« Googleサジェスト。 | トップページ | 05生:関東 男性 広告代理店 »

2005.03.11

「選ぶのは人事、選ばれるのは役員」論。

先日とあるメーカーの若い役員の方と飲む機会があり、広告労協の活動や私のコラムの話をしたところ、特に「役員=お父さん、人事=お母さん論」に大きな共感をいただきました。

その役員の方も採用は人事の慎重な選考の結果で十分なはずだとおっしゃっていました。事実技術職採用では役員面接は形式的なものといいます。しかしそれ以外は「毎年学生と会えることを楽しみにしている」役員がいるので実施しているということでした。役員も高齢になると若い人と話す機会がないのでしょう。

しかし一定数を落とさなければいけない状況では、落とす側にも「理由」が必要です。高齢だからといって見る目がないとはいいませんが、全体のレベルが高く時間も短いためにあら捜しになっても仕方がないでしょう。無用な倍率で役員面接に送り込むことは、学生だけでなく役員にも採用当局にも、ひいては会社の将来にとっても不幸なことです。

また会社は内定辞退を「学生の権利であり、仕方がないこと」と思っているかもしれません。しかし大きく見れば辞退が出ることは会社側に原因があります。特に選考の過程で学生側と本音で語り理解してもらうステップが欠けているのではないでしょうか。さらには役員面接自体が学生に与える印象は大きく、上述のような姿勢では役員面接そのものが辞退を加速させてしまっている可能性も否定できません。

この「役員面接」と「内定辞退」の問題を突き詰めていくと、一つの答えが見えてきます。人事は企業の多くの新卒学生と接し様々な知見をもつ「採用のプロ」ですが職業上会社を代表する部署とはいえません。一方まさに役員は「会社の顔」であり、魅力ある経営者像こそが学生の心を捕らえますが、決して採用のプロとは言えません。すなわち「選ぶのは人事、選ばれるのは役員」の役目と言えるのではないでしょうか。

新卒採用に限らず、現場の上げてきた計画や稟議を経営が承認するのは通常の仕事です。しかし新卒採用は未経験者の採用であるがゆえに、役員決議の中でも「本当にそれがベストの選択か」極めて微妙なものだといえます。それであれば他の稟議と同様、採用当局、特に人事担当役員が「これらの学生に内定を出します」と推せばよいはずです。そのためには採用当局が責任をもって学生を厳選しなければいけません。最後に人事担当役員自身がじっくり個々の学生と面接をして選考するのがよいでしょう。そしてそこまでが「会社側の」選考活動であると認識すべきです。

そこからは、全役員の出番です。ここでは「面接」ではなく「対話」であることが重要です。役員は自社の魅力や風土・成長目標と計画・経営上の課題・具体的な部署で求められている人物像などを話し、学生は自分の魅力や性格・将来の目標とそれへの努力・現在の自分の課題・自分がどのように役に立てるかといったことを率直に語り合う。それが対等な立場での「対話」です。

この「対話」の最大の効果は、優秀な人材が辞退する確率を下げられることです。優秀な学生は内定直後その会社のことを実は何も知らないことに気が付きます。しかし内定後人事にはなかなか相談できません。悩んだ結果多少でも知っている(つもりの)他社にいくというのが通常の構図でしょう。(原則として)内定を出すことを前提に役員との話の機会を学生にもたせることで、学生の理解と志望度が跳ね上がることは間違いありません。

対話を円滑で意義あるものにするには、役員はあくまで学生は粗削りであることを前提にし、学生も役員は若者のことを十分には分かっていないことを前提にしなければいけません。それには採用当局が役員・学生双方にきちんとこの「対話」の位置付けと意味をオリエンすればよいことでしょう。

またきちんと対話をすれば、会社と学生の意見の相違がはっきりしてくるかもしれません。あまりに食い違えば役員側から内定を出さない判断があってもよいでしょうし、学生の方も明確な理由で辞退できます。できれば役員判断で落選させるのは避けて欲しいところですが、万が一役員のお眼鏡にかからなかった場合でも人事は責任をとって入社後の教育を徹底していけば十分です。

採用担当者は現在の役員面接の問題点を役員会に上げ、内定を人質にしない「対話」の意義を伝えることができれば、多くの役員は同意するのではないでしょうか。

特に「毎年学生と会えることを楽しみにしている」役員の方ほど。

|

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/4124/2730466

この記事へのトラックバック一覧です: 「選ぶのは人事、選ばれるのは役員」論。:

» 入社誓約書を提出したけど… []
辞退する旨の手紙を郵送したのにも関わらず、 辞退先の会社から電話がかかってくる。 辞退先の会社っていうのは、ブラック企業なんだ。 だから、辞退者は多いはず!!と思い、 内定辞退後に提出書類はあるのか、とかをググってみたけど、 出てこなくて…。 んで、毎日フレッシャーズによると、 ■ 内定承諾書に法的拘束力はないとなっており、 憲法22条「職業選択の自由」、労基法16条「賠償予定の禁止」、 民法627条「解約の申入れ」について書いてあるよ。 でも、■ ただし、こんなケースもありますということ... [続きを読む]

受信: 2006.03.18 22:03

コメント

コメントを書く