採用時の健康診断と、個人情報保護法。
いくつかの会社で最終選考の局面となってきました。残っている学生の健闘を心より願っています。
過去「健康診断するということは、内定したということ。」というコラムでその問題点を指摘してきました。しかしいまだに選考の途中段階で健康診断を実施する会社が存在するようです。
「内定」とは「解約権留保付労働契約」のことであり、特別な事情がない限り採用を約束するものです(この意味で「内々定」という言葉と事実上同義です)。この「特別の事情」に「健康上の理由」が含まれます。そのままでは明らかに就労に耐えることのできない容態であり、その後の治療の甲斐も見られないような時は、使用者としての安全配慮義務が果たせない恐れがあります。このような場合は採用を取り消すことは問題ありません。特に広告業界は激務ですので、個人的な意見からも就職せずにまず体を治すことが第一だと思います。
しかし健康診断の結果というものは、究極の個人情報です。2005年4月1日に全面施行された個人情報保護法の定めでは、個人情報の収集においては目的をはっきり明示させなければいけません。以下条文を転載します。
個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号) 第四章 個人情報取扱事業者の義務等 第一節 個人情報取扱事業者の義務
(利用目的の特定)
第十五条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。
2 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。(利用目的による制限)
第十六条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
(中略)(取得に際しての利用目的の通知等)
第十八条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。
(後略)
労働安全衛生規則第四十三条の定めにより、就業させるのであれば健康診断を受診させ業務に耐えられるか確かめなければいけません。したがって健康診断をする目的を「内定(内々定でも同じ)を前提に行う」とはっきり説明されていれば全く問題ありません。しかし選考課程途中にある健康診断は、昨年までの例ではその情報の取得目的が極めて不明瞭なものがほとんどでした。
健康診断を選考の材料にすることは上記コラムでも述べたように就職差別の原因になりえると厚生労働省が認めています。個人情報保護法のポリシーはコンプライアンス(法令遵守)活動の証として一般に公開し、収集する対象に説明するものですので、その目的が行政通達に反するものであるはずがありません。
この度面接と健康診断を同じ週に行う会社があるようですが、実際に会社が学生へどのように説明するか注目しています。個人情報保護法施行直後ということもあり、きっと健康診断の前に「選考の結果、内定(内々定)を出します。このため健康診断を受けてもらいます」という説明があるはずです。
面倒なことにならないためにも、体調を整えて健康診断に臨みましょうね。
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