれるでしょう。

厳しい評価を受けることはとても抵抗があると思います。しかし所詮は社会人と学生、何の利害もない間柄です。旅の恥はかき捨てといいますが、OB/OG訪問もどんどんダメ出しをもらってください。それはまもなくすれば揺るぎない自信に転換すること間違いありません。

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2005.12.11

「40歳までのキャリアプラン」に「結婚・出産」を入れるべきか。

ある広告代理店のエントリーシートで「入社して40歳までに、どのような人生の計画を考えますか?」という課題が課されています。これに関し女子学生から「結婚や出産といったことも書かなければいけないのでしょうか」という相談がありました。

この件について、知り合いの社会保険労務士の先生にヒアリングしたところ、以下のような意見をいただきました。

・この会社は社員のキャリア形成支援に力を入れている。新卒採用にこのような課題を課すのは、その人の価値観やどのようなプロフェッショナリズムを目指すのか、そのためにどんな心構えや計画を持っているかを知りたいのであろう。

・キャリア・プランは2年先くらいまでの近未来、5年先、10年先、ライフ・プランといったスパンで記述するのが一般的。近未来は自己の能力開発などの実行計画を、遠未来は昇進・昇格や結婚・出産などのライフ・イベントをも想定して書くもの。

・一般論でいえばこの設問は職業観や信条、キャリアゴールを問うものであるため、自分の考えを率直に記述すればよいと思われる。ただしこれは建前であって、結婚・出産に対する取り組みは企業や組織のカルチャーによって微妙に異なるのが現実。この会社の福利厚生の方針や施策の具体的な内容なども念頭に置いて記述することが勧められる。

この話からも分かるとおり、キャリアプランというのはプライベートも含めた自分の人生と密接なものだと言えるでしょう。自分の人生の多くの時間を費やす会社がどのようなキャリアプランを支援してくれるかは、会社を選択する、または勤務している側からすればとても重要なことです。

しかし学生のキャリアプランを「選考の材料」にするということはいかがなものでしょうか。

今、日本の抱える諸問題の根源は「少子高齢化」だといえます。子供を2人、3人と持ちながら仕事ができる環境を整えるのが日本の課題であり人気企業の務めです。会社に子供を作ることはできません。企業の社会的責任(CSR)の基本は今や社員の子育て支援にあると言えるのではないでしょうか。

とはいえ、女子学生にとってこの質問では「出産」をどう表現するかが最大の難関です。果たして2人まして3人子供を持つと、このエントリーシートに書くことができるでしょうか。1人が限界の社会では少子は進行するばかりです。また男子学生が「育児休暇をとる」と書けるでしょうか。

人生は自由であり、結婚も出産も計画的にはいきません。その時々に人生の転機があります。個人的な意見ですが、会社が「選考の材料」としてキャリアプランを書かせるのは、その企業が出産・育児に関して男女の区別なく全面的な支援の姿勢をもっている場合に限るべきだと考えます。出産・育児への対応について事前に学生へ十分な説明がなされない中でこのような設問があるとすれば、それは不適切なものだといわざるを得ません。

この会社で育児支援に関する事前説明があったかは分かりませんが、社会保険労務士の先生の指摘にあるとおりこの会社はキャリア形成支援に力を入れている企業であり信頼できると思われます。今回のケースに限っていえば堂々と自分の考えを書くことが大事であり、入社後にそれをきちんと履行してもらうようにしましょう。

しかし子育て支援の姿勢がない会社がこのような質問を出せば、当落を決める材料にする恐れがあります。上記社労士の指摘の通り、その会社の福利厚生の方針や具体的な内容をきちんと調べることが重要です。

※この課題に取り組むには、山本直人氏(元博報堂人事ディレクター)の「グッドキャリア キャリアがブランドになる時」が参考になると思います。ぜひご一読を。

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