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2005.10.07

広告業界は、「マスコミ」か?

一般的な会社のジャンルでは、広告代理店は「マスコミ業界」に入っているようです。しかし、これは正しい分類なのでしょうか?

マスコミ業界とは、一般的にはメディア会社群(主にTV、ラジオ、新聞、雑誌)、およびそのコンテンツを制作する会社群(制作プロダクションなど)のことを言い、第一義的には前者のことを指すものと考えられます。

一方広告代理店の基本構造を極めて単純化すると、「マスコミ各社の広告枠を、広告主に販売する」というものであり、マスコミは商品の仕入先ということになります(※厳密には仕入販売とは違います)。しかし、仕入先がマスコミであるということで、自分自身がマスコミ業界といえるのでしょうか。このような定義であれば、コーヒー豆を仕入れている専門商社は農業になり、家電製品を販売している量販店は電機業界となります。

また広告枠という商品は、仕入れた後は誰にどれだけでも販売してもいいコーヒー豆や家電製品と違い、掲載する広告主自体の審査や広告表現の校閲、また臨時ニュースなどで枠を飛ばしたり(=予定の広告掲載をメディア側からキャンセルする)、広告主にとって都合の悪いニュースを掲載・放送することもあります。すなわち、マスコミ業界は元来「ジャーナリズムを核とした、公共性の高い」業界であり、メディア会社の持つ「広告枠」という商品は、残念ながら、公共性やジャーナリズムの前には二次的な位置付けなのです。

広告業界は、「消費者へのインサイトとコミュニケーション力」がコアの価値である一方、極めて「B to B (Business to Business 企業間の取引)」色が強いという特色があります。マスコミのように直接コアな読者・視聴者を抱え、番組で流れた音楽が爆発的に売れるといった力を、広告業界単体では持ちえていないのです。したがって、広告主の多くは広告業界をあくまで「(広告主への)サービス業」と認識しています。

広告業界を「マスコミ」と位置付けることは、ほとんど伝統的な分類であり、多くの学生がTV業界と同列で広告業界を見ているようです。しかし、広告とメディアの立ち位置の微妙な違いを十分に理解せずに、派手で面白そうな業界ということで志望し入社試験に臨んだとしても、少なくとも広告業界にはまず入社できないと確信しています。

「広告業界就職フォーラム」では、志望する学生の方々に、広告業界を、

「クライアントのコミュニケーション課題を解決する総合サービス業」

と認識してもらいたいと思います。

そして、「TV/商社/コンサル/広告」といった「合コンつながり(!)」での就職活動ではなく、コミュニケーションのプロがもっとも力を発揮できる業界として様々な広告会社を研究し、挑戦していってほしいと思います。

しかし、広告業界もマスコミ業界的な感覚が要請されています。公共性の高いメディア会社にとって、「広告も視聴者・読者にとって有益な情報の一つである」という大きな建前があるからです。消費者への有益なメッセージをメディアに載せるのが広告代理店の役割であるとすれば、広告主の信頼性を広告会社が担保する必要がありますし、表現についても役に立つことや楽しいことをきっちり伝えなければいけず、消費者に誤解を招いたりミスリードしてはいけません。

また、マスコミという社会に不可欠なインフラを存続させるためにも、広告業界の立場はとても重要になります。広告主の利益とジャーナリズムの調整という、とても困難な仕事を、コミュニケーション力で遂行していくのが広告業界のミッションです。

このコラムをきっかけに、広告業界とマスコミ業界の関係を皆さんなりに一度きっちり考え、面接に役に立てて下さい。

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