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2005.04.28

社長報酬「594円」まではよかったが…。

ウィルス対策ソフト大手「トレンドマイクロ」が4月23日朝に配布した更新ファイルに不具合があったという事故で、問題が収拾するまで社長報酬を「594円」にするという報道がありました。

(前略)チェン社長は、障害を肝に銘じるために、給料を問題のパターンファイルのバージョン番号「2.594.00」にちなんだ594円に大幅に減給。チェン社長は「最後のユーザーのパソコンが復旧するまで給料は594円にする」と話した。
 また、マヘンドラ・ネギ代表取締役CFO(最高財務責任者)は「顧客の環境を復旧する支援はするが、損害賠償は検討していない」と、障害があった企業などに対する損害賠償はしないことを明言した。 (中井 奨=日経ソリューションビジネス)

PCトラブルを回避するための企業がPCに悪影響を及ぼすということは病院の院内感染・医療ミスに近く、根本的な信用問題となります。このような不祥事に直面した場合、メディア対応の初動が極めて重要です。今回の役員報酬「594円」という象徴的な責任の取り方はメディアにも取り上げられやすい、とてもいい措置だったのではと思っています。

しかし4月27日の日経MJ企業総合面で、トレンドマイクロ社は「『最後の1台が復旧するまで』検査担当者の給与を50%カットする」ことを発表したと報じられました。これが事実だとしたら残念ながら法律違反と言わざるを得ません。

労働基準法第91条では「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半分を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。」と定められています。したがって、トレンドマイクロ社が担当者の1日分の賃金の「50%カット」をするのは合法ですが、減給の総額が月給の10%を超えるような場合は法律に抵触することになります。検査の担当「役員」であれば労働者ではないので問題ありませんが、取締役でない従業員はすべて上記制限の対象となります。

もちろん担当者の不注意が原因であれば、その担当者が(法律の範囲内の)社内処分を受けるのは当然です。しかし現場担当者に法律を越えた処分をするということは別次元の問題であり、同時に担当者を全面に出した処分は、その会社ワークフローが極めて属人的であり、チェック態勢の考え方自体ができていないのではと思わせます。

この会社は外資であり社長も外国人女性の方のようです。全体的には危機管理としてはよくできたメディア対策をしたのではと思います。しかし日本の労働法をよく知らないということも別な批判を受ける恐れもあるでしょう。ここは日本ですので適切な対応をしていただければと思います。

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» ウィルスバスターの「冒険的事態」と尼崎-----そこに慢心はなかったか [BigBan]
あまり書かれていないことだが、経験的なところからだけ言うと(つまり思い違いの可 [続きを読む]

受信: 2005.04.30 01:21

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