« カタログの仕事が大事な理由。 | トップページ | 再販制度と出版業界(後編)。 »

2005.08.06

再販制度と出版業界(前編)。

再販価格維持制度、いわゆる「再販制度」とは、製造者が小売業者に対してあらかじめ定めた小売価格以外で販売してはならないというものであり、独占禁止法の例外として定められています。事実上再販制とは書籍・出版物を対象とし、出版文化の維持発展のために売れ線以外の出版物の価格を守り、筆者や出版社・書店を保護する役割を果たすと言われています。

もう一つ書籍・雑誌の流通に特徴的なことは、トーハン・日販に代表される「取次(とりつぎ)」という仕組みです。零細規模の多い書店業界が売れ線以外のさまざまな種類の書籍を販売できるようにするため、書店は書籍を「問屋から買い取る」のではなく、「取次会社から取次いでもらう」形で在庫リスクを避けます。分かりやすく言えば店頭にある書籍は書店ではなく出版社の資産なのです。書店はいつでもノーリスクで返品することができ、出版社は返品の山を抱えます。在庫リスク、すなわち売れ残るリスクは原則として出版社が負うことになります。

再販制度と取次の仕組みは事実上両輪の関係にあります。仮に書店に一定量の書籍を買い取ってもらうのであれば、書店はそれらを売り抜かなければ損になってしまいますので、書店がいくらで販売するかを拘束することはできません。在庫リスクを肩代わりしてもらうこと条件に、書店は多種多様の書籍を置きます。この調整機能と金融機能を持つのが取次会社です。

取次をベースとした書籍流通は書店の意義と経営の保護に大きく貢献してきました。また出版社の方も一般に企業規模は小さく、再販制度により一定の利幅を確保してきました。ところがコンビニ販売、大手古本チェーンとマンガ喫茶という新しい流通業態の出現が出版・取次・書店業界を直撃しました。町の零細書店は廃業に追い込まれ、出版社も文庫本やマンガといったかつての売れ線商品が大きな在庫と化しています。

しかし出版不況の最大の要因は「活字離れ」、すなわち人が出版物にお金をかけなくなったことです。長かったデフレの時代の中でも再販価格を維持してきた出版業界は、古本・マンガ喫茶だけでなくインターネットや携帯、さらにはフリーペーパーで得られる無料の情報に押され、雑誌・書籍問わず販売部数を下げてきました。

広告業界で働くものとして、出版業界の行く末はひとごとではありません。これら逆境の中で出版業界が今後活気を取り戻し、人々の文化や流行・教養の源の座にあり続けるためにはどのような施策があるでしょうか。

|

« カタログの仕事が大事な理由。 | トップページ | 再販制度と出版業界(後編)。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/4124/4960038

この記事へのトラックバック一覧です: 再販制度と出版業界(前編)。:

« カタログの仕事が大事な理由。 | トップページ | 再販制度と出版業界(後編)。 »