労働組合は会社の「敵」なのか。
労働組合という組織は従業員代表という立場で会社と交渉します。このため「会社と労働組合はお互いを敵視しているのでは」と思っている人もいるようです。
そもそも「敵」という言葉はどういう意味なのでしょうか。大字泉で引いて見ると
1 戦い・競争・試合の相手。「大国を-に回して戦う」「-の意表をつく」「-をつくりやすい言動」味方。
2 害を与えるもの。あるものにとってよくないもの。「民衆の-」「社会の-」「ぜいたくは-だ」
3 比較の対象になる相手。「-のほうがもてる」「弁舌にかけては彼の-ではない」
4 遊里で、客と遊女とが互いに相手をさしていう語。相方。おてき。
「-もをかしき奴(やつ)にて」〈浮・一代男・二〉5 (「的」とも書く。代名詞的に用いて)多少軽蔑して、第三者をさしていう語。やつ。やつら。
「-めもえらい痴呆(へげたれ)めぢゃ」〈滑・浮世風呂・前〉
(大字泉)
とあります。「敵視」という場合は、2の「害を与えるもの」という意味と考えられます。ということは、会社にとって労働組合は「害を与える」存在なのでしょうか。
株主が資本を、従業員が労働力を提供することで、会社は利益をあげていきます。当然配当や人件費を抑えれば会社に利益がたまりますので金銭的には一種の「利害関係」にあるといってもいいでしょう。しかし3者とも会社という組織体の継続性を共通の前提としています。したがってその利害関係は「話し合い」による建設的な解決が可能なのです。労使関係を「敵視」「敵対関係」とするのは全くの誤解であるとしか言いようがありません。
とは言え世の中きれい事だけでは済みません。確かに労組と会社がうまくいっていないところは存在します。「社長が労働組合を嫌っている」などと公言している場合もあるようです。
しかし明白なステークホルダーに対してそのようなことを公言すること自体、経営者失格であることは言うまでもありません。オーナー社長やワンマン社長にありがちなパターンですが、そもそも企業を取り巻くステークホルダーの存在自体を軽視している可能性も高いといえます。監査部門すら正常に稼働していないかもしれません。
本当の「敵」とは国内であれば裁判、国外であれば場合によっては戦争でしか解決しない関係のことを指すのです。軽々に相手のことを敵と呼ぶのは、敵を増やすだけにしかならないと心得るべきでしょう。
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