« 再販制度と出版業界(後編)。 | トップページ | 再販制度と新聞業界(中編)。 »

2005.08.08

再販制度と新聞業界(前編)。

先日「再販制度と出版業界。」というタイトルで、出版流通における課題について述べました。では新聞というものを考えた時、再販制度をどのように捉えたらよいのでしょうか。その前に、新聞とは何か、新聞社とはどのような企業なのかを考察してみます。

新聞社の企業使命は言論・出版の自由の実践です。まさに民主社会の公器と言えます。このため、特定株主に買収され紙面に影響を受けることのないよう、新聞社は株式上場しないのが一般的です。

新聞社は記者を自社で雇用し、記者はどんな記事がどれだけ売れる・この企業から広告費が期待出来るといった細かい算段や取引なしに取材費をかけ、日々苛酷な取材をこなします。政治・経済・事件・事故は記者を待ってくれません。1日でも半日でも他紙に抜かれれば「特オチ」のレッテルを張られます。新聞社の企業努力は「特ダネ」をいかに嗅ぎ付け、他紙に先駆けて紙面にするかに絞られると言えるでしょう。もちろん取材の結果興味深い真実が出ず取材費がムダになることもあります。しかし、出版であればその企画がどれだけ売れるか時間をかけて計画を立てるのでしょうが、新聞記事では立ち止まって一つ一つの採算性を検討していてはいい紙面は作れないのです。

新聞記者の方々と話していると、ジャーナリストとしての高い職業意識に感銘を受けます。ジャーナリストとは誰にも制限を受けずに自らの考えに基づいて行動する検察官のような存在です。また石油や農産物のように海外から輸入といったことができないのもジャーナリズムの特徴です。日本社会が自由で健全であることを保障するためにも、ジャーナリストには通常の民間企業とは全く違うロジックで動いてもらうことが必要なのです。

|

« 再販制度と出版業界(後編)。 | トップページ | 再販制度と新聞業界(中編)。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 再販制度と新聞業界(前編)。:

» 私の就職活動本の用途 [がんばれ!広告業界就活生〜07年度新卒へ〜]
 どうも、ライターの孫子です。  そろそろ、「面接の達人」や「絶対内定」などの就職活動本がリニューアルされる時期ですね。皆さんの中には、すでにこれらの就職活動本を何冊か購入なさっている方がいらっしゃるかと思います。今日はそういった、就職活動本について書こうと思います。  まず、私は、面接の達人ユーザーでした。そして私のこの本の用途は、就職活動の疑問に対する答え得るためです。  つま�... [続きを読む]

受信: 2005.08.12 04:19

» 新聞の再販制度維持が「業界エゴ」でないために [ニュース・ワーカー]
 きのう20日付けの読売新聞朝刊に、新聞の特殊指定見直しに絡む世論調査結果と特集記事、社説が掲載され、きょう21日付け朝刊では、朝日新聞も世論調査結果の記事を掲載している。朝日の記事はサイト上で見当たらなかったのだが、新聞の宅配制度について91%の人が「今後も続いた方がよい」と答え、「その必要はない」と答えた人は6%だったという内容。  読売の記事、社説、特集をめぐっては、元朝日新聞記者のtmreijiさんが「新聞読んだ?」で業界エゴの臭いを指摘され、毎日新聞の磯野彰彦さんも「上昇気流なごや」でネ... [続きを読む]

受信: 2006.02.23 09:37

« 再販制度と出版業界(後編)。 | トップページ | 再販制度と新聞業界(中編)。 »