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2005年5月

2005.05.31

他社状況を聞かれたらどう答えるか(1:現場社員編)。

そもそもどういう理由で面接官は他社の選考状況を聞くのでしょうか。大きく言えば

資質(資質や姿勢の類推)」
脅威(他社に行けば脅威になるかどうか)」
辞退(内定辞退しないかどうか)」

の3つに分けられる思います。

また、面接官を分類すると

現場社員(管理職、非管理職問わず)」
採用担当者(管理職、非管理職問わず)」
役員

の3種類と言えます。

これらが絡み合うのが、この問いかけです。まずは「現場社員」に注目して論じてみます。

現場社員が面接を担当するのは、まさに「資質」を見極め、競合社に行って「脅威」になっては困るような優秀な学生を見いだすことです。同時に現場社員の面接官は内定辞退するかもという理由で落とすことはまずありえないと考えられます。なぜなら内定者を引き留めるのは採用担当の仕事だからです。

またあなたが業界を横断的に受験しているとした場合、相手の社員はあなたの業界への志望度を推し量ると同時に、あなたが競合社にいく可能性を少なからず想定します。特に広告業界は常にコンペ(競争)にさらされており、一つの会社が常勝ということはまずありません。企業の大小にかかわらず優秀な人材が他社に行くことは、すぐに目の前の脅威になることもあります。

これらのことから考察すると、あくまで個人的な意見ですが、業界を横断的に受けている学生は現場面接官の職位にかかわらず、堂々と他社受験状況を話すのがよいと思います。売上ランキングなどでより上位とされている会社でも、これから受ける小さい会社でも構いません。なお、落選した会社は一々言う必要はありませんが、誰でも受けているはずの人気企業については一言コメントしておけば話が流れると思います。

どうせ聞かれる質問です。もしもあなたが困惑した言い方で答えたとしたなら、面接官はその学生が自社を低い位置に見ているのではといった疑念を感じるかもしれません。業界を強く志望する意志の表れとして、当然のことのつもりで返答してみてはいかがでしょうか。

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2005.05.30

他社状況を聞かれたらどう答えるか。

他社の選考状況を聞かれたらどう答えるか、学生にとってそれは大きな悩みとなります。

先日学生に「『広く広告業界を受けています』と答えたら?」と聞いたところ、「たいてい『差し支えなければ詳しく教えてください』と突っ込まれます」と言っていました。差し支えがあるかどうかは相手次第であるにもかかわらず(苦笑)。

また別の学生に聞くと、「2、3社挙げれば満足してくれます」と答えていました。どうやらコツは、その2、3社の挙げ方で有利になるならより有利に、不利になるかもしれないならそうならないような選び方や言い方をあらかじめ研究しておくことかもしれません。

そもそも他社状況が選考上考慮される上では、他の基本資質が十分評価されていることが前提になります。この問いかけが大きな意味をもってくるのは、ある程度自分に実力がつき、面接でも自分を発揮できるようになってからです。面接が通るようになってからこの質問を受けるということは、相手から一定の評価をもらっていると考えていいと思います。

もちろんこの問題には1つの答えがあるわけではありません。ここでは極めて個人的な意見を数回に分けて述べてみます。

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2005.05.29

地方就活生の負担軽減のために、何をすべきか。

広告労協の活動が始まって以来、多くの広告業界の採用で地方支社での試験が行われ、最終面接では交通費を支給するようになってきました。しかし、残念なことに今年から1次試験を全員東京本社に集めて実施している中堅広告会社があります。関西に支社があるにもかかわらずに、です。

自分は経費で出張できるのもかかわらず学生を東京に呼びつけ、バイトも授業も放棄して自腹で上京する学生のことを考えると怒りすら覚えます。この会社の関西支社社員には学生を見る目がないのでしょうか。

このような状況が今後変わっていくことを、いや変えていかなければいけないということを念頭に、2003年8月11日に発表したコラムを再編集したものを以下に掲載します。



(1)内定ありなしにかかわらず、数十万円かかる、就職活動。

今地方の学生が、就職活動にいくらお金を費やしているか、国会議員や行政は知っているのでしょうか。

地方の学生は、筆記を受けるためだけに夜行バスや学割新幹線・飛行機で上京し、採用担当と会話を交わすこともなく帰っていきます。面接試験に勝ち残る学生は、1次、2次と自腹で上京しますが、最終の役員面接で「地方から出てきたら親御さんが心配するだろう」といった理由で落とされることがあります。そのような学生は「そんな理由で落とすなら、最初から落としておいてくれ!」と悲鳴をあげています。このように、地方受験生の「最終落ち」の無力感は、それまでにかかった交通費、移動時間、出席できなかった講義のことを考えると、私たち社会人はもとより、在京学生にすら想像を絶するものになっています。

地方の受験生の就職活動への全面的な交通費会社負担はほとんど実施されていません。役員面接ですら交通費を出さない会社があります。もちろんこれは一概に否定すべきものではありません。例えば受験生の交通費の会社全負担が義務付けられるようなことがあれば、採用の過程で地方出身者が冷遇される恐れがあるでしょう。

しかし、今の学生には、少なくとも私が就職活動をしていた時代と違い、以下の点で大いに苦しんでいます。

地元での採用数が減っており、必然的に東京の企業も受験せざるをえない。
就職活動の早期化・長期化により、アルバイトも十分にできない。
不況により親の収入が減り、授業料の自己負担の割合も高い。
在学中から国民年金の支払い義務が発生している。

このような背景を考慮すれば、広告業界「内定者」でも平均交通費が地方学生で20万円を超え、50万円かかったという回答も少なくないというのは、極めて不幸な状況です(労協登録生04年入社での調査)。ましてや内定のない学生が大半であり、広告業界を目指した交通費は無駄になっていることを思うと、すでにこれは一つの社会問題と定義すべきものだといえるでしょう。

(2)就活生のための、3つの政策提案。

(1)「就活奨励金」制度

勤労者は失業時には雇用保険で収入を得、次の就職に向けて準備することができます。しかし、学生はどうでしょう。まだ税金や雇用保険を納めていないから、就職についての行政上の支援を受けられないというのでしょうか。

就職活動は、「将来税金を支払うための活動」といえます。教育を受けた将来のある若者がきちんと就職をし、税金を支払う環境を整えるのは、税収、年金、果ては社会の安定・発展にまで直結する日本の一大課題です。そのために国家・行政は、学生に「就職してもらう」ために、様々な支援をすべきです。実際に厚生労働省は未内定者への就職支援などに様々な取組みをしています。しかし、現実に地方の学生が数十万円規模の借金をして就職活動に臨んでいるという費用面の現状をもっと直視すべきなのではないでしょうか。

教育にもコストがかかるように、就職にもコストがかかる。であれば、「奨学金」に相当する以下のような融資制度(仮称「就活奨励金」)を、国が用意してもいいと考えています。

就職活動をする新卒学生は、国から「就職活動奨励金」として50万円程度まで低利子で借り入れることができる。
借り入れ金は、就職(=収入が発生)してから10年程度で分割返済。

これはあくまで融資制度であり、国庫からの新たな負担というものではありません。やろうと思いさえすれば、いつでも開始できる施策だと考えます。雇用保険の基金を活用するのがもっとも簡単でしょう。

(2)就活費用の経費扱いによる、国民年金負担の軽減 

サラリーマンは年間38万円を基礎控除額として課税対象外とされています。企業が支払う通勤費も課税対象外であり、個人事業者であれば交通費は経費扱いとなります。

就職活動における交通費は「経費」そのものです。交通費以外にもセミナー受講費、書籍・資料購入費、スーツ購入など、さまざまな「経費」があります。収入のない学生とはいえ、将来の税金を支払うための活動に対しては、課税上の経費控除の措置がされてもいいはずです。

学生にとっての税金は、「国民年金」です。平成3年から、収入に関係なく20歳以降強制加入となった国民年金は、無収入者への税金ともいえるものです。就職活動における費用を一定金額を上限として経費として認め、「国民年金掛金を一部控除する」というアイデアを提案します。

具体的には、

企業の人事が、受験時と場所を記載した「採用試験受験証」を受験時に学生に発行。学生はその場所までの交通機関発行領収書を用意。
就職セミナー受講では、主催者が就職セミナー受講料の領収書を発行。
リクルートスーツも、リクルートスーツ代として領収書を発行。
これらの領収書を添付し社会保険庁に提出することにより、国民年金掛金を一定割合控除する。

というものです。少なくとも、もっとも経費が認められていないサラリーマンの基礎控除額である38万円程度は、経費扱いを認めるべきだと考えます。

もしも国民年金からの控除という考え方が認められないのであれば、就職後の課税所得から控除する「事後精算」という手法も検討されるべきだと思います。

(3)「支社での採用試験」の行政指導。

本HPで就職活動を支援している「広告業界」は、ほとんどが東京に本社があります。関西など支社がある会社も多くありますが、採用では筆記試験から東京で実施する会社が決して少なくないことが分かっています。広告業界だけでなく、東京に本社がある企業は一般的に東京で集中的に採用試験を実施する傾向にあります。

企業にとっては1事業所で採用試験を実施するのが楽でしょう。しかし、就職活動は社会的なイベントでもあり、学生には収入がないという前提で、企業にも学生側の事情を考えてもらう必要があるでしょう。少なくとも関西、中部、九州など、学生が多い地方に支社がある企業は、できるだけ地元での選考試験を実施するべきだと考えます。また、最終の役員面接を本社で実施する場合は、交通費の全額会社負担をすべきです。

良識のある企業は、すでに上記のことを実践しています。しかし学生にとってはできるだけ多くの数の企業を受験しなければならず、今や企業側の学生への配慮は、行政からの要請や指導を伴ったレベルが求められているといえるでしょう。

本コラムは、あくまで著者の私見です。しかし、このボランティアに3年間も関与するにあたり、新卒学生への経済的支援は絶対かつ早急に必要であると確信しています。今後広告労協内でも議論し、学生団体や大学団体などと話し合いながら、実現の方向性を探っていきたいと考えています。

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2005.05.28

無銭飲食。

広告労協Fさん主催「上京者のための辛口面接会」に同席し、2名の関西学生に会ってきました。これから中堅広告会社の選考が本格化していく中で、二人とも新聞社系を受験するということもあり、新聞や新聞広告に関する話で盛り上がりました。

しかし「で、今朝○○新聞読んだ?」と聞いたところ、そのうちの1名の学生が「いや、読んでません」と答え、私達はさっと引きました。そして「何万もかけて東京にきてるのに、100円ぐらいの新聞読んでいないというだけで落とされたら元も子もないだろう」と厳しく指摘しました。

その後学生と食事をした場でふと思いつきました。新聞を読まずにその系列の広告会社を受けることは、金を持たずにレストランで飯を食うのと同じことではないでしょうか。面接官が丹念に面接をしてくれたとしても、少なくともその日の新聞を読んでいないと知らされた面接官は、それまでの時間が無駄だったと思ってしまうはずです。

「新聞読んでません」と言っても新聞系広告会社に受かる人は、「あ、金持ってきませんでした」と言っても無銭飲食を許してもらえる類い稀な才能を持った人物に違いありません。そうでなければ、相手が(すなわち内定後の自分が)深く関わっているメディアには必ず触れておくべきです。これはどんな資質にも、どんなテクニックにも優先する、礼儀とも言える「基本動作」に他なりません。

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2005.05.27

Fさん流。

広告労協にかかわった諸先輩や熱心な06生はすでにお気づきになっているかも知れませんが、06生の代になってワンポイントアドバイス企画が圧倒的に増えています。これは一重に諸先輩のご協力により蓄積された過去のデータがあるからです。もちろん06生のご協力は来年に向けてさらに広告労協の活動を精緻にパワーアップするでしょう。

かつてFさんからのワンポイントアドバイスをもらったことがある学生ならお分かりだと思いますが、彼はすべてのメールを個別に返信しています。しかも広告労協にあるPCは驚くほど古く、莫大なメールへの個別対応には同じく莫大な時間がかかっています。ADSLは開通しているにもかかわらずPCがあのスペックでは、まるで水道管からストローで水を引くようなものです。「もっと効率よくしないと体が持ちませんよ」と何度も指摘しましたが、それでもFさんはFさん流を止めません。

広告労協の限られた予算のこともあるのでしょう。しかし彼は選考情報だけでなく、個別メールでこそ伝わる応援の気持ちを送っているのだと思います。昨年も「『***さま、就職活動お疲れさまです』という一文にいつも励まされていました」という労協生の声が多数ありました。深夜ラジオのDJとリスナーのような関係に似ているといったら言いすぎでしょうか。

しかしそれにしても寝てない日々が多すぎます。昨年までは終電で帰っていたところが、最近はそのまま労協事務所で朝を迎えることもまれではないようです。Fさんの体に万が一のことがあったら、学生への影響が多すぎます。

blogを私信にして恐縮ですが、Fさん、ぜひもう少しご自身の体を気遣ってください。そして早く事務所のPCを新しくしてください。学生のためだと思って。

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2005.05.25

特許電子図書館。

角川ホールディングスが登録していた「NPO」「ボランティア」という登録商標が取り消されたというニュースがありました。このような言葉が(一時期でも)登録商標として押さえられていたということに驚いた人も多いのではないでしょうか。

広告業界のようなサービス業ではあまり関係ありませんが、世に自社商品を売り出すすべての業界では商標取得は極めて重要です。人の名前と違って、原則として同じ類に同じ商標を登録することはできないわけですので、とにかくいい名前は先に権利を抑えておくことが重要です。特にビールやコーヒーなどはネーミングが味を決めることもあります。

ある言葉を含む商標がどのように取られているかを検索するには、特許電子図書館初心者向け検索が便利です。「搾り」「ドライ」といった有名ブランドは関連する(というか何でもかんでも)組み合わせが登録されています。また「ビール」や「ダイエット」といった言葉を含む登録商標は、見るだけでも面白いものです。

ネーミングは広告代理店でもよくやる作業ですが、このサイトであっさり見つかったりするとがっかりしますね。逆にこの商標一覧を見ることで新たなインスピレーションが生まれるかもしれません。

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2005.05.23

情報が対価。

広告労協での就職支援を始めて以来毎年恒例になっている某PR会社へのOB/OG訪問会ですが、私自身PR作業の経験がないため、PRのプロの方にお話を聞けるのが毎回楽しみになっています。

立場上、私としては広告とPRの違いがもっとも興味あることになります。先日伺ったOB/OG訪問会で、私の方から

「広告ですと広告枠とお金の取引によってビジネスが成立しますが、PRでは記者の方に対価を払う訳でもなく、どのようにして仕事を回していくのでしょうか。」

とお聞きしたところ、ある社員の方が

「私は『情報が対価』だと思っています。いい情報や使える情報を提供することは、それ自体が記者の方にも役に立つことです。」

と答えてくれました。

普段からメディア取引の仕事をしていると、往々にして価格勝負といった企画やコミュニケーション力とは関係ないことに心を取られます。他の代理店より安くなければ勝てないかもと絶望的になることすらあります。しかしこの「情報が対価」というPRマンの言葉は、そもそも情報自体が人間にとって意義あるものであるという原点に私を戻してくれました。

金銭と取引される商材は、いかにそれがいいものであろうと、その買い手にとっては最終的に「いかに安く買えるか」という判断がつきまといます。しかし情報はそれ自体が価値を持ち、それ自身が流通します。特に生活者は他人に情報を伝える時に対価を求めません。むしろ「ねぇ聞いて聞いて」と言ってまで伝えるように、「情報」に加え「自ら伝える」こと自体に価値を見いだします。

情報の価値は「いかに興味深いか」または「いかに役に立つか」であり、価値があれば情報は自由に流通し、なければ流通しません。価値ある情報をたくさん持ち発信できる人や組織には、さらによい情報も集まります。そのような「場」を形成することで「結果として」金銭的価値が生まれてくるのでしょう。

すべてが金銭対価を必要とする広告ビジネスに比べ、PRはビジネスとしての枠組みにあいまいさな部分はありますが、それ以上に情報を核に自在にリレーションを構築していくPRマンの仕事ぶりには別格の自由さと充実さを感じます。それは決して広告マンにはできないことというわけではありません。今年も情報とコミュニケーションを生業とすることの意義を確認できたOB/OG訪問会でした。

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2005.05.21

「好きな広告を3つ」を、もう一度。

昨年11月に実施した早期の模擬面接会に参加していた女子学生から、進路決定報告をいただきました。残念ながら広告業界はない業界へ進むこととなりましたが、私は模擬面接ではいろんな会社が欲しい人材に違いないと評価しており、事実ベンチャー系を含む名だたる企業に内定し、その中でも際だったベンチャーに就職を決めていました。

その彼女からの報告で、「『好きな広告を3つ』というコラムが印象に残りました」と書いてありました。シリーズになっているこのコラムも昨年の11月に発表したものであり、実際その模擬面接会でもコメントしたことでした。この内容はちょっとした考え方の転換が大きな成長を促すものとして模擬面接会など直接会った時だけに話をする、言わば「秘伝の」アドバイスでしたが、熱心なblog読者の方のためにもと長文シリーズを就活が本格化する前に発表しました。

上位3社の採用がほぼ終わり、また次の波が来ています。このシリーズもすでに半年前のものになり、まだこのコラムを読んでいない人がいるかもしれませんが、次にくる会社群への就職活動に極めて実践的に役立つと確信しています。以下にリンクを張っておきますので、まだ頑張っている学生はあらためて熟読してください。

「あなたが興味ある広告を3つ挙げ、その理由を説明してください。」

「興味ある広告3つ」、メールで答えを送ってください。

「あなたが興味ある広告を3つ挙げてください。」(考察編 その1)

「あなたが興味ある広告を3つ挙げてください。」(考察編 その2)

「あなたが興味ある広告を3つ挙げてください。」(考察編 その3)

「興味ある広告3つ」参加学生の答えから。

「興味ある広告3つ」学生へのコメント集。

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2005.05.19

話題の選び方。

学生の方の面接報告で

エントリーシートに好きなものとして(マンガ・アニメの)「ワンピース」を挙げていたところ、面接官に「『ワンピース』は私は実際よく分かりません。相手が分からないかも知れないものをあなたはなぜ書いたのですか」と聞かれました。

というものがありました。模擬面接ではこのような指摘をすることがよくありますが、実際に面接官が指摘した事例は初めて聞きました。まさに氷山の一角と言えるでしょう。

例えばこれがCMのタレントやキャラクターの提案だったらどうでしょうか。「ワンピース」を知らないクライアントにそのよさを理解してもらうには、その存在自体や人気の程度をていねいにプレゼンする必要があります。大きなキャンペーンのメインキャラクターを決めるプレゼンなら十分準備もできるし、プレゼン本番でもじっくり説明できます。しかし、面接で本筋と関係ないところで相手がひっかかったりするのは時間が無駄であるだけでなく面接のいい流れを止めてしまうことにもなりかねません。また上記面接官のように話題の選び方自体を指摘されることもあるでしょう。

また私の仕事であるインターネット広告ではPV、CT、CPC、CPA、UUなど極めて多くの専門用語が飛び交います。また販売方法自体もページビュー保証型、期間保証型、クリック課金型、成果報酬型などがあります。これらの専門用語に慣れ過ぎると、重要なプレゼンテーションの場で相手が知らないまま使ってしまったり、請求する場になってトラブルを引き起こしたりします。

難しいのはプレゼンする相手の知識レベルが様々な場合です。その場合は、そのプレゼンに出席する相手のキーマンが誰かを事前に調べ、その人のレベルに合わせるのが通常でしょう。レベルに合わせるといっても、すべて冗長に説明するということではなく、最初にその用語を使う時にきちんと説明したり用語集を添付したりなど、「相手への配慮」が感じられることが重要です。

このように、話題の選び方や説明の仕方の問題は単なる世代間のギャップが起こしたことと考えるべきではなく、仕事の現場でこそ気をつけなければいけないことだといえます。

面接で自分の興味のあることを話すのであれば、「一言の」補足説明で「あ、あれね」と分かるような説明ができるようなものでなければいけません。広告業界での面接では、タレントならCM、アーティストであればCMソングで例えるのが一番分かってもらえる確率が高いでしょう。逆に言えば広告業界で働く人にもきちんと知られている話題を挙げることがよいと思われます。

私にとって「ワンピース」とはその直前の「こち亀」同様、「ADKが絡んでいるアニメ」というイメージがあります。最近で言えば東急エージェンシーが取り組んでいる「快傑ゾロリ」が我が家の主役です。これらは著作権表示やスタッフロールを注意深く見ていればわかります。CM同様、アニメや映画でどこの広告会社が絡んでいるかは、当該会社を受ける際の必須知識かも知れません。

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2005.05.17

年収で社長を越えるサラリーマン。

5月16日、「長者番付1位はサラリーマン」という記事が大々的に報じられました。

成功報酬は運用成果の2割 投資顧問、不振なら解雇も

 タワー投資顧問の清原達郎運用部長が、サラリーマンとして初めて高額納税者のトップに躍り出た。高度な金融技術を駆使して「ハイリスク・ハイリターン」を狙うヘッジファンド系の運用会社には「成功報酬として、年間の運用成果の2割程度を支払う」(外資系証券)のが一般的という。
 ただ、成績が上がらなければ解雇もありうる厳しい身分で、一般的な日本企業で働くサラリーマンにとっては、まだまだ“別世界”と考えた方がよさそうだ。
 ヘッジファンド系運用会社は会社の規模や組織形態にもよるが、個人がたたき出したもうけが、かなり直接的に給与に反映する仕組みになっている。大ざっぱにそろばんをはじくと清原部長は顧客に対して、500億円を大幅に上回る運用成果をもたらしたことになる。

このニュースは広告業界で働くものとして「現場が利益を稼いでいる会社」の人事制度における大きな示唆を感じます。

メーカーなど、多大な設備投資を伴う事業は、ヒト、モノ、カネの3資産の運用について経営トップしか判断できないことがあります。メーカーや銀行では仕事の規模に合わせて決裁権があり、上に行かなければ大きな仕事はできないという構造があります。しかし、ファンドマネージャも広告の仕事も、現場の判断が利益を生み出す業態です。私たちの仕事で上司の決済がなければその提案ができないということはかつて聞いたことがありません。今回のニュースは(この会社の社長がよっぽどうまい節税対策をしていない限り)、自分よりも高い報酬を出すことを決断したという点で歴史的な認識を社会にもたらした功績は大きいのではないでしょうか。

社員を成果主義で処遇するためには、その前にその会社のクライアントに対する成果の評価があるはずです。しかし現在の成果主義は往々にして縮小均衡にある利益をどう理屈をつけて配分するかに腐心しているような気がしてなりません。今も利益の取り合いが労使交渉だという「旧来の価値感」が存在するのも事実です。

今回の象徴的な処遇を目の当たりにすると、一律的な交渉以外にこのようなバッファを持っていることが会社にも組合組織にとっても一定のメリットになるのではというヒントになると思います。。市場環境が上向いてきた今だからこそ、ゼロサム・縮小均衡を打破できる知恵が労使で絞り出せるのではないでしょうか。

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2005.05.15

「フォーラム」という言葉に込められたもの。

blogなどでも「広告労協の就職セミナーで…」といったコメントをよく見ることがあります。コメントをいただくのはうれしい限りですが、ちょっと待ってください。「就職セミナー」ではなく「就職フォーラム」なのです。

フォーラム」とは

フォーラム 【forum】
1 古代ローマ市にあった集会用の広場。2 集会所。3 パソコン通信のネットワーク内に設定された、共通の興味をもつ者が集まる所。4 「フォーラムディスカッション」の略。

フォーラム‐ディスカッション 【forum discussion】
集団討議の形式の一。示された話題について出席者全員が討議に参加するもの。もと、古代ローマで行われた討議方式。

という意味であり、「セミナー(ゼミナール)」は

1 大学の教育方法の一。教授などの指導のもとに、少人数の学生が特定のテーマについて研究し、報告・討論するもの。演習。ゼミ。セミナー。

2 1 の方法・形態をとる講習会。

となっています。一言で言えばフォーラムは「公開討論会」、セミナーは「集中講義」という意味です。

あえて「フォーラム」という言葉を選んでいるのにはちゃんと理由があります。そこには、パネルディスカッションや掲示板などを通じて「多くの業界の人と学生が継続的にコミュニケーションする場を提供する」という気持ちが込められています。セミナーという言葉の、だれか特定の人が少人数の学生に1回きり集中的に教えるというニュアンスとまるで違います。

就職フォーラム」の検索結果と、「就職セミナー」の検索結果を比較すれば分かるとおり、この手のイベントに「フォーラム」と付けた例は少ないようです。「就職フォーラム」の検索結果をよく見たら広告労協関係が上位に多数入っています。

「広告業界就職フォーラム」は広告労協F氏が「発明した」労働団体の新卒就活支援であり、命名したのもF氏です。私がF氏に「絶妙なネーミングですね」と言ったことがありました。その時F氏はこう答えています。

「いやー、どんな業界でも使えそうな名前にしたんですよー。」

さすがF氏。新聞業界、出版・印刷業界、PR業界、いずれも言葉の座りもよく、そして実現しました。「フォーラム」という、労働組合や現場社員の方々が気軽に参加しやすいネーミングだったことも成功要因のひとつだったでしょう。

「フォーラム」という言葉に込められた気持ち、それはあなたのご両親があなたにつけた名前のように、意味があるものなのです。

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2005.05.13

新規開拓は、内定より難しい。

広告業界への就職活動で、志望職種は?と聞かれると「営業です」と答える学生は極めて多くいます。特に「営業で新規開拓をしていきたいと思います」のように、営業と新規開拓はセットのように言われます。

確かに広告代理店では営業がもっとも重要な役割を担います。一番やりがいのある職種かもしれません。しかし就活生の多くが「新規開拓営業を志望」というのに少し違和感を覚えます。

採用試験というのは採用する(=お金を払う)側が自らあなたと会い、聞く耳をもって話を聞き、その結果採用の判断をするものです。あらかじめ採用側から質問や課題を与え、その答え方や対応のし方によってあなたにお金を払う価値があるかを評価します。

一方新規開拓営業では、無数の自発的なアタックを重ね失敗を繰り返しながらやっとの思いで相手にアポどりします。相手はあなたのことも会社のこともよく知らない中で、あなたのプレゼンテーションを話半分に聞きます。アポどりだけでは売上にはならず、さらに多くの失敗をしながらはじめてあなたの言葉に耳を傾けてくれる「人」と出会い、最終的にはあなた個人を信用する「人」を見つけ出すことではじめて「会社」との取引がはじまり、あなたにお金が支払われます。

2つを比べると、採用試験は最初からあなたの耳を傾けるところから始まるという点で、新規開拓の何段階ものステップが省略されています。新規開拓は内定よりはるかに困難なことなのです。

新規開拓は通常一人で動き、一人で仕事を取ってくる、極めて孤独な作業です。しかも広告代理店は車ディーラーや証券会社のように決まった商材がありません。新規開拓営業には幅広い情報収集力・不屈の精神・高度なコミュニケーションと折衝力、そして厳しい自己管理能力が求められるのです。たとえそれが新入社員だろうと。

クリエーティブと新規開拓営業は広告会社にとって生命線と言えます。このため両者の選考基準は通常よりはるかに高いところに設定されます。陸上競技でいえば、背面飛びから棒高跳びに種目が変わるようなものでしょう。

あなたが面接で上述の能力をいきいきと証明し、新規開拓営業という棒高跳びのバーを飛び越えることができたなら、その下にある内定という背面飛びの高さも同時に通過したとみなされるでしょう。しかし高飛び棒すら持たず競技場にやってきたとしたら、あなたは棒高跳びのバーのはるか真下で背面飛びをしているに過ぎません。

「元気が良く前向きな印象になるから新規開拓志望といっておこう」ぐらいの気持ちでは面接官に見透かされます。広告業界の営業とはどのような職種か、新規開拓とはどのように大変なのか、あらかじめ多くのOB/OGの話を聞いておくことが重要だと思います。内定テクニック本よりむしろ営業ノウハウ本を参考にするのもおもしろいかもしれません。

(2004年10月23日に発表したものの再掲載)

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2005.05.11

「不適切」。

JR西日本の脱線事故で様々なメディアが事故後のJR社員の懇親会・宴会・ゴルフなどを報じています。これらについてJR西日本側もメディアも共通に使っているのは「不適切」という言葉です。違法とは言えないが、不適切な行為だというものです。

「適切」と言う言葉は各辞書では「当てはまる、ふさわしい、ぴったりする」という意味で解説されています。しかし「不適切」という言葉はYahoo!の大字泉、大字林gooの三省堂国語辞典でも出てきません。

これを考察すると、そもそも「適切」と言う言葉自体があいまいな表現なのだと思われます。極論ですが「だいたいよい」ことを一語で表す言葉があるとして、その反対言葉の意味は、まったくよくないのか、はっきりよいのか、はたまたその間でだいたいよい(苦笑)のか、さっぱり分かりません。

「不適切な」という言葉が一躍有名になったのは、前米大統領ビル・クリントン氏が不倫・偽証問題の弾劾に答えた以下の文です。

I did have a relationship with Ms. Lewinsky that was not appropriate. In fact, it was wrong.
(私はルウィンスキーさんと適切でない関係を持ちました。実際それは間違ったことでした。)

この発表があった後、appropriateの反対語としてinappropriate relationship(不適切な関係)という言葉が流行しました。クリントン人気も背景に、「うまいこといって終わらせたな」というのが当時の世界的な印象だったのではないでしょうか(ちなみに英和辞書を引いてみると国語辞書同様「inappropriate」を「不適切」と訳しているところはないようです)。

社会人歴が長くなった私も、この「適切」「不適切」という言葉のあいまいさと便利さが分かるようになってしまいました。これらはやってる素振りや最終責任の回避に使う、典型的な「オトナ語」なのかもしれません。

しかし話を脱線事故に戻すと、追及しているマスコミまで「不適切」という言葉を使っていることには違和感を感じざるを得ません。このような取り返しのきかない大惨事になってしまった以上、何が違法で何が不適切かといった「オトナ語」の峻別は、JR西日本の経営者にとっても現場社員にとっても、マスコミにとっても無意味なことです。JR西日本の本当の再生のためにも、あいまいでない、徹底的な追及と検証が必要だと思っています。

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2005.05.09

06生向け、グループディスカッションテーマ。

最近の採用の傾向として、多くの会社が選考段階のどこかで集団で話をする機会を設けるようになってきています。以下はここまで06生から報告があった各社のテーマです。

(A社)
このメンバーで24時間過ごすとしたら何をするか。
日本が世界に誇るものと、その理由。
大学生のためのTV番組を企画してください。
大学生になくてはならない3つのもの。
このグループの特徴をあらわすグループ名を考え理由を述べよ。
日本人は英語が不得意である。その理由についてプレゼンしてください。

(B社)
これからの社会を考えた小学校の新しい成績表のあり方。
婚姻届を現代に合ったものに変えてください。
これからの時代におけるフリーペーパーを提案してください。
(以下はディベート形式)
小学生が携帯電話を持つことの是非。
国会議員のバラエティー番組の出演の是非。
国民陪審員制度の是非について。

(C社)
万博に企業が出展することで挙げられる効果について。
ここ数年での代表的な広告を一つ挙げ、その理由を述べなさい。
ブログや掲示板など、個人による情報発信をどう思うか。
今後最も重要になると考えられる広告メディアは。

A社は選考の早い段階、B社とC社は最後の段階で実施しています。このことを前提にテーマを見てみると、A社の場合は誰でも参加できるテーマでチーム作業の基本姿勢を問うていると思われます。またB社・C社では広告やビジネスに関する実践的なテーマを採り上げ、レベルの高いグループの中でどのような役割を果せているか、高い能力を発揮できているかを見ていると推定できます。

このように、選考のどの段階でグループディスカッションを実施するかは、取り組み方に違いを出していく必要があります。

過去グループディスカッションに関してのコラムを何本か書いていますが、今年に入ってからは再掲載も含めてあまり出していませんでした。しかしまだまだこれからエントリーできる会社は数多くあります。まずは、「ブレーンストーミングとグループディスカッション。」「グループディスカッションの道しるべ。」を基本に、今一度グループディスカッションの過去コラムをおさらいしてみてください。

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2005.05.07

「初心」を思い出させる「初心」。

5月6日はゴールデンウィークの谷間であり出社しようか迷いました。眠い目を擦りながら出社したところ、たまたま会社の近くを通りがかった05生が初めての名刺をもってきてくれ、また別な05生からも配属先決定の連絡を携帯にいただきました。配属先に着任して、初めて社会人としての自分にリアリティを感じることになるでしょう。私も初めての配属先を告げられたときのワクワク感と不安な気持ちは今でも覚えています。

時を同じくして、先日OG訪問を依頼し快諾いただいた03生のIさん(もう入社3年目なんですね!)から

入社前に先輩に言われた
「初心は忘れるものだから、後輩とは積極的に交わりなさい。」
という教訓が身にしみる今日この頃です。

とのメールをもらいました。彼女自身にとってもOG訪問は意味のあることのようです。

私も広告労協の活動に参加しこれまでさまざまな「初心」に触れてきました。それらはまぶしいほどみな純粋です。しかし社会とかかわりを持つにつれ、初心はかすんでいくのでしょう。5月という時期は特に初心を迷わせる季節なのかもしれません。

そのようなときにはIさんが言う通り後輩に会って話をするのが一番の薬になるのでしょう。人に教えることは自分の勉強にもなり、気持ちを整理できます。労協の活動では先輩から後輩に与えていくサイクルを創ろうと考えていましたが、今でも先輩側にも大きなメリットになりそうです。

労協生の諸先輩方、これから後輩を急にご紹介することがありますので進路決定報告で送ったメールアドレスにも時々目を通しておいてくださいね。なお自分の会社の選考状況は適宜労協サイトでご覧下さい(笑)。

もっとも大きなメリットは労協スタッフ自身が享受しているのかもしれませんね。今日は出社して本当によかったです。

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2005.05.06

代理店と媒体社の、微妙な関係(後編)。

これまで述べてきた通り、広告代理店はメディアに関してフレキシブルな対応をしなければいけない一方で、メディアを必要なだけ確保できなければ提案が成立しません。また媒体社はフレキシブルな買い方をされても増収につながらないため、不人気商品をどう埋めていくかを代理店に求めていきます。

全く矛盾している2社の向き合い方を解決するのも広告代理店の仕事です。不人気枠の持つメディア特性を知り、そのメディアに合った広告主を「いち早く」捜し当てる「知恵」と「行動力」が求められます。

代表的な例はテレビの深夜帯です。今となっては若者にとってテレビの深夜番組は当たり前の存在ですが、かつては番組も充実しておらず一日の放送も今よりずっと早く終了していました。しかしコンビニの出現により生活が深夜帯まで伸びてきたこと、新進気鋭の番組プロデューサーや制作者が深夜帯で安いコストながら自由に番組を作ったことなどで、若い視聴者を中心に徐々に深夜ならではのポテンシャル(潜在力)を持つようになってきました。

このポテンシャルを最初に有効に使ったのはavexなどの新興音楽レーベルです。もちろんコンビニ自身、さらにはコンビニ回りの商品を作っているメーカーも深夜帯に注目してきました。このようなポテンシャルにいち早く気づき提案をした広告代理店側は媒体社に二重の貢献をしています。一つはその当時の不人気枠を利益に転じたこと。もう一つはかつての不人気枠を人気枠に変えることで価値を上げたことです。

別なメディアの例として、交通広告における「学校」や「予備校・塾」の広告が挙げられるでしょう。2月と8月は「ニッパチ」と言われる広告閑散期であり、この月の増収を図ることが媒体社にとっても広告代理店にとっても大きな課題でした。通常取引している広告主にニッパチのニーズがなければ無理やり買ってもらうことはできません。それならばその時期にこそ媒体ポテンシャルがある業種を考え出しアタックすることしか残された道はありません。

そこで出てきたのが「学校の広告」です。学校という法人はビジネス感覚が疎くそもそも広告出稿という考え方になじまない業種でした。もともと受験生に対して予備校が大々的に広告する、受験生に対して落とす立場の大学が広告するというのはタブーに近かったのでしょう。しかし少子化が進み、積極的に学生を獲得していかないと収入減や補助金打ち切りになる恐れなど、徐々に学校にも危機感が芽生えていました。同時に予備校や塾も同様の状況に置かれていました。そこに目をつけた広告代理店が比較的手配しやすい2月や8月の枠を使い、コミュニケーション戦略により業界のタブーを打ち破って、2月の応援広告や8月のオープンキャンパス告知といった需要を掘り起こしました。

もともと経済というものはゼロサム(金の取り合い)ではなく、新たな価値を生み出すことによって成長するものです。また媒体社にとっては枠がお金に転じれば劇的に収入増となり、さらにいい番組などを作り出すこともでき、さらには広告価値も上がります。そして貢献の大きい広告代理店とのリレーションが深まります。

広告代理店における媒体の仕事では、このようなダイナミズムに直接触れる機会があります。営業志望が大半を決める昨今の就活生ですが、メディアの仕事のおもしろさもぜひ研究してほしいと思います。

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2005.05.05

代理店と媒体社の、微妙な関係(中編)。

日本の広告業界は新聞広告の「広告取り次ぎ」から発展したこともあり、歴史的に媒体社側の立場が強いものになっています。

広告代理店の本業が「クライアントの課題をコミュニケーション活動によって解決すること」であるとすれば、媒体社と取引口座があるかどうかが広告主への媒体提案の幅を決める重要な要素となります。当然代理店側はあらゆる媒体社と直接取引をしたいと考えるわけですが、媒体社側にとっては主に以下のような点で口座を持つか検討します。

(1)与信問題(万一のことで代理店の経営が揺らがないか)。
(2)新規売上につながるか(新規の広告主を持ってこれるか)。
(3)セルスルー(どれくらい現在の自社商品が売り切れているか)。
(4)予算達成(媒体社が希望する金額をどれだけ積み上げられそうか)。

銀行で活発な取引がないのに口座だけ持っている場合には利息どころか口座管理料が徴収されることがあるように、媒体も取引口座をむやみに増やせば営業リソースを食われることになります。

媒体社は当初より広告代理店という機能を前提とした事業スキームで設計されているため、上記理由のように「その広告代理店(広告主ではない)」と付き合いを開始ことで総合的な売上の期待値を重要視する傾向にあると言えます。

「新しい広告代理業を立ち上げました。これから頑張りますので先に口座を開いてください。」といっても、人気媒体社ではなかなか受け入れられないのが現状です。また仮に口座を開いたとしても枠が限られている優良商品がすぐに割り当てられることはなく、セルスルーの悪い枠で実績を積む「ぞうきん掛け」からスタートすることになります。

聞こえは悪いかも知れませんが、強力な媒体であればあるほど媒体社サイドに優位な条件でビジネスが始まり、実績を積んで優良枠が割り当てられるようになってきた後も、常に「汗をかく(=一定量の買い切りなど)」ことを求められます。これは最大手から中小に至るまで同じです。

しかしきちんと売り上げれば代理店と媒体社の双方に利益になります。媒体社が代理店に不人気枠もバランスよく拡販するよう言う様は、母親が子供に「好きなものだけ食べずに、出されたものは全部食べなさい」と言うようなものでしょうか。

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2005.05.04

代理店と媒体社の、微妙な関係(前編)。

媒体社の本業は、多くのユーザーに接触してもらい影響を与えることです。売上や利益という指標は原則としてその次に位置するものです。このため、媒体社は会社の資源をメディア価値向上に投下し営業リソースを極力小さくする代わりに、広告代理店にコミッション(手数料)を渡して取引をします。極論になるかもしれませんが、メディア運営のリスクは自社でとり、収入部門である広告販売はアウトソースするのが典型的な媒体社の経営と言えます。

一方広告代理店の本業は、クライアントの課題をコミュニケーション活動によって解決することです。したがってクライアントに選ばれなければ事業は成立せず「営業」活動がコアとなります。そのためのメソッド(複数形は「メディア」ですね)はクライアントに応じて臨機応変に選ばなければいけません。しかしメディアを「運営」するような事業リスクはありません。

このように媒体社と広告代理店では明確な本業の差があり、この図式だけで見れば、(通常のビジネス同様)お金を支払う側の広告代理店の立場が強いと思われます。

しかし実際はそう単純にはいきません。

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2005.05.02

500本目。

本コラムも本日5月2日で500本目となりました。日数で言えば2003年12月21日から499日連続。何本か再掲載もしましたので、キリ番としては明日の方が意義深いかも知れません。今や私の生活はblogとともにあると言っても過言ではありません。

本コラムは専門誌や業界誌への寄稿ではなくblogという形で発表しているため、広告業界でない方の目に留まることも意識せざるをえません。しかし本blogを始めて以来、「業界を絞らないアドバイスはない」という考えは一切変わっていません。広告業界で働くものとしての経験を生かし、タイトル通り一貫して広告業界を目指す人に向けて発表し続けてきました。

しかしながら、私のblogにリンクやトラックバックしていただいている何人もの就活ブロガーの方から「広告業界志望者じゃなくても役立つ」といった評価をちょうだいしており、本当にうれしいことだと感じています。それはネタ探しに奔走し表現に悩みながら少しずつ本数を重ねることによって、私自身かつて見えていなかった社会全般の仕組みや学生・就職活動全体の本質がだんだん見えてくるようになったからかもしれません。

時間や回数を重ね苦労した学生ほど、第一志望にあっと言う間に受かった学生には見えないものが見えてくるでしょう。それは「広告業界でなくても役立つ」はずです。苦しい今だからこそ、就活は結果を出すだけでなく、成長を遂げるための活動だと捉えてください。

まだ06生の「熱い」季節は終わっていません。これからも皆さんのために、自分のために、応援を続けていきます。ご愛読よろしくお願いします。

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2005.05.01

不正で不潔な、内定前健康診断の例。

以下はあるマスコミを受験し、健康診断を受けた後に落選した女子学生からの投書です。これが何らまだ会社と雇用契約のない学生になされている実態です。それ以上にずさんな衛生対策や女性への配慮・プライバシー対策のなさに驚かせられます。

面接は本当に毎回毎回楽しく、和やかでした。面接自体は本当にありがとうございました、って言っちゃうぐらい満足しているんです。他の受験者も面接に関して文句を言っている人はいませんでした。

だけど、健康診断が問題でした。blogも読んでいたので、2次面接前から「微妙だなぁ」と思っていましたが、私は「それでもいい!!」と開き直っていました。

健康診断は社内の診療所でした。当然社員の方が男性も含めてうろうろしています。

健康診断のときに問題だなぁ、不思議だなと感じたことは

1.社員が使う部屋(たぶん気分が悪い人が休むための部屋)に入社していない人の分も含めた健康診断結果が置いてあること。私でも容易にわかるし、容易に見ることができました。今日健康診断だからそこに移動しました、というわけでもなさそうです。

2.正式なやり方はどうなのかわかりませんが、採血のとき、不衛生だと感じたこと。いっしょに受けていた友人も話していました。血はビン3本ほど抜かれました。

3.皆裸足なのに、スリッパが使いまわし。検査着も使いまわし。

4.男性は(たしか)下着のシャツ姿で移動していたこと。たぶんフロアをわけたり、時間も違うようにしてたと思うのですが、1人か2人の受験者に廊下で会いました。
  
女性は、青い検査着を着ます。下は何もつけていない状態です。当然すけてみえそうな状態で廊下を歩きます。男性社員がいる前で。しかも他人の着たあとをそのまま着ます。

5.レントゲンの前に妊娠の可能性も聞かれなかったこと。今までの病歴は面接を待っている間に、用紙に記入するようになっていました

6.(どこの企業でもやるのかもしれませんが)尿検査で肝臓のウロビリノ-ゲン?も調べていました。大学の健康診断ではやらないので、驚きました。肝炎だったら、採用しないってこと??と思ってしまいました。(たしかそういう裁判ありましたよね…)

7.本当になぜやったのか意味がわからないのですが、握力も検査しました。

※検査は身長・体重・握力・視力・聴力・レントゲン・血液検査・尿検査・心電図・問診でした。

以上が私がこの健康診断で不思議に思ったことです。

正直言って、最終面接の前から皆「今から採血か」と不安に思っている人もいたし、人によって面接が先か後か、違うので、トイレを我慢していた人もいました。この健康診断が余計なストレスになっているようにも思います。

私はまずblogを読んでいたので、疑問を持ちながら、本社まで来てるし、採血を今までしたことがなかったので、かなり不安でした。

別なマスコミも最終面接の時に健康診断をするそうですが、そこではガンとか結核とか大病しかチェックしていないと言っていたそうです。でも逆に言ったら、じゃあ病気だったら落とすのか、とも思うし、もし自分がガンでも知らされないままになるのも恐ろしいと思いました。

結果的には落ちてしまったのですが、あの棚に並べてあった診断結果のファイルを見て、「もし内定でも考えなおそうか」と思っていたぐらいなので、これでよかったような気がします(笑)あの棚に自分の結果も並ぶかと思うと、自分のだけ抜きに行きたい気持ちです。面接ではすごく良い印象だったのに、ちょっと裏切られた感じがしました。

■労協への要望■:テレビも新聞社も広告も、最終前に健康診断をしているところが多いようですね。
受験している私たちにはそれを断る勇気もないし、最終まで来ると何が何でもそこに入りたいという気持ちにもなっているし。私はこれからも選考が続くので、また健康診断をやることもたくさんあると思います。でも来年度からこんな余計なストレスを感じながら、最終面接を受けなくてもすむようになればと思って、この情報を報告しようと思いました。

あなたの不愉快な体験についても不適切採用報告からどんどん送ってください。

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