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2005.07.18

厚生労働省殿、胸部X線見直しの前にやっておくことがあるでしょう。

7月17日に「胸部X線:健康診断で廃止検討、有効性に疑問 厚労省」と報道されました。

 胸の病気の早期発見を名目に毎年1回、職場の健康診断で実施されている胸のエックス線検査について、厚生労働省は法的義務付け廃止の検討に入った。検査の有効性を示す証拠がないためだ。すでに専門家による検討会(座長・工藤翔二日本医大教授)を設置しており、結論次第で来年度にも廃止する。しかし廃止で1000億円規模の影響が出るとみられる業界は、検討会で「有効だとの証拠はないが、有効でないとの立証もない」と猛反発。日本医師会の委員も同調しており、最終調整は難航しそうだ。

 エックス線検査は労働安全衛生法の規則が定める職場健診の1項目。同法は72年の施行以来、事業者に対し年1回の実施、労働者には受診を義務付けており、罰則もある。受診対象者は現在、約5900万人に上る。

(中略)検討会では矢野栄二委員(帝京大医学部教授=公衆衛生学)が、職場健診での肺がんの発見率は低く見落としが多い▽他の病気も検査以前に症状が出るなどで健診で探す意義は薄い▽エックス線被ばくの影響で発がんする人が延べ数万回から10万回の受診に1人出ると推計される--と指摘。利益と危険のバランスを考え、義務を廃して特に必要な人だけを検査すべきだと主張している。

 一方、連合会副会長の柚木孝士委員は、検討会に出した資料で「(個々の病気の発見法としては)優れた検査法とする根拠は乏しい」と認めながら「有効性が低いとする根拠は確立されていない」と存続を訴えている。(後略)(毎日新聞 2005年7月17日 3時00分)

厚生労働省の官僚の皆様、検討会の先生方、短期間に何回もX線照射を受けさせられている人がいることをご存知でしょうか。それは「内定前に健康診断を受けさせられている就職活動生」です。

「入社時健診」を採用決定前に実施してもよいと勝手に拡大解釈している会社が、大手マスコミを中心に後を絶ちません。詳しくは本blogでたびたびコメントしてきた「内定前の健康診断問題」の各コラムをごらんください。

「血まで抜かれて、不合格」~内定以前の健康診断への疑問~(2003.06.22)
健康診断するということは、内定したということ。(2003.06.24、2005.04.14再掲載)
採用時の健康診断と、個人情報保護法。(2005.04.15)
健康診断する病院で、自分の内々定を確認してください。(2005.04.16)
内定前健康診断の「傷害罪」的考察。(2005.04.20)
縦割り行政。(2005.04.30)
不正で不潔な、内定前健康診断の例。(2005.05.01)

採用試験最中に健康診断を入れられれば、学生はそれを断るわけにはいきません。保健所にこのことを問い合わせると「それは(依頼する)会社側の問題」と回答され、労働局に問い合わせると「各種通達で入社時健診は採用前に行うものではないとされているが、法的な罰則はない」と答える、それが現実です。

厚生労働省は、医療と労働をつかさどる官庁です。しかしその両者はいまだ次官クラスまで行かなければ交わらないのでしょうか。

極めて小さいリスクだとしても、このような問題提起がされれば、入社時健診や職場健診にもインフォームドコンセントが必要だということが明らかにされたと言えるでしょう。年に1回の受診のリスクを語るのであれば、就職活動における学生への不当な医療行為にメスを入れ、はっきり法律で禁止する動きをすべきだと考えます。

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