国会・政府がプロ野球選手会を労組と認めている証拠。
報道ステーションで「過去国会で日本プロ野球選手会のことを労組と認めている」とコメンテータが言っていたのを聞き、国会会議録検索システムで調べてみたところ、確かに平成12年11月08日 衆議院労働委員会の議事録にそれを確認することができました(要約、太字は筆者)。
大森委員(日本共産党)発言No.259
(要約)労働組合プロ野球選手会が代理人による契約更改交渉についてオーナー会議が選手会と協議会期間を設けて検討すると報じられているが、Wオーナーが「くだらぬ代理人をつれてくる連れてくるやつは球団代表に給料カットしろという」と言ったもと報じられている。これは不当労働行為の意思を公然と表したものであり問題である。
澤田政府参考人(労働省労政局長)発言No.260
(要約)新聞報道であり確たることは言えないが、一般的に言えば報道が事実でありかつ労使間で合意された事項については契約といえるので穏当な発言ではないだろう。
大森委員 発言No.261
(要約)代理人交渉するなら「給料カット!!」」これほど大きい見出しで出している。まさにこれ自体が脅迫にもなるのではないか。代理人交渉は労組たる選手会と使用者団体であるオーナー会議の間の正式合意であり、このルールに基づく交渉は労働組合員として正当な権利であることを確認したい。
澤田政府参考人 発言No.262
(要約)今回の合意はまだ書面を交わしていないので現時点では労働協約ではなく民法上の契約だと考えられる。その前提でWオーナーの発言が不当労働行為になるかどうかは事実関係を精査する必要がある。いずれも個別の問題は労働委員会制度を使って判断されるべき。
大森委員 発言No.263
(要約)社会的な大問題になっているので労働省としても措置をとるべき。
吉川労働大臣 発言No.264
(全文引用)不当労働行為であるかどうかについては労働委員会において判断さるべきものであり、私が個々の問題について申し上げる立場にはないと思っております。
いずれにせよ、労使間での合意については、当事者間において誠実に対応されることが労使関係の安定にとって重要であると考えております。
この質疑では、プロ野球選手会とオーナー会議の関係を労働省労政局長、労働大臣ともに「労使関係」と認定しており、大臣にいたってはその交渉過程に問題があれば労働委員会(司法の場ではない!)と発言しています。
もちろんそもそもプロ野球選手会は1985年に東京都地方労働委員会に労働組合として認定されています。確かにこの問題は決着しており、労働委員会ではなく司法の場で損害賠償論を語るのは明らかに論点のすり替えになっていると考えていいでしょう。
上記議事録の全文を以下に転載します。当時どのような背景と議論があったかも、極めて興味深いものです。
150-衆-労働委員会-1号 平成12年11月08日
○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
三日付の各新聞によりますと、プロ野球の選手会労働組合が長年にわたって要求してきた代理人による契約更改交渉について、オーナー会議が今オフに限って認めることにしたとなっております。今後については、労働組合選手会と協議機関を設けて検討をすると報道されております。
このこと自体については私どもとやかく言うことは一切ないわけでありますが、これに関連して、どうしても見過ごすことのできない問題があります。それは、この決定が行われたオーナー会議の後のジャイアンツの渡辺恒雄オーナーの発言であります。マスコミを前にした発言。
どの新聞でもほぼ共通して書かれておりますけれども、発言の内容は、巨人にはくだらぬ代理人を連れてくるやつはいないだろう、連れてきたらおれが球団代表に給料をカットしろと言う、それで五千万、六千万ふえると思ったら大間違いだ、二千万、三千万下がるだけだ、嫌なら自由契約だ、うちに入りたいやつは幾らでもいる、そういう選手は他の球団も採らないようにすればよいなどという暴言であります。
この発言は、労使間で取り決めた交渉のルールをほごにしようというものであります。労働組合法第七条で厳しく禁止されております不当労働行為の意思を公然と表明したものと言えるのではないかと思います。
我が日本において、プロ野球は国民的なスポーツの一つでもあり、子供たちに夢を与えるスポーツでもあります。その中で、ジャイアンツはことし日本一になって、先日の銀座のパレードには三十六万人も集まるということから見ても、このことの持つ影響というのは非常に大きいものがあるのではないかと思います。
この発言は単に私的な見解を個人的に述べたというものでもなく、大勢のマスコミを前にして行われ、実際、翌日の新聞はこれを大きく報道したわけであります。一般新聞もそうでありますが、これはスポーツ関係の新聞であります。ごらんいただきたいと思うのですが、「代理人なら年俸カット」似たような調子で各紙とも一面を使って報道しております。「代理人 巨人選手が連れて来たら年俸下げてやる…嫌なら自由契約だ」などなどであります。
これは、現在の雇用情勢のもとで、ただでさえ雇用関係についてさまざまトラブルが発生している、労働者の権利侵害がさまざま行われている、そういう中で、もしこういうことがまかり通るようになれば、悪質な経営者を励ますことにつながるのではないか。労働組合と使用者との関係を律した労働組合法の適正な執行、労働行政、この面から見ても見過ごしてはならない非常に重要な問題ではないかと思いますが、労働省の見解をお聞きしたいと思います。○澤田政府参考人 今先生お話ございました件については、私どもも新聞紙上で承知しておる限りでございます。渡辺オーナーの発言につきましては新聞で承知しておりますが、その場の状況あるいは発言の前後の脈絡等不明でありますので、確たることはなかなか申し上げることはできません。
ただ、一般的に申し上げるということでありますと、一つは、報道された発言等が事実であり、かつ労使間で合意された事項について、これはいわば契約でございますので、市民法上の契約につきましては当事者が履行義務を持つということになりますので、そうした意味で、労使間で合意された事項について一方的にその履行を行わないという旨の趣旨であるとすれば、二つの前提でありますが、そういうことであれば穏当な発言ではないだろうと思いますが、いかんせん、発言の前後の状況等が不明でありますので、確たることはこの場では申し上げることは難しいと思います。○大森委員 二つの前提を置かれましたけれども、労使間で合意をしたルール、それを一方的に執行しないということを宣言すれば不穏当であるということをおっしゃいました。
これは確認をしておきたいと思うわけですが、二千万、三千万下がるだけだ、自由契約だ、うちに入りたいやつは幾らでもいるなどというのは、改めて私は申し上げますけれども、組合員の正当な権利行使を理由として不利益扱いを公言するもので、いわば脅迫にも相当する。実際、報道の中では恫喝をしたという報道もされているわけであります。このように「代理人交渉するなら「給料カット!!」」これほど大きい見出しで出している。まさにこれ自体が脅迫にもなるのじゃないかと強く思うわけであります。
労働組合法第七条は、使用者に対し「労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること」を禁じております。
今回の代理人による交渉は、労働組合である選手会と使用者団体であるオーナー会議との間で交わされた交渉のルールの正式な合意であります。このルールに基づいた交渉を行うことは労働組合員としての正当な権利の行使でもあると思うのですが、その点、ちょっと確認をしておきたいと思います。○澤田政府参考人 まず、今回の合意についての性格でございますが、私どもが把握している限りにおきましては、当事者間で口頭で合意をした、書面を交わしているわけではない、口頭で合意したことを議事録において認証したという形式をとっていると聞いております。したがいまして、法律的に申しますと、今回のこの合意は労働組合法上の労働協約ではない、先ほどから申しております民法上の契約であるというふうに私どもは考えております。
そういう前提をはっきりさせた上で申し上げますが、不当労働行為との関係につきましては、大森先生は七条の一号あるいは三号を念頭に置いて御質問されているかと思いますが、オーナーの発言が七条の一号ないし三号に直ちに抵触するかという点については、事実関係を精査しないことにはよくわからない、抵触すると断ずることは今のところはできない、これだけは申し上げられると思います。大事なことは、オーナーの発言を一方の当事者である方々がどう受けとめ、どう理解しているかというところも大事だろうと思うのですが、そこのところは私どももまだよく把握はいたしておりません。
いずれにしましても、個別の問題につきまして不当労働行為の関係を議論するのであれば、それは、必要があれば労働委員会制度という制度を使って事実関係を精査した上で判断されるべきもの、こういうふうに考えております。○大森委員 正当な権利行使に対してこういう発言がそのまま執行されれば、これは明らかな不当労働行為であると思います。こういう形で大々的に報道されているということで、個人的な見解でもないことも明らかだと思うのですね。
この間、労働省に対しても、政府に対しても、私ども、例えば解雇にかかわるさまざまな要求をしてきた場合、労使間での話し合いを特に労働省も強調してきたわけであります。もし、労使間で合意された事項がこのような形で守られないということになれば、そのことの持つ影響は本当に大きいと思うのですね。
おれの言うことを聞かなかったらどうだこうだという形でこれほど社会的な大問題になっていることは、労働省としてもやはりきちんと何らかの措置をとるべきではないか。労働委員会のことを言われたわけなんでありますけれども、しかし、労働省としてこういうものは当然未然に防止しなくてはならないという立場からも必要な措置をぜひとるべきではないかと思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。○吉川国務大臣 お答えいたします。
不当労働行為であるかどうかについては労働委員会において判断さるべきものであり、私が個々の問題について申し上げる立場にはないと思っております。
いずれにせよ、労使間での合意については、当事者間において誠実に対応されることが労使関係の安定にとって重要であると考えております。○大森委員 労使間の合意が誠実に実行されるよう――今、私のこの質問に対して随分いろいろな反響があったわけでありますけれども、この問題について言えるのは、そして同時に、言う責任があるのは労働省だけだと思うのです。その点で、今おっしゃったように誠実に対応されるよう、これは労働大臣として明確に、この問題に関して改めて明言をしていただきたいと思います。
○吉川国務大臣 繰り返しになりますけれども、申し上げさせていただきます。
いずれにせよ、労使間での合意については当事者において誠実に対応されることが労使関係の安定にとって重要であると考えております。
以上です。○大森委員 オーナー会議、オーナーとプロ野球選手会労働組合との合意が本当に誠実に実行されるよう、私も大いに期待をするものであります。
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/4124/1381834
この記事へのトラックバック一覧です: 国会・政府がプロ野球選手会を労組と認めている証拠。:
» 選手達も反省を 〜プロ野球人気低迷に思う〜 [ば○こう○ちの納得いかないコーナー]
今週は日本プロ野球界にとって、大きな意味を持つ一週間となりそうだ。本日(6日)行なわれる、日本プロ野球組織と日本プロ野球選手会の協議結果に依っては、ストライキ突... [続きを読む]
受信: 2004.09.08 01:40



コメント