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2005.05.11

「不適切」。

JR西日本の脱線事故で様々なメディアが事故後のJR社員の懇親会・宴会・ゴルフなどを報じています。これらについてJR西日本側もメディアも共通に使っているのは「不適切」という言葉です。違法とは言えないが、不適切な行為だというものです。

「適切」と言う言葉は各辞書では「当てはまる、ふさわしい、ぴったりする」という意味で解説されています。しかし「不適切」という言葉はYahoo!の大字泉、大字林gooの三省堂国語辞典でも出てきません。

これを考察すると、そもそも「適切」と言う言葉自体があいまいな表現なのだと思われます。極論ですが「だいたいよい」ことを一語で表す言葉があるとして、その反対言葉の意味は、まったくよくないのか、はっきりよいのか、はたまたその間でだいたいよい(苦笑)のか、さっぱり分かりません。

「不適切な」という言葉が一躍有名になったのは、前米大統領ビル・クリントン氏が不倫・偽証問題の弾劾に答えた以下の文です。

I did have a relationship with Ms. Lewinsky that was not appropriate. In fact, it was wrong.
(私はルウィンスキーさんと適切でない関係を持ちました。実際それは間違ったことでした。)

この発表があった後、appropriateの反対語としてinappropriate relationship(不適切な関係)という言葉が流行しました。クリントン人気も背景に、「うまいこといって終わらせたな」というのが当時の世界的な印象だったのではないでしょうか(ちなみに英和辞書を引いてみると国語辞書同様「inappropriate」を「不適切」と訳しているところはないようです)。

社会人歴が長くなった私も、この「適切」「不適切」という言葉のあいまいさと便利さが分かるようになってしまいました。これらはやってる素振りや最終責任の回避に使う、典型的な「オトナ語」なのかもしれません。

しかし話を脱線事故に戻すと、追及しているマスコミまで「不適切」という言葉を使っていることには違和感を感じざるを得ません。このような取り返しのきかない大惨事になってしまった以上、何が違法で何が不適切かといった「オトナ語」の峻別は、JR西日本の経営者にとっても現場社員にとっても、マスコミにとっても無意味なことです。JR西日本の本当の再生のためにも、あいまいでない、徹底的な追及と検証が必要だと思っています。

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