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2005.05.06

代理店と媒体社の、微妙な関係(後編)。

これまで述べてきた通り、広告代理店はメディアに関してフレキシブルな対応をしなければいけない一方で、メディアを必要なだけ確保できなければ提案が成立しません。また媒体社はフレキシブルな買い方をされても増収につながらないため、不人気商品をどう埋めていくかを代理店に求めていきます。

全く矛盾している2社の向き合い方を解決するのも広告代理店の仕事です。不人気枠の持つメディア特性を知り、そのメディアに合った広告主を「いち早く」捜し当てる「知恵」と「行動力」が求められます。

代表的な例はテレビの深夜帯です。今となっては若者にとってテレビの深夜番組は当たり前の存在ですが、かつては番組も充実しておらず一日の放送も今よりずっと早く終了していました。しかしコンビニの出現により生活が深夜帯まで伸びてきたこと、新進気鋭の番組プロデューサーや制作者が深夜帯で安いコストながら自由に番組を作ったことなどで、若い視聴者を中心に徐々に深夜ならではのポテンシャル(潜在力)を持つようになってきました。

このポテンシャルを最初に有効に使ったのはavexなどの新興音楽レーベルです。もちろんコンビニ自身、さらにはコンビニ回りの商品を作っているメーカーも深夜帯に注目してきました。このようなポテンシャルにいち早く気づき提案をした広告代理店側は媒体社に二重の貢献をしています。一つはその当時の不人気枠を利益に転じたこと。もう一つはかつての不人気枠を人気枠に変えることで価値を上げたことです。

別なメディアの例として、交通広告における「学校」や「予備校・塾」の広告が挙げられるでしょう。2月と8月は「ニッパチ」と言われる広告閑散期であり、この月の増収を図ることが媒体社にとっても広告代理店にとっても大きな課題でした。通常取引している広告主にニッパチのニーズがなければ無理やり買ってもらうことはできません。それならばその時期にこそ媒体ポテンシャルがある業種を考え出しアタックすることしか残された道はありません。

そこで出てきたのが「学校の広告」です。学校という法人はビジネス感覚が疎くそもそも広告出稿という考え方になじまない業種でした。もともと受験生に対して予備校が大々的に広告する、受験生に対して落とす立場の大学が広告するというのはタブーに近かったのでしょう。しかし少子化が進み、積極的に学生を獲得していかないと収入減や補助金打ち切りになる恐れなど、徐々に学校にも危機感が芽生えていました。同時に予備校や塾も同様の状況に置かれていました。そこに目をつけた広告代理店が比較的手配しやすい2月や8月の枠を使い、コミュニケーション戦略により業界のタブーを打ち破って、2月の応援広告や8月のオープンキャンパス告知といった需要を掘り起こしました。

もともと経済というものはゼロサム(金の取り合い)ではなく、新たな価値を生み出すことによって成長するものです。また媒体社にとっては枠がお金に転じれば劇的に収入増となり、さらにいい番組などを作り出すこともでき、さらには広告価値も上がります。そして貢献の大きい広告代理店とのリレーションが深まります。

広告代理店における媒体の仕事では、このようなダイナミズムに直接触れる機会があります。営業志望が大半を決める昨今の就活生ですが、メディアの仕事のおもしろさもぜひ研究してほしいと思います。

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コメント

「価値創造」という切り口で広告会社のメディア職の醍醐味を解説されたことにメディア職を奉ずる人間として心から承服しました。

これを読まれている学生の方に「なぜ広告代理店」と呼ばれる所以になったのかをきちんと再認識する機会になるのではと思われます。
珠玉のコラムありがとうございます。

閑散期のみならず繁忙期での価値創造というのはどういうものか?
を学生の方は考えてみるのも面白いんじゃないでしょうか。
たとえば大手クライアントが繁忙期にあたる3月に新聞で多色全頁をオーダーした際にそのスペースが確保できないという事態
(某大手新聞社では最大40頁建で16個面カラー対応にもかかわらずw)
に対してどうしていくのか?
①スペース確保のミッションを最後まで遂行するのか?
②クライアントの要望に譲歩案を提案するのか?
③あらたな媒体を提案するのか?(ex.ページがとれないなら題字・ノンブル入り別刷にしてしまうかとかね)

あーこれってなんかシゴトシゴトしすぎですかねw私のシゴト(爆)
でも学生さん、あなたならどんな選択肢をつくってみますか?
こうやって代理店が選択肢をあれこれ企みながらも、やはり媒体社側にも様々な思いが交錯して・・・w
これは媒体職志望ならず営業職志望までも問われる将来よくあるケースではないかと思います。

ちなみに私の場合、コラムにあるような醍醐味や上記の課題などがやってくる限り、今の媒体職にまだまだ興味がつきません。
研究してみると面白いですよ。

投稿 ミシル03 | 2005.05.07 03:36

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