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2004年9月

2004.09.29

クリティカル・マス。

クリティカル・マス(critical mass)とは化学用語で「臨界(質)量」のことです。物質が一定以上の密度で集まると自然に化学現象を起こすことで、原子力の分野などで使われます。

マーケティングの世界では、普及している数(または普及率)があるレベルを超えるとさらに普及が加速する現象、その普及レベルを言います。この経済学的理論は奈良産業大学経営学部水谷直樹氏のサイトが極めて分かりやすい解説をしています。このレベルを越えれば需要が加速していき、生産体制もどんどん拡大して価格も下がり、関連マーケットも生まれ成長していきます。マーケティング上は「人口の17%がクリティカル・マス」といわれているそうです。

最近もっとも劇的にクリティカル・マスを越えて成長したのは携帯電話でしょう。携帯電話は相手あってのツールですが、クリティカルマスを越えて普及が進むと、まだもっていない人はコミュニケーションの中で取り残され、ついにもたない理由すら許さない状況に追い込まれます。普及率自体がコミュニケーションニーズを創造し、急速に普及が進んでいきました。

もう一つ有名な例は、DVDプレイヤーです。DVDプレイヤーは長い時間をかけてクリティカルマスを越え、録画もできるDVDレコーダーは今や家電製品の中心的位置付けとなっています。

普及の最初のステップはソニープレイステーション2がDVD再生機能を搭載したことですが、その後パソコンのCD-ROMドライブがDVD対応に取って代わられ、いつの間にかDVDを再生できる機器が複数台あるという家庭も多くなっていきました。日本映像ソフト協会(JVA)発表の資料では2001年のDVD世帯普及率は22%となり、業界としてはこの時点でクリティカル・マスを越えたと判断したのだと思います。

その後DVDプレイヤーのクリティカルマスに敏感に反応したレンタルビデオチェーンは、品揃えまで変えて消費者の現在そして将来の需要に応えました。DVDプレイヤー未購入者もレンタルビデオ店を見て新しい時代がきたことを実感し、次々と購入に踏み切っていきます。そして今や2004年3月時点のDVD世帯普及率は35.4%に急増、3世帯に1世帯はDVDが見られる環境になっています。

機関車トーマス、クレヨンしんちゃん、ポケットモンスターなど子供用のレンタルビデオはものすごい回転率であり、たいていボロボロです。かすれた画面を子供と一緒に見ながら、アナログメディアによる映像コンテンツはクリティカル(危機的)な状況にあると実感しました。

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2004.09.27

「妥結」とは何か。

9月25日朝日新聞朝刊スポーツ面で「代替試合、結論先送り」と報じられました。ストで実施されなかった2試合分をどうするかという話が、今実行委員会で議論されているということです。

これに関連し朝日は同面で[そもそも代替試合という発想がおかしい。職場でストライキがあった。労使が妥結したからといって、経営者側からストライキの分、残業しろと言えるだろうか」とのコラムを掲載しています。

代替試合については、まさに朝日の指摘するとおりです。ここまで実行委員会が愚かな議論をするのであれば、9月23日の妥結調印時に「代替試合は行わない」と明記しておくべきだったのでしょう。

ストライキというのは、経営者の業務命令を労働法上の権利をもとに拒否することです。選手はすでにストライキ期間の年俸をカットされることに合意しています。「ドッグイヤーとプロ野球。」の回でもコメントしましたが、経営者がこのストライキを労働法に基づくものでなく不当であるというのであれば、交渉決裂後にでも試合を行うよう仮処分申請など法的手段を講じておくべきだったと思います。

妥結」を辞書で調べると、

利害の対立する二者が、同意に達して約束を結ぶに至ること。双方が互いに折れ合って、話がまとまること。

となっています。すなわち、それまでの紛争をすべて収めるという合意が「妥結」です。妥結・妥協とはお互いに100点満点のものではありません。それが故に、お互いが真摯に話し合って定めた合意項目を尊重し、過去の問題をすべて精算すべきです。

朝日の記事では落合監督の

「代替試合は出来ない。これだけ世の中を巻き込んだ選手会のストを軽く見るな」

というコメントも掲載されました。この言葉で代替試合問題は終了です。

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2004.09.26

カタログの仕事が大事な理由。

先日会社の先輩が「いろいろ大事な仕事はあるけども、実は大事なのはカタログ製作だ」と言っていました。そういえばある後輩も「ずっとカタログ製作の仕事で泥沼の残業をしていましたが、とても楽しかったです」と言っていたのを思い出しました。

2人は共通して「カタログの作業は広告主とがっぷり四つに仕事ができる」と言います。

カタログ製作は極めて地味な作業であると同時に莫大で正確な製品知識が必要となります。また素材となる写真撮影数も膨大です。極めて専門的であり、かつ販売の現場でそのまま使われるものであるため、広告主も広告会社などに丸投げすることはできず、最終的な校正は結局広告主側が行うことになります。テレビCMや新聞広告でも同様に制作物の最終責任は広告主にありますが、要請される正確さや知識はカタログの比ではありません。

このためカタログ製作は知識や経験のあるスタッフが極めて重宝されます。価格競争もないわけではありませんが、一度も取引をしていない印刷会社がいかに安く言ってきても、結局製作で苦労するのは広告主自身です。したがってカタログ製作は一旦広告主との信頼関係が構築されれば比較的長期に指名受注できる分野となっています。後輩は「とにかく広告主とべったりの作業だったが、苦しさも楽しさも共有できた」と言っていました。

とても地味な分野だと思われますが、たとえば電機製品や自動車などの高額商品は、最終的な購入行動の決め手がカタログであることも度々です。小さい広告会社でもこのカタログ扱いのあるところは一つの強みを持っていると言えるでしょう。

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2004.09.24

「労働組合」とプロ野球。

プロ野球界を揺るがした労使交渉は歴史的な合意をもって終結しました。以下が合意内容となっています。

1、 NPBは、来季(2005年シーズン)に、セパ12球団に戻すことを視野に入れ、野球協約31条、32条に基づくNPBの参加資格の取得に関する審査(以下「審査」という)を速やかに進め、適切に対応する。

2、 審査は、実行委員会の下部組織として組織される「審査小委員会」が担当し、審査開始後1か月を目処に実行委員会およびオーナー会議に答申する。来年(2006年シーズン)以降の審査については、第三者を委員とする新規加入球団審査委員会(仮称)を設置する。

3、 NPBは、現行野球協約の加盟料・参加料を撤廃し、預かり保証金等の制度を導入する。

4、 審査は、適正・公平に行い、小委員会の審査過程を可能な限り、開示するなど、透明化に努める。

5、 審査小委員会の答申に基づいて、実行委員会及びオーナー会議が、来季参入を可とした場合は、NPBは、その参入が円滑になされるよう最大限の協力をする。

6、 新規参入が決まった場合、分配ドラフトへの新規参入球団の参加を認め、統合球団のプロテクト選手(2巡目、3巡目の指名選手を含む)を除いて柔軟に対応する。また、既存球団は、新規参入球団と既存球団との戦力均衡を図るため、新規参入球団に協力する。

7、 NPBは、選手会との間で、プロ野球構造改革協議会(仮称)を設け、1年間をかけて、ドラフト改革、エクスパンション・ドラフト制度の導入、選手年俸の減額制限の緩和などについて徹底的に協議する。

この合意に至ったのは、選手会がコメントしている以下の部分が大きかったようです。

しかし、この2日間の交渉では、球団側は、真摯に新規参入の審査を行うという点について、NPBから、「新たな参入ですから申請に不備な点もあろうかとおもいます。その点を突いて、最初からはねつけるようなことはありません。補えるような問題なら、NPBでアドバイスなどをしながら積極的に対応したいと思います。」といった姿勢が示され、また合意書にも、「審査は、適正・公平に行い、小委員会の審査過程を可能な限り、開示するなど、透明化に努める」などの条項が設けられ、具体的な審査過程でのガラス張りの情報公開の方法を提示するなどの新規参入に対する積極的な姿勢や公正な姿勢を示していただきました。現に新規参入の申請が行われ、またさらに今後行う予定の会社があることも報道されている中で、いわばファンの皆さんにもこの審査の過程をチェックしていただくことができ、また、申請の不備については、NPBにおいてアドバイスをしながら対応するという柔軟な姿勢が示されたことで、2005年シーズンに12球団を維持するために、前向きで、かつ、適正な審査が行われるとの期待も持てると判断致しました。

結論としては、「野球はファンのものであり、ファンに対してオープンにしていこう」という姿勢を労使が確認したということです。NPB側のコメントにもこのことが読み取れます。合意事項には選手にも痛みを伴う項目が入っていますが、お互いの痛み分けということではなく、総体として大きな価値を生み出した歴史的合意だと思います。

団体交渉という法律上の権利にもとづかなければ、ここまでの結果には至らなかったと思います。この点では、労働組合は存在するだけでも価値があると、いまさらながら実感しています。労使は一方の勝ち負けのためではなく、お互いの成長のために話し合います。合意に至った今、損害賠償やストライキといったネガティブなことは水に流し、ファンのために一体となったプロ野球改革を期待していきたいと思います。

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2004.09.23

CM原版が廃棄へ。

22日朝日新聞朝刊、asahi.comで、昔のCM10万本、廃棄の危機 保管コストかさむと報じられました。

戦後のテレビ史を彩ったCMのうち、85年以前の原版のほとんどが捨てられ始めている。多ければ約10万本に達する。廃棄対象は、フィルムや旧式ビデオのもので、保管やデジタル化のコストがかさむのが主な理由だ。

CMの原版は放映終了後、制作会社や広告主、広告会社などの申し合わせで、制作会社が2年間保管することになっているが、広告主などの要望に備え、以後も保存されていたものも多かった。

日本テレビコマーシャル制作社連盟(JAC)によれば、85年ごろまでに制作されたCMの総推定本数は30万~40万本。昨年、JACと日本広告業協会が調べたところ、フィルムや旧式ビデオによるものでは約10万3000本が保管されていたが、保管コストが多額にのぼるうえ、「もはや視聴自体が困難」として、廃棄候補にした。

広告主などから要望があったものは残すが、それ以外は7月から制作会社が廃棄を始めた。

JACの杉本誠事務局長は「有名CMはすでに保存されている」と話すが、全国広告関連労働組合協議会の藤井勝敏事務局長は「無名なCMでも、産業の変遷など時代がうかがえる。工夫すれば視聴も可能。『CMアーカイブ』作りを訴えたい」という。

広告労協では、公開ディスカッションを26日午後1時30分から東京都千代田区飯田橋3丁目の東京しごとセンター大講堂で開く。無料。広告労協(03・3545・6279)まで要予約。 (09/22 08:49)

CMにまつわる諸権利は極めて複雑であり、特にインターネット上での放送に関しては放送範囲や複製制限などを考慮する必要があります。広告業界では、「アドミッション」という仕組みを共通プラットフォームとしてつくり、権利処理済みであることの証明としています。今後のCM素材は、このようなプラットフォームをつかってデジタル2次利用が普及していくと思われます。

しかし、過去に作られたCMについては、出演者・ナレーターなどのすべての権利処理が極めて困難であり、CM原版廃棄を具体的にどのように取り組めばいいのか、一筋縄にはいかないところです。

広告労協がこれだけ大きな記事になることはまれですが、まさに広告労協としての活動にふさわしいものだと思います。興味のある方はぜひ参加してみてください。

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2004.09.22

業績連動とプロ野球。

現在賞与や年俸などの労使交渉は、多くの場合「業績連動」の考え方によって行われています。具体的には、全体の賞与原資は売上総利益や営業利益などの経営指標に連動して決め、その後個々に配分するというものです。

景気が右肩上がりの時には、より多くの賞与原資を獲得していくことが労働組合の役目でしたが、景気が悪くなってくると逆に大幅カット、リストラを避けることができません。「悪い時には下げてもよいが、よくなったら上げることを約束する」という労使の「ルール」をあらかじめ作ることで、大枠での金銭交渉はなくし、「ストライキ」といった争議もなくなります。

業績連動のルールを合意している企業では、労使が「全体の業績を上げる」ことを至上命題として共有することができます。同時にいかに会社を成長させていくかが労使交渉の中心として団交の場で議論されます。これは現在の労働法の「義務的団体交渉事項」には該当しないでしょう。しかし、労働組合が金銭に関する最終手段ともいえるストライキ権を事実上放棄するためには、従業員にも経営がオープンにされ、将来の発展のための知恵を従業員側も出す権利を担保されなければいけません。会社が間違った方向に行くことは、業績連動のルールをも狂わせることになります。

職業としてのプロ野球は事実上1つの事業体であり、その経営方針はNPBが独占しています。選手もドラフトという制度により原則として自由に球団を選ぶことはできず、個々の球団は1部署に近い位置付けといえます。セリーグ・パリーグも全体を効率的に盛り上げるための単位に過ぎず、競争原理でどちらかが一方を駆逐していく類いのものではありません。

このように考えていけば、プロ野球全体を盛り上げることがNPBの基本的な役割であって、縮小の方向を選ぶのは「乱心」ともいえる間違った事態です。選手会は今回近鉄・オリックスの個別問題として扱わず、プロ野球全体の問題として団体交渉をしているのは極めてまともな判断であるといえるでしょう。

日本プロ野球選手会のストライキが「義務的団体交渉事項」に該当せず不当・違法な行為であるとNPB側は考えているようですが、日本で唯一の職業野球の団体が事業体が今後どのような方向性にいくかチェックし、間違っているならば正さなければいけないことを、選手会は後世への義務と考えています。すでに当面の雇用確保をすればよいというレベルではありません。どんな脅しがあろうと、今は可能な手段はすべて実行すべき時期です。

同時に選手の方も、セリーグの人気球団に行けば高い年俸がもらえる、といった考えを一人一人が変えていかなければいけない時期にきていると思います。年俸をNPB全体でプールするなど報酬制度改革に自ら提案をし、放映権を一括管理・戦力の均衡化をNPBとともに進めていかなければいけないと考えます。

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2004.09.21

高齢化と、消費社会。

敬老の日の20日、新聞各社は進行しつつある高齢化社会を報じています。

65歳以上の高齢者、2484万人で総人口の約20%・総務省(日経新聞 04/09/19)

「敬老の日」にあたり、総務省は20日現在の高齢者推計人口を発表した。65歳以上の高齢者は昨年より55万人増えて2484万人。総人口に占める割合も昨年比0.5ポイント増の19.5%といずれも過去最高を更新し、国民のほぼ5人に1人を高齢者が占める結果になった。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、高齢者は今後も増え続け、2014年には4人に1人が高齢者という前例のない高齢化社会になる。

今年の高齢者人口を男女別にみると、男性が1049万人で男性全体の16.9%、女性は1435万人と女性全体の22.0%にのぼった。高齢者のいる世帯は1640万世帯で、世帯総数の35%。このうち高齢者が1人で住んでいる単身世帯は337万世帯、夫婦の双方またはいずれかが高齢者の夫婦世帯は442万世帯だった。

高齢者の就業割合は19.7%(477万人)で、米国(13.5%)、カナダ(7.1%)、英国(5.8%)など欧米諸国と比べて高い。 (22:13)

2014年といえば今から10年後、21歳の05生が31歳、20歳の06生が30歳のときです。広告業界であれば第一線で働いている時期であるといえるでしょう(私はその頃48歳…)。ただの高齢化だけでなく、少子化の効果も本格的に出てきている時代になっていくと思われます。

高齢化社会に向け、博報堂は2000年6月、エルダービジネス推進室を設立しています。

2000年6月、社会の高齢化に対応すべく、広告会社博報堂によって、世に先駆けて設立されたエルダー研究の専門組織です。エルダー生活者を50歳以上と捉え、その生活意識の“変化”に注目して、ナレッジを蓄積。エルダー世代のみならず、高齢社会全体の可能性を探っています。とくに、調査パネルとしては国内で初めての、50代~80代にわたる全国規模の調査パネル<HOPEサーベイ>を新たに開発し、2,000年に第一回調査をして以来、消費を動かす鍵の一つを握るエルダー世代の素顔について、定期的にご報告しています。今後、ますます高齢者層の消費の拡大が期待される中、企業のこの層に対する注目度も高まってきております。当室では、エルダー生活者の調査・研究活動全般から個別商品のコミュニケーション戦略策定まで、博報堂全社の体制を通じて幅広く対応することで、高齢化社会がもたらす様々な社会課題等にトータルソリューションを提供する体制を整備しております。(人員60名)

また電通では2001年より「シニア大航海プロジェクト」を開始し、現在に至るまで様々なレポートを発信しています。

2005年には、日本の成人人口の約半数が50歳以上のシニア層で占められるといわれている。ところが、これまで企業のマーケティング活動は若者に偏る傾向があり、シニア層は介護などの一部の商品やサービスを除いて、中心ターゲットとしては考えられてこなかった。

しかし、現実には団塊世代も含めた50代、60代以上の人々は、行動的で、活発な消費性向を持っており、従来の高齢者イメージとは異なった新しいタイプのシニア層として注目され始めている。高齢者介護の問題も最重要課題のひとつであるが、その一方で高齢者人口の8割~9割を占める元気で健康な人達が、いかに生きがいを持って暮らせるか、そして自分たちのニーズに即した質の高い生活を送ることができるかという点も、見逃すことのできない重要な21世紀のテーマである。こうした問題意識から、電通はこのプロジェクトを立ち上げることとなった。

電通ではこのシニア層を、人生の未知の領域に挑戦する冒険者になぞらえて『大航海世代』と名づけた。この層を中心とした新しい市場を創造し、かつシニア層の人々が心豊かに人生を楽しむことができるようなムーブメントづくりを支援していく。

私がまだ九州で暮らしていた10代、お年寄りは大事にされていましたが、消費という舞台からもリタイアしていたようです。しかし現役時代にゴルフや海外旅行を楽しんできた現在の50代、60代前半の高齢者は、人口の四分の1の中で消費の中心になるかもしれません。年金問題が昨今叫ばれていますが、その年金の消費先が今後莫大になるということも事実です。広告会社各社のプロジェクトはこのような将来に注目しているものでしょう。

高齢者に関することは、就職活動をする若者にはもっとも遠い存在でしょうが、広告業界では男性が女性用衛生用品を担当したり、飲めないのにアルコールの担当をすることもあります。一つのジャンルとして高齢者向けマーケティングのことを具体的に考えておくことは、今後の面接などに必ず役に立つのではないでしょうか。

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2004.09.20

ロックアウトとプロ野球。

ストライキは労働者側が集団で労働提供を拒否することですが、ロックアウトとは使用者(経営者)側が争議中(ストライキなどを実行中)の組合員を事業所に入れないことを言います。

ロックアウトについて日本労働研究機構の解説には

労働組合が争議に入った場合、原則として、会社が対抗して、操業を継続すること自体は禁止されていませんが、争議時に、新たな職業紹介を受けたり、派遣労働者を受け入れたりすることは禁止されています。なお、部分ストやサボタージュに対抗して、一定の場合、ロックアウトをすることはできますが、ストを潰すため先手を取る形の積極的なロックアウトは認められません。

とあります。すなわち労働者がストライキをしても、管理職などの非組合員だけで事業を継続することは会社として認められており、争議中の労働者がその邪魔をしないよう事業所から排除するために、ロックアウトという手法を使います。

今回、日刊スポーツが「巨人ドタバタ、深夜ロックアウト→朝解除と報じました。

 ナゴヤドームで首位攻防戦に臨むはずだった巨人ナインは、球団側のロックアウトの対応に際し、ドタバタの一日を過ごした。前日17日夜、協議・交渉委員会終了をもってスト突入が決まると、選手にロックアウトの措置をとるとの通達がなされた。都内で労使交渉に出席した選手会長の高橋由と同副会長の仁志には、フロントから電話で連絡が入った。広島から名古屋に移動していたナインには、宿舎の各部屋のドアの下に書面が差し込まれた。ナインは、移動や用具など、すべて自前で対応するつもりで、この日の朝を迎えた。ストを実感する目覚めだった。

ところが、球団側の対応が二転三転する。この日の朝、ロックアウトが解除された。午前9時40分の段階で、午後4時前からのナゴヤドームでの自主練習に、堀内監督以下、首脳陣も参加する予定となった。試合はないが、通常の練習風景が目に浮かんだ。

しかし、またも事態は動く。正午前、清武球団代表が都内から駆けつけ、スト突入の経過をナインに説明。その後、今度は監督、コーチの不参加が正式に決まった。清武代表は「われわれは『ロックアウト』という言葉は使っていない」と、ロックアウト行使を認めなかったが「(ストは)初めてのことなんで」と、対応に苦慮したことを明かした。

結局、練習は選手と球団スタッフだけで行われ、一方でナゴヤドームへの移動バスや宿泊費、ユニホームなどは、通常の遠征と同様にすべてを球団が負担した。

また、2軍選手も“慣れない”一日のスタートだった。午前9時から川崎市内の選手寮に待機。10時になると、寮の館内放送で「(ロックアウト)解除です」のアナウンスが響き、25選手はジャイアンツ球場での練習へ向かった。プロ野球70年で、だれもが初めてのスト決行日。慣れたくないことだけは、確かだった。[ 9月19日 9時58分 更新 ]

巨人では実際にロックアウト(相当)のことを実施しようとしたようですが、相当混乱したようです。他球団でも大半の球場がロックアウトとなりませんでした。このため選手たちは練習風景をファンに開放し、また球場でサイン会など選手自身によるファンへの埋め合わせをしています。以下はこの18、19日に行われた選手会によるイベントです。

横浜ベイスターズ・広島東洋カープ選手会サイン会のお知らせ(時間変更)
中日ドラゴンズ・読売ジャイアンツ選手会 お子様との交流会のお知らせ
北海道日本ハムファイターズ選手会・大阪近鉄バファローズサイン会
9/19(日) ファンと選手の集い 緊急開催!
横浜ベイスターズ・広島東洋カープ選手会によるサイン会(9/19(日)も行います)
オリックスブルーウェーブ選手会サイン会のお知らせ

球場も球団自体が保有している場合が少ないため、選手のこのような活動を排除する必然性がありません。このような動きを球団側が制すればむしろさらに世論の反発を受けることは必至であり、球団もなんら対抗措置をとれていないという状況なのだと思います。もっとも注目される巨人選手会の動きですが、ナゴヤドームでの試合だったことがとりあえず幸いだったのかもしれません。

焦点が「新規参入の早期検討」に絞られ、12球団オーナーの密談による合意が今後どのようになるか、選手会だけでなく今や何千万人の国民に注視されています。「経営の専権事項」という言葉が「経営の独裁権」と聞こえているのは私だけでしょうか。

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2004.09.19

テレビとラジオとプロ野球。

日本プロ野球選手会によるストライキは、放送業界にも大きな影響を与えています。

スト突入でTV各局対応に大わらわ(スポニチ)

プロ野球史上初のスト突入が決まり、巨人戦ナイターの生中継を予定していたテレビ各局は17日夜、番組差し替えなどの対応に追われた。18日夜に中日との首位攻防戦を中継するはずだったNHKは「週刊こどもニュース」で急きょ、プロ野球問題を集中的に“報道”。19日に同一カードを組んでいたTBSは大リーグ特番などを編成した。25、26の両日に伝統の阪神戦を構えていた日本テレビは、メークミラクル?のスト回避に望みを託した。

NHKは18日午後6時10分から、定時ニュースをはさんで試合終了まで中継予定だったが、同時刻からレギュラーの「週刊こどもニュース」を、「7時のニュース」を挟んで同7時半から「列島縦断鉄道12000km~最長片道切符の旅~」を放送することになった。

(中略)

一方、「残念ですが、結果は結果として受け止め、粛々と対応する」とするTBSは、あす19日午後6時半から「特報!MLB」、同7時から8時54分までは「標的はあなた!大都会最新犯罪ファイル2004まさか!の決定的瞬間」に差し替えた。

「…MLB」は急きょ制作したもので、メジャー年間最多安打新記録への挑戦を続けるイチローを中心とした日本人選手の動向に迫という内容。大リーグファンにとっては思いがけないタイムリーな番組となった。「標的…」は「スーパーフライデー」(金曜後7・00)枠用に制作してあったものを“繰り上げ放送”する形に。

当初、レギュラー番組の編成案も検討されたが、同局は20日から“秋の期末期首特番ウイーク”に入る。「19日の日曜ゴールデンタイムは事実上、特番ウイークの扱い」(関係者)だったため、通常番組に戻すのは難しく、頭を痛めていた。

テレビが番組変更対応に追われた一方、ラジオ各社は通常の野球中継番組をそのまま「今後のプロ野球を考える」といった番組編成とし、ファンとともに真剣にこの問題に取り組んでいたようです。

私が車の中で聞いていたTBSラジオ「プロ野球ネットワーク!どうするどうなるプロ野球!」ではファンから寄せられた1400通を超えるストライキ賛成票(反対票は200通強)などの声を中心に、プロ野球経験者・識者が様々な議論を自由に繰り広げていました。そこでの中心的な話題はやはり「なぜ新規参入を急いで検討できないのか。1リーグ制に向けての密約でオーナーたちが固く結束しているのではないか」ということでした。普段の野球中継よりもとても興味深い番組でした。

本来ストライキというものは、ストを実施している間にも交渉を続け、妥結をしたらそこから就業を再開するというものです。しかし今回は最初から18・19日のスト実行が確定され、その時間には交渉進展も追加情報もありません。野球はテレビでというファンも、今日ばかりはみんなラジオをつけたのではないでしょうか。

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2004.09.18

ドッグイヤーとプロ野球。

9月17日付日本プロ野球選手会コメント(ストライキ決行のお知らせ)を支持します。

今回の団体交渉の最大の分かれ道は、2005年度からの新球団参入を検討するかどうかという一点に絞られたといえるでしょう。NPBは頑なに2005年度からはありえないといい、選手会は現実に2005年度から参入希望している企業が手を挙げている以上検討すべきと主張しています。

ライブドアも楽天もIT企業の代表であり、ドッグイヤー(犬の寿命は人間の約7分の1であり、犬が年をとるスピードは人間の約7倍に相当することから、通常の世界の約7倍に相当するスピードで変化が起きること)という経営のスピードの中で、現在の地位をつかんできました。球団参入の審査は現在のペナントレース中に並行して進めていくことも可能であり、NPBの説明には、1年以上かかる(かけなければいけない)という理由が決定的に欠けています。事実NPBコメント(ファンの皆様へ)にもこの点については何ら説明がありません。

経営にスピードと機動的な判断が求められている中で、NPBのいう「経営」がいかに生ぬるいか、選手会、堀江社長、三木谷社長だけでなく、全国のプロ野球ファンも感じていることです。経営の専権事項なのでストライキは不当であるとNPBは言っていますが、なぜ2006年度以降でなければ新球団が設立できないのか、納得いく説明を出させるためにはストライキ実行しか現在は打つ手がないと思います。

日本プロ野球選手会は、労働法上の団体交渉・ストライキという手法を使っていますが、彼らはあくまで選手とファンの立場を代表してNPBから説明を引き出そうとしているのです。企業であればファンというステークホルダーに対して十分な説明義務を負っています。そもそもストライキが労働法に基づくものでなく不当であるというのであれば、交渉決裂後にでも試合を行うよう仮処分申請など法的手段を講じておくべきでしょう。現時点での報道ではその様子もありません。これでは事後に損害賠償訴訟を起こすことも難しいはずです。

今のプロ野球はドッグイヤーでの経営スピードに切り替えていかなければ、金もファンも失っていく状況にあるといえるでしょう。楽天三木谷社長は、ひげを剃り、めったにしないネクタイをして記者会見をしていました。ライブドア堀江社長があまりに衝撃的な登場をしNPB(の一部?)に不評を買ったことから、三木谷氏はこのような点も配慮していたように思います。ドッグイヤー経営者がタートル(亀)イヤー経営者サークルに入ることには様々な障壁があると思いますが、各リーグ6球団と言わずどんどん球団が増え、選手が活躍する「場」が増えていくことを願います。

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2004.09.16

好きなだけ長く働けるか。好きなだけ多く残業代を稼げるか。

従業員の中には「仕事が面白いので働きたいだけ働きたい、いくら働いても飽きない」「クライアントが自分を信頼していつでも相談してくる。期待に応えたい」と思っている人もあるでしょう。しかしそれは労働基準法が許しません。従業員が好きなだけ働きたいと言っても、経営者がその従業員まかせにすることは許されません。

あなた自身が自分の好きなだけ働きたいのであれば、従業員の立場ではなく、自ら事業を興し経営者の立場になる必要があります。経営者に労働法の加護はありません。また、働いた時間に比例して収入が上がるという保証もありません。経営者に時給という概念はないのです。

法律どおりきちんと残業代が支払われることで36協定がずるずると運用されていくと、従業員も「残業代がもらえるならいくらでも働いてもいいだろう」という雰囲気になり、会社側も配置転換や人員増などの具体的な改善施策をせず目をつぶっていきます。そして長時間労働が度を越していき、健康悪化、メンタルヘルス問題、過労死、過労自殺などの原因になっていくのです。

労働組合はあくまで労働法に則った団体であり、特に長時間労働が問題とされる広告業界の労組はこの問題から目をそらす訳にはいきません。とはいえ組合員のすべてが労働法の精神、成り立ちを知っている訳ではなく、時間管理については労組内でよく議論が出てくるのも事実です。しかしこれは運送会社の従業員が「なぜ高速道路にスピード制限があるのか」「なぜ積荷には重量制限があるのか」と(会社や労組に)クレームを言っているようなものです。

健康と安全、そして法律は、決して利益と取引できません。従業員側も、自分の健康は自分自身だけのためではなく両親や家族のためにも大事であるという原点を、時々でも思い起こす必要があります。

もちろん、会社自身も。

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2004.09.14

残業時間上限の協定を超えても、残業代は支払わなければいけない。

言うまでもありませんが、ある月に定められた残業時間の上限の労使協定(36協定)を締結している会社で、結果としてその上限を超える残業量になった場合も、すでに仕事が提供されている以上会社は残業代を全額払わなければいけません。仮に全社の36協定で月間40時間(毎日平均2時間、17時半が終業時間なら平均19時半まで)を上限とし、ある従業員が結果的に月間60時間残業をした場合(20時間分の36協定違反)でも、会社はその時間相当の残業代を全額を支払う義務があります。

仕事を提供したことが分かっていて会社が対価を支払わないということは、自分で追加注文した料理分をただ食いすることと同じです。36協定超過分を払わないのは、オーダーストップ後に無理してつくってもらった料理を食い逃げするようなことです。

労働基準法はあくまで「働かせる立場(会社)を」規制する法律であり、働く側(従業員)を規制するものではありません。マネジメント者は、その残業相当がもっと効率的にできるのであればその社員に働き方の適切な指導や業務命令をしなければいけません。また明らかに業務量が過剰であれば適切な時間に収まるよう業務自体を減らさなければければいけません。

このような施策の結果として、業務効率を賞与(ボーナス)の査定に反映することは問題ありませんが、やってしまった残業代を支払うか支払わないかの判断をする権利は会社にはありません。多くの会社では適切な指導もなく、サービス残業(残業代の不払い)が横行しているようです。これには会社の無策以外にも社員側の無知と職場全体の風土によることも多く見られます。

残業代を会社が支払わない場合は従業員が労働基準監督署に申し出ることで「未払賃金」として会社に支払わせますが、労働組合があれば労働組合が代わりに会社に指摘することができます。会社も役所の命令を受けるのは恥ですので、組合の話を聞くはずです。

労組がある会社では、グチを言う前にまずは組合に入ることが重要です。

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2004.09.13

「ブルガリアヨーグルト」の化粧まわし。

9月12日に大相撲秋場所が始まりました。以前報道されましたが、新入幕でブルガリア出身の琴欧州に「ブルガリアヨーグルト」の明治乳業から化粧まわしが贈られています。

関取には「タニマチ」といわれる後援会(スポンサー)がいるのは誰でも知っていることです。化粧回しは後援会から贈られることが多いのですが、新入幕などで関取自身があまり知られていない場合にはそう多くのお金を集められるものでもないのでしょう。明治乳業からの贈呈は誰のアイデアか分かりませんが、国内の広報的にも、ブルガリアに対する広報としても極めて面白く、有効な手段だったのではないかと思います。

ネットでいろいろ調べましたが、幕内に「安美錦(あみにしき)」関という関取がいて、(サントリーの)「アミノ式」に聞こえるという話があります。サントリーにとっては面白いネタかもしれませんが、すでに安美錦インターネット後援会が入幕に向けて化粧まわしを贈る活動をしているようですね。

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2004.09.12

普通の土曜日。特別な土曜日。

プロ野球選手会のスト延期判断で、昨日は平穏な普通の土曜日となりました。当たり前のように開催される野球が改めてクローズアップされ、報道各社は球場に来ているファンに取材し、様々な声が放送されました。

今回の会議は事前にオーナーから球団代表へ一定の裁量権を与えられていたために、従来の交渉と比べて実効性のあるものになっており、選手会としても今後の交渉にも進歩が期待できると判断してのスト延期だったのでしょう。

しかし個人的には、この日が「9・11」という特別な土曜日であることも考慮されたのではないかと思っています。同時多発テロから丸3年となった9・11をそれぞれの局が特集し、それに関連しテレビCMでは公共広告機構(AC)の作品が多く流されているようでした。このような重大な意味を持つ日にストを打つ判断、またニュースの中心になりえるかどうかの判断も、選手会側にあったのだと想像しています。

スト回避でも依然として高い世論のスト支持率(67.4%、共同通信調べ 9/11)を見ると、球団側がもっとも恐れているのはストライキが実施されても依然世論が選手会側を支持している状況でしょう。ファンや球界に損害を与えているのはどっちなのか、明らかになる瞬間です。

現在もっとも重要とされる「新球団の積極的参入」についてはまだはっきりしておらず、莫大な加盟金など従来の障壁が残るのかどうかが注目されています。来週の週末までには、歴史的な労使合意が成立し、球界にとって特別な土曜日を迎えることを期待します。

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2004.09.10

結果通知のない健康診断。

先日、年に1度の定期健康診断を受診しました。

30歳台後半の私は労働安全衛生規則第四十四条(定期健康診断)に定められた項目だけでなく、 生活習慣病検査として胃のレントゲン検査(いわゆる「バリウム」を使うもの)なども受けます。昔のバリウムはジョッキ一杯分ぐらい飲ませられたようですが、今はマクドナルドのコーヒーのSサイズ程度。甘めの味もついていますが、あのジャリジャリ感はそれだけで異物感がありありです。大量の炭酸ガスを胃に貯めゲップをしないように我慢するのも、それ自体健康を害するのではと思うぐらいしんどいものです。

それでも法律によって受診が義務付けられているサラリーマンはむしろ恵まれているといえるでしょう。たとえば専業主婦は強制的に定期健康診断を受けさせる法律がありません。いやいやながらでも定期的に受診する方が健康維持にはむしろ有効だといえるでしょう。毎年3本採られる血液も、注射針の痛み分の価値は十分あります。

問題はやはり就活中の健康診断です。その検査が何を調べどう使われるかわからないのに、学生は注射の中に飛び出てくる血液を見、胸部エックス線写真のために上着を脱ぎます。法律で定められているとはいえ、健康診断はあくまで自分自身が仕事に耐えうるかどうかを知るための検査であり、自分以外の人だけが結果を知る健康診断が存在してよいわけがありません。

内定でも内々定でも、採用の意思を示してくれた会社だけ健康診断を受診すればいいという、当たり前のことがなぜできないのでしょうか。やはり内定前の健康診断を法律で禁止するようにしていくしかないのでしょう。

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2004.09.09

ノーワーク・ノーペイの原則。

働かなければ報酬をもらえない、この当たり前なことをを「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます。働くということはかならずしも実際に体を動かすことを意味するのではなく、業務命令に従うことを意味しています。当然無断欠勤に給料を支払う必要はありません。

これは、ストライキ(同盟罷業)にもあてはまります。ストライキにより業務命令に従わないこと自体は当然合法ですが、ノーワークノーペイの原則も適用されストライキ期間の賃金は時間に応じてカットされます。これには例外がありません。

日本プロ野球選手会のストライキに対して損害賠償も辞さずといっている会社があるようですが、試合をしないことによる報酬カットは全組合員が合意しているはずです。会社が賃金カット以外の手法で、組合=選手会から賠償金をとろうとする考えを示すこと自体が異常だと言えるでしょう。このようなことがあれば労働法は不要です。

国内でストライキ権がこれだけ話題になることは極めて珍しいと思いますが、そもそもストとはなにかという世間的な理解がうすい中では、本質を見失うことになりかねません。blogという地道なメディアですが、少しでも選手会への理解の手助けになりたいと思っています。

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2004.09.08

国会・政府がプロ野球選手会を労組と認めている証拠。

報道ステーションで「過去国会で日本プロ野球選手会のことを労組と認めている」とコメンテータが言っていたのを聞き、国会会議録検索システムで調べてみたところ、確かに平成12年11月08日 衆議院労働委員会の議事録にそれを確認することができました(要約、太字は筆者)。

大森委員(日本共産党)発言No.259

(要約)労働組合プロ野球選手会が代理人による契約更改交渉についてオーナー会議が選手会と協議会期間を設けて検討すると報じられているが、Wオーナーが「くだらぬ代理人をつれてくる連れてくるやつは球団代表に給料カットしろという」と言ったもと報じられている。これは不当労働行為の意思を公然と表したものであり問題である。

澤田政府参考人(労働省労政局長)発言No.260

(要約)新聞報道であり確たることは言えないが、一般的に言えば報道が事実でありかつ労使間で合意された事項については契約といえるので穏当な発言ではないだろう。

大森委員 発言No.261

(要約)代理人交渉するなら「給料カット!!」」これほど大きい見出しで出している。まさにこれ自体が脅迫にもなるのではないか。代理人交渉は労組たる選手会と使用者団体であるオーナー会議の間の正式合意であり、このルールに基づく交渉は労働組合員として正当な権利であることを確認したい。

澤田政府参考人 発言No.262

(要約)今回の合意はまだ書面を交わしていないので現時点では労働協約ではなく民法上の契約だと考えられる。その前提でWオーナーの発言が不当労働行為になるかどうかは事実関係を精査する必要がある。いずれも個別の問題は労働委員会制度を使って判断されるべき。

大森委員 発言No.263

(要約)社会的な大問題になっているので労働省としても措置をとるべき。

吉川労働大臣 発言No.264

(全文引用)不当労働行為であるかどうかについては労働委員会において判断さるべきものであり、私が個々の問題について申し上げる立場にはないと思っております。
 いずれにせよ、労使間での合意については、当事者間において誠実に対応されることが労使関係の安定にとって重要であると考えております。

この質疑では、プロ野球選手会とオーナー会議の関係を労働省労政局長、労働大臣ともに「労使関係」と認定しており、大臣にいたってはその交渉過程に問題があれば労働委員会(司法の場ではない!)と発言しています。

もちろんそもそもプロ野球選手会は1985年に東京都地方労働委員会に労働組合として認定されています。確かにこの問題は決着しており、労働委員会ではなく司法の場で損害賠償論を語るのは明らかに論点のすり替えになっていると考えていいでしょう。

上記議事録の全文を以下に転載します。当時どのような背景と議論があったかも、極めて興味深いものです。

150-衆-労働委員会-1号 平成12年11月08日

○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 三日付の各新聞によりますと、プロ野球の選手会労働組合が長年にわたって要求してきた代理人による契約更改交渉について、オーナー会議が今オフに限って認めることにしたとなっております。今後については、労働組合選手会と協議機関を設けて検討をすると報道されております。
 このこと自体については私どもとやかく言うことは一切ないわけでありますが、これに関連して、どうしても見過ごすことのできない問題があります。それは、この決定が行われたオーナー会議の後のジャイアンツの渡辺恒雄オーナーの発言であります。マスコミを前にした発言。
 どの新聞でもほぼ共通して書かれておりますけれども、発言の内容は、巨人にはくだらぬ代理人を連れてくるやつはいないだろう、連れてきたらおれが球団代表に給料をカットしろと言う、それで五千万、六千万ふえると思ったら大間違いだ、二千万、三千万下がるだけだ、嫌なら自由契約だ、うちに入りたいやつは幾らでもいる、そういう選手は他の球団も採らないようにすればよいなどという暴言であります。
 この発言は、労使間で取り決めた交渉のルールをほごにしようというものであります。労働組合法第七条で厳しく禁止されております不当労働行為の意思を公然と表明したものと言えるのではないかと思います。
 我が日本において、プロ野球は国民的なスポーツの一つでもあり、子供たちに夢を与えるスポーツでもあります。その中で、ジャイアンツはことし日本一になって、先日の銀座のパレードには三十六万人も集まるということから見ても、このことの持つ影響というのは非常に大きいものがあるのではないかと思います。
 この発言は単に私的な見解を個人的に述べたというものでもなく、大勢のマスコミを前にして行われ、実際、翌日の新聞はこれを大きく報道したわけであります。一般新聞もそうでありますが、これはスポーツ関係の新聞であります。ごらんいただきたいと思うのですが、「代理人なら年俸カット」似たような調子で各紙とも一面を使って報道しております。「代理人 巨人選手が連れて来たら年俸下げてやる…嫌なら自由契約だ」などなどであります。
 これは、現在の雇用情勢のもとで、ただでさえ雇用関係についてさまざまトラブルが発生している、労働者の権利侵害がさまざま行われている、そういう中で、もしこういうことがまかり通るようになれば、悪質な経営者を励ますことにつながるのではないか。労働組合と使用者との関係を律した労働組合法の適正な執行、労働行政、この面から見ても見過ごしてはならない非常に重要な問題ではないかと思いますが、労働省の見解をお聞きしたいと思います。

○澤田政府参考人 今先生お話ございました件については、私どもも新聞紙上で承知しておる限りでございます。渡辺オーナーの発言につきましては新聞で承知しておりますが、その場の状況あるいは発言の前後の脈絡等不明でありますので、確たることはなかなか申し上げることはできません。
 ただ、一般的に申し上げるということでありますと、一つは、報道された発言等が事実であり、かつ労使間で合意された事項について、これはいわば契約でございますので、市民法上の契約につきましては当事者が履行義務を持つということになりますので、そうした意味で、労使間で合意された事項について一方的にその履行を行わないという旨の趣旨であるとすれば、二つの前提でありますが、そういうことであれば穏当な発言ではないだろうと思いますが、いかんせん、発言の前後の状況等が不明でありますので、確たることはこの場では申し上げることは難しいと思います。

○大森委員 二つの前提を置かれましたけれども、労使間で合意をしたルール、それを一方的に執行しないということを宣言すれば不穏当であるということをおっしゃいました。
 これは確認をしておきたいと思うわけですが、二千万、三千万下がるだけだ、自由契約だ、うちに入りたいやつは幾らでもいるなどというのは、改めて私は申し上げますけれども、組合員の正当な権利行使を理由として不利益扱いを公言するもので、いわば脅迫にも相当する。実際、報道の中では恫喝をしたという報道もされているわけであります。このように「代理人交渉するなら「給料カット!!」」これほど大きい見出しで出している。まさにこれ自体が脅迫にもなるのじゃないかと強く思うわけであります。
 労働組合法第七条は、使用者に対し「労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること」を禁じております。
 今回の代理人による交渉は、労働組合である選手会と使用者団体であるオーナー会議との間で交わされた交渉のルールの正式な合意であります。このルールに基づいた交渉を行うことは労働組合員としての正当な権利の行使でもあると思うのですが、その点、ちょっと確認をしておきたいと思います。

○澤田政府参考人 まず、今回の合意についての性格でございますが、私どもが把握している限りにおきましては、当事者間で口頭で合意をした、書面を交わしているわけではない、口頭で合意したことを議事録において認証したという形式をとっていると聞いております。したがいまして、法律的に申しますと、今回のこの合意は労働組合法上の労働協約ではない、先ほどから申しております民法上の契約であるというふうに私どもは考えております。
 そういう前提をはっきりさせた上で申し上げますが、不当労働行為との関係につきましては、大森先生は七条の一号あるいは三号を念頭に置いて御質問されているかと思いますが、オーナーの発言が七条の一号ないし三号に直ちに抵触するかという点については、事実関係を精査しないことにはよくわからない、抵触すると断ずることは今のところはできない、これだけは申し上げられると思います。大事なことは、オーナーの発言を一方の当事者である方々がどう受けとめ、どう理解しているかというところも大事だろうと思うのですが、そこのところは私どももまだよく把握はいたしておりません。
 いずれにしましても、個別の問題につきまして不当労働行為の関係を議論するのであれば、それは、必要があれば労働委員会制度という制度を使って事実関係を精査した上で判断されるべきもの、こういうふうに考えております。

○大森委員 正当な権利行使に対してこういう発言がそのまま執行されれば、これは明らかな不当労働行為であると思います。こういう形で大々的に報道されているということで、個人的な見解でもないことも明らかだと思うのですね。
 この間、労働省に対しても、政府に対しても、私ども、例えば解雇にかかわるさまざまな要求をしてきた場合、労使間での話し合いを特に労働省も強調してきたわけであります。もし、労使間で合意された事項がこのような形で守られないということになれば、そのことの持つ影響は本当に大きいと思うのですね。
 おれの言うことを聞かなかったらどうだこうだという形でこれほど社会的な大問題になっていることは、労働省としてもやはりきちんと何らかの措置をとるべきではないか。労働委員会のことを言われたわけなんでありますけれども、しかし、労働省としてこういうものは当然未然に防止しなくてはならないという立場からも必要な措置をぜひとるべきではないかと思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。

○吉川国務大臣 お答えいたします。
 不当労働行為であるかどうかについては労働委員会において判断さるべきものであり、私が個々の問題について申し上げる立場にはないと思っております。
 いずれにせよ、労使間での合意については、当事者間において誠実に対応されることが労使関係の安定にとって重要であると考えております。

○大森委員 労使間の合意が誠実に実行されるよう――今、私のこの質問に対して随分いろいろな反響があったわけでありますけれども、この問題について言えるのは、そして同時に、言う責任があるのは労働省だけだと思うのです。その点で、今おっしゃったように誠実に対応されるよう、これは労働大臣として明確に、この問題に関して改めて明言をしていただきたいと思います。

○吉川国務大臣 繰り返しになりますけれども、申し上げさせていただきます。
 いずれにせよ、労使間での合意については当事者において誠実に対応されることが労使関係の安定にとって重要であると考えております。
 以上です。

○大森委員 オーナー会議、オーナーとプロ野球選手会労働組合との合意が本当に誠実に実行されるよう、私も大いに期待をするものであります。

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2004.09.07

災害の時、人はネットに集まる。

9月5日の関西方面の連続地震はかなりの大きさでした。津波警報まで発令されたこの地震、やはり人々特に関西在住の方は深夜にもかかわらずテレビの情報にくぎづけになりました。

しかし最近は知人の無事や現地の状況を確認するためにインターネットのチャットや掲示板に集まってくる傾向があるのではないでしょうか。

事実、某匿名掲示板はリアルタイムに盛り上がり、広告労協のカフェテリア(チャットルーム)には、関西に限らず地震直後に学生やOB/OGが集まってきて、互いの状況を確認していました。先日も、新潟県三条市の水害のときには、避難所にインターネットに接続されたPCが設置され、そこから無事を伝えてくれた03生がいました。

実際、有事の際に電話よりもインターネットの方がつながりやすいといわれます。もともとインターネットはアメリカで通信拠点が攻撃されても迂回できるための仕組みとしてスタートしています。

有事にまず想起された労協カフェテリア。OB/OG・現役問わず、コミュニティとして無くてはならない存在になったのかもしれません。

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2004.09.06

労働組合の設立に、会社の許可はいらない。

9月5日、「ストなら損害賠償請求できる」 横浜社長が解釈示す(asahi.com (09/05 19:04))と報じられました。

横浜の峰岸球団社長は5日、「選手会がストに踏み切るのなら、球団側は損害賠償請求できると思う」と述べた。

日本プロ野球選手会が申し立てた仮処分に対する決定で、東京地裁は選手会を「団体交渉の主体となり得ると認められる」とした。選手会は「労組と認定された」と解釈しているが、峰岸社長は「選手の集まりである任意団体が、代表して交渉主体となることを認められたに過ぎない。労組と認定したとは言えない」との解釈を示した。

労組ならストは権利として認められるが、任意団体なら契約に反する行為で損害賠償請求の対象となる、という考えが前提にある。峰岸社長は「損害賠償請求するかしないかは、全球団が足並みをそろえるはず」と述べた。

また、横浜球団はこれまで、選手の年俸に対して5%の消費税を支払っている。商店同様、選手を「個人事業主」と認めているから支払っているといい、「『労働者』であれば支払う必要はない。個人事業主と労働者の二つの利益が併存するのはおかしい」と述べた。

これは先日コラムに書いた「ストライキによる損害を賠償請求できない」という日本プロ野球選手会の見解に対する反論です。

法律上の労働組合は労働組合法第2条

「労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」

と定義され、「労働者」とは労働組合法第3条

「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者」

とされます。 そして、労働組合法第5条の要件に合致していれば、会社に許可を受けることなく一方的に設立できます。

日本プロ野球選手会は1985年に東京都地方労働委員会に労働組合としての認定を受けています。横浜球団は「労組と認定したとはいえない」と報じられていますが、このニュースどおりであれば同団体への理解がないとしかいえないでしょう。

一連の問題に関連し、選手側の方は労働組合日本プロ野球選手会で一本化していますが、経営者側は個々の球団、オーナー、リーグ、コミッショナーなど、様々な当事者の形が存在し、それぞれが責任を回避しようとしているようです。横浜ベイスターズはTBSがオーナーであり、メディアとしてのTBSは一連の問題には極めて慎重に対応すべき立場にあると思います。このような記事がまず横浜球団から報じられたことに、心配な気持ちにさえなります。

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2004.09.05

課題解決が私たちの仕事なら。

9月4日の組合大会をもって会社内の組合の要職からはずれ、組合関係は今後はしばらく広告労協ほか対外活動に専念できることになりました(もちろん本業は本業として)。

組合の活動といえば一般には現場の仕事と関係なく大変だ、というイメージだと思います。しかし広告業界に限って言えば、クライアントの課題解決も自分の会社の課題解決も、仕事として見ればどちらも同じようなものだといえます。

解決のメソッドが広告か労使交渉かという点は違うものの、コミュニケーションによる問題意識・課題解決能力がある人なら、それを自分の会社に向けるだけで誰でも組合役員をできると確信しています。

内部から解決しようという機運の生まれない会社では、往々にして外部コンサルに高い金を支払い、押し付けの人事制度が導入されてしまうものです。課題解決を謳う私たちが紺屋の白袴(こうやのしろばかま)ではいかにもみっともないことです。

組合のある会社に入る人もそうでない人も、一度は職場のことを現場の力で解決してみる機会を得てみてください。そもそも自分自身が選んで入った会社なのですから。

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2004.09.04

ストライキによる損害を、相手は賠償請求できない。

本日東京地裁は、労働組合プロ野球選手会他の合併差し止め仮処分申請を却下しました。asahi.comは以下のように報じています。

 プロ野球オリックス・ブルーウェーブと大阪近鉄バファローズの合併問題をめぐり、日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)が合併差し止めなどを求めた仮処分申請で、東京地裁(土田昭彦裁判官)は3日、選手会の申し立てを却下する決定をした。近鉄の親会社、近畿日本鉄道(大阪市)の株主2人が合併差し止めを求めた仮処分申請でも、大阪地裁(揖斐潔裁判長)が同日、申し立ての却下を決定した。選手会は東京高裁に即時抗告し、株主側も即時抗告する予定だ。
(中略)
一方で、決定は「選手会は日本プロ野球組織との団体交渉の主体になりうる」と認定。合併に伴う選手の労働条件については団体交渉が義務的に必要になると指摘した。ただし、今回の件については「現時点までの労使交渉の状況からすれば、仮処分を発令する必要はない」と述べた。
(中略)
決定を受けて、日本プロ野球組織は6日の臨時実行委員会、8日のオーナー会議でオリックスと近鉄の合併承認手続きを進める。 (09/03 21:31)

これを受けて選手会のコメントでは、

1.選手が労働者であること
2.選手会が労働組合であること
3.統合に伴う労働条件についてはNPBは選手会と団体交渉をしなければいけないこと。
が認定され、ストライキを実施しても球団から損害賠償が認められないことが明確に判断された。

と発表しています。

ストライキ(同盟罷業、どうめいひぎょう)とは、業務命令に反して労働力を提供しないことですが、労働組合が労働組合法の手順に則って行う限り、労働組合法第八条により

使用者は、同盟罷業その他の争議行為であつて正当なものによつて損害を受けたことの故をもつて、労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない。

とされます。選手会の判断にあるとおり、労働組合は(雇用者に)損害を与えても賠償請求をされないという、極めて特殊な特殊な権利を持っているのです。

またNPBが選手会との団体交渉を「拒否できない」ということは労働組合法第七条(不当労働行為)第二項の「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」に該当するからとなります。

とはいえ会社に損害を与えるということは事実であり、会社側は逆手にとりストライキをすればファンが離れるなど、世論を反ストライキにもっていくことになります。しかし今回の事情は、いくらプロ野球選手もファンが大事だとしても、この問題を抱える限り今まで通り野球のプレイを続けていけないほどの深刻な状況です。いいかえればこのような大問題でストライキが外圧でできないようであれば、労働組合法上の権利を持っている団体である意味がないともいえます。ストができなければ、NPBはただ団交の場につき、同じ回答を繰り返すだけでしょう。団交のテーブルにつき話し合いをする義務はありますが、相手の要求にこたえる義務はありません。

まずストを回避すべき、という世論は、まず合併を先延ばしすべき、という世論になっていくべきです。きちんと十分議論を尽くすために作られたのが、労働法の精神なのですから。

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2004.09.03

敬語に、漬かる。

04生同窓会で、ある男性社員が「『かしこまりました』『おそれいります』などの敬語をさらっと言えるようになって、自分も変わってきたと思いました。」と言っていました。

考えてみたら新入社員という立場は、同期同士でもない限り、会話では100%敬語を使う毎日です。それまでの人生でそんな時間を過ごしたことがある人はいるでしょうか。自分の親にさえ敬語でしゃべることは極めてまれだと思います。

それでも急速に敬語をしゃべることができるようになるのは、必要に迫られてという側面のほかに、実際に敬語が使われる中で長い時間を過ごしているという理由があるでしょう。

これは、いきなり海外勤務を命じられ、周囲はみんな英語を使っているという状況にも近いかも知れません。100%英語に漬かっていれば半年ぐらいである程度は話せるようになるのではないでしょうか。

しかし就活生にとっての最大の問題は就職活動までに敬語を体得できるかどうかです。多分、学生時代に日本にいながら英語をマスターするぐらい難しいことなのでしょう。

今学生にとって一番敬語に漬かれる環境は、「インターン」かもしれません。インターンといっても、仕事の本当の厳しさは体験できないでしょう。せめてその期間、100%敬語に漬かるということはどういうことか、学んでほしいと思います。

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2004.09.02

残業は時給を割り増して支払わなければならない。

割増賃金とは、法定労働時間を超える労働(いわゆる残業)および休日出勤における賃金のことで、文字どおり通常の時給よりも2.5割以上割り増して支払われます。端的に言えば、残業代、休日勤務手当です。また深夜22時以降の勤務も(タクシー運転手等を除けば)さらに割増率を2.5割以上アップすることが義務づけられています。

通常の9時半から5時半までが就業時間の場合、仮に通常の時間給が2000円だとすると、普通の残業時間には2.5割増しの時給2500円以上、深夜にはさらに2.5割が加算され時給3000円以上になるということになります(東京労働局「時間外労働の割増率」参照のこと。)

36協定のコラムで書いた通り、36協定は就業時間以上に勤務させるための「例外的な」協定であり、通常勤務より割高に支払う義務を課すことで、労働時間増を牽制することが法律の趣旨となっています。

これから分かる通り、法律上、就業時間外の勤務は短ければ短いほどいいと考えられています。しかし、同じ人が残業してそのまま勤務する方が企業としても圧倒的に効率的です。割高な賃金を支払っても、時間外勤務をさせている会社は多数派といえるでしょう。

もちろん全額残業代を支払うことが大前提ですが。

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2004.09.01

ビールのCM、大幅制限?

asahi.comの見出しを見て、一瞬ぎくっとしたニュースがありました。

ビールのCM、大幅制限 ウオツカ業界が圧力? ロシア

>ロシアでビールのコマーシャルをテレビなどで放送することが、9月から大幅に制限される。

プーチン大統領が署名した修正法によると、テレビとラジオでのビールのCMは午前7時から午後10時まで放送禁止になる。CMに人物やクマなど動物のキャラクターは使えない。新聞や雑誌の表紙広告も禁じられる。

ビール飲酒が社会的な成功や体力向上に役立つかのような文言も使ってはならず、CM分量の1割を「飲酒は健康を損ねる」との警告に割くよう義務づけた。

伝統的にウオツカなど強い酒が好まれるロシアでは、アルコール中毒が深刻な社会問題となっている。モスクワではふつうのビールなら16歳から飲めるため、青少年の間でジュース代わりに飲むのが流行している。ロシアの今年上半期のビール消費量は国民1人当たり53リットルで、5年前に比べて倍増している。

しかし、ビール人気に押されるウオツカ業界の圧力が背景にあったとも言われ、飲酒の抑制に結びつくかどうか効果を疑問視する声も多い。 (asahi.com 08/31 23:22)

ロシアの話だと聞いて、一安心です。しかし、16歳からアルコールを飲める法律を改正する法案に署名した方がいいのでは…>プーチンさん。

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