« 2004年4月 | トップページ | 2004年6月 »

2004年5月

2004.05.31

取り違えていませんか、「OB/OG」の意味。

募集要項で、「OB/OGの紹介は実施していません。各大学の就職課でお調べください。会社説明会も実施いたしません。」としている会社は結構あります。

しかし学生にとってのOB/OG訪問はその会社のことを研究することに他ならず、学校の先輩と旧交を温めるためではありません。すなわち就活におけるOB/OGの定義は「その会社の現役社員」そのものであり、出身大学はどこでもいいわけです。

もともとOB/OG訪問という言葉は、様々な大学で新卒採用実績のある大企業への就職にしか当てはまりません。比較的小さい規模の会社の募集要項に「OB/OGの紹介も会社説明会もない」と書けば、OB/OGのいない学生には「当社は社員による説明も、会社による説明もするつもりがありません」と映っているのではないでしょうか。逆に見れば、「新卒採用実績のある大学以外はフォローしません」とも受け取れます。

そもそも広告業界は黒子の役割であるため、具体的にどんな広告に携わっているのか、主要取引先はどこかなどはHP情報からも分からない場合が多いでしょう。実際に働いている社員に多少でも会っておかなければ、その会社のことは何も分からないといっても過言ではありません。このような会社が、採用面接で「なぜ当社なのか」「どんな部署を志望しているか」、ましてや「誰か社員には会ったのか」といった質問をするのはもはや悪い冗談とも言えます。

とはいえ実際に受け付けたら、大量の学生の問い合わせをさばききれない・説明会の会場を確保できないと思う採用側の気持ちも分かります。しかし様々な学生を見てきた経験から言えば、何も書かなければOB/OG紹介の問い合わせが殺到するということも(超有名・超人気企業でない限り)ありえないと思っています。もちろん安易に社員を紹介すると書けば殺到するでしょうが、「何も書かない」という方法もあるはずです。

自らOB/OG紹介の問い合わせをしてくる学生は、他の学生よりはるかに行動的で、より大きな関心を寄せている人物です。リクナビをはじめとしたネットでの就職活動が全盛となっている現在、自ら電話をして企業にアクセスし交渉するというだけで、基本的な行動力とコミュニケーション力を持っていると推定できるのではないでしょうか。

新卒での採用実績大学数が少ない会社は、OB/OG訪問の門戸を閉じてしまわないことで、いい人材を早期に発掘することができると思います。採用人数が若干名というのであればなおさらでしょう。採用担当の方には、OB/OGの固定観念にこだわらず熱心な学生のニーズに応え、第一線の社員の時間を割いてもらい会っていただければと思います。

会社説明会も、最初の筆記やエントリーシート選考直後に開催するなど、現実的な人数を対象に実施するアイデアはあるはずです。また第一回広告労協就職フォーラムや今年度読売エージェンシーの会社説明会が実施された「シニアワーク東京(飯田橋)」の地下大会議室は、250名程度を集めることができ、プレゼン設備も充実した施設です。就職説明会という目的であればホテルの会議室より格安に実施できると思います。ぜひ検討してみてください。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2004.05.30

個人広告。

インテルインサイドから始まってコラボ商品まで共同ネタをひっぱっていますが、今度は対極的な「個人広告」についての考察を。

個人が広告を出すメディアとしては、1996年に発刊されたリクルートの「じゃマール」という雑誌がありました。これは個人が「売りたい」、「買いたい」、「出会いたい」などの情報を交換する雑誌で、個人が広告費用という形で誌面を買い、それぞれが情報を発信するという画期的なものでした。ちょうどインターネットが普及し始めてきた頃ですが、コンビニでも買える雑誌に自分の広告が載せられるというインパクトは当時としても相当大きかったと記憶しています。

しかし個人の情報発信はインターネットに急速に移行し、雑誌のじゃマールはISIZE内「ISIZEじゃマール」というコンテンツを持つも、2000年6月に雑誌が廃刊、ISIZEじゃマールも2001年12月20日にサービス中止となっています。

今でも雑誌の読者のコーナーで個人間情報を投稿するものはありますが、インターネットの普及・常時接続化に伴い、個人の広告ニーズは特定の「メディア」ではなくインターネットという「インフラ」に吸い込まれています。この意味で個人HPは(告知の場を買う)「広告」とはいえないでしょう。

例えば著名人のホームページは本人とファン・視聴者と直接つなぐ場であり、メディアを通じないダイレクトなメッセージの発信しています。有名人の表層を伝えるのがメディア、本音を伝えるのがインターネットという構造は、従来のメディアと有名人の関係を大きく変えてきているのでしょう。

しかし本当のインパクトと信頼性を求めるのであれば、既存マスメディアできちんと考査を通した個人広告が効果的です。昨年の阪神セリーグ優勝翌日の星野仙一監督の個人広告は全国に感謝のメッセージを発信すると同時に、その個人広告自体が多くのメディアに取り上げられました。

ただHP上に謝辞を載せるというのはすでに何ら新鮮味がない時代になっています。新聞というメディアでメッセージを伝えることがいかに強烈な印象を残せることかを広告業界に再認識させた事例となり、先日2003年TCC賞を受賞しました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.29

コラボ商品。

CMのコラボレーションだけでなく、商品そのものを複数の会社の共同プロジェクトで開発し、「共同開発」「コラボレーション」と銘打って発売するケースが最近見られるようになりました。これらは「コラボ商品」と呼ばれています。

最近広告で明確に共同開発・コラボレーションと謳っているものには以下のようなものがあります。

・アディダスとキリンビバレッジの共同開発「キリン 対乳酸プロダクト903」(アディダスサイト内には商品ページは確認できず)。

新宿中村屋キリンビバレッジの共同開発「食べ茶」(食事に合う紅茶)

資生堂コカ・コーラの「香り」をコンセプトとした共同開発ブランド「アロマワークス」(「ボディースタイルウォーター(飲料)」「ボディースタイルミスト(化粧水)」

カルビーと桃屋・中野物産との期間限定コラボレーション「かっぱえびせん ごはんですよ!味」「かっぱえびせん 都こんぶ味」(桃屋・中野物産のサイトには商品ページは確認できず)。


この他にも有名茶メーカー京都福寿園の名前を冠としたサントリー「伊右衛門」も一種のコラボレーションといえるかもしれません。

これらの商品CMもダブルスポンサー上の考査を受けていると思いますが、告知内容自体は1つの商品であり、複数社が目的をもって共同で責任を持って開発したということが明確であることから放送を許可されているのだと想像しています。

個人的な意見ですが、コラボ商品はイベント的に発売される分には大きな興味を引き売上げを獲得すると思いますが、1つの長期的なブランドとして確立させるのはかなり難しいプロジェクトだと思います。私は上記の中でも資生堂・コカコーラの「アロマワークス」ブランドが、WiLLのような「コンセプトベース」ブランドではなく、本格的な「共同開発」ブランドとして今後どのように成長していくかを注目していきたいと思います。

| | コメント (1) | トラックバック (6)

2004.05.28

コラボCM。

テレビCMは1単位が15秒~30秒と時間が短い上に、そもそもメディアの枠が売り手市場で希少であるため、新聞の連合広告のようなものは通常ありません。

しかし2001年にはサントリーボス、スカパー、KDDI、富士写真フィルムなどがストーリー上つながったいわゆる「コラボレーション」型のCMが初めて放送されました。

推測ですがこれは1枠を刻んで割安で告知するといった主旨ではなく、純粋にクリエイティブ上のインパクトをねらったものでしょう。実際このシリーズは大量に放送され、媒体費用も相当大きかったはずです。

このCMを見て「あれ?」と思う感覚が、ダブルスポンサー問題の本質です。しかしそれ以上に「次を見たい!」と思わせるようなクリエイティブの質が、テレビ局をOKさせたのではないかと想像しています。

このコラボCMがタグボートによるものだったというのも納得できます。しかし営業やメディア担当の負荷はCM2本分といったレベルをはるかに超えていたのでしょうが(苦笑)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.27

連合広告。

連合広告とは複数の広告主が集まって1つのテーマの広告をするというものです。連合広告は主に新聞や雑誌など印刷媒体が舞台となります。

新年や慶事の際に「明けましておめでとうございます」というメッセージの下などに、一定の枠内で社名程度の広告をずらっと並べたものも連合広告の一種であり、別名「名刺広告」といいます。広告の上に関連記事を掲載するなど、新聞社が主体となって企画する「広告企画」の一種となるため、当然ダブルスポンサー問題は発生しません。

他には、入試シーズンに大学特集、高校特集といった季節性のある記事と連動して、複数の学校が一定の枠の中で並列に並んで広告を出すようなものがあります。通常同業他社の広告主が同じ面に掲載されることは嫌われることですが、このような統一的で横断的な企画性があれば出稿する価値もでてきます。

また媒体社による連合広告企画ではなく、代理店が自主的に取りまとめる連合広告もあります。この場合は代理店が先に広告枠を買い切っている(買い切らされている)場合が多く、それを前提に媒体社と協議しながら審査を通していくということになります。新聞広告以外でも、電車のまど上広告で「沿線のお店案内」といった企画で複数の広告主を並べる連合広告をやっているものも見受けられます。これは代理店が1枠スペースを買って独自に小分けして販売しているものです。これもその枠を買い切っている可能性は高いと思います。

連合広告というものは、個々の広告主に向けたフルサービスとはちょっと違う感覚が必要であり、決して簡単なものではありません。しかしある種この機能に特化した会社であればむしろ効率的に利益を上げることができます。

その代表格は、いわずとしれた「リクルート」さんですね。ただし媒体も自社持ちですが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.26

ダブルスポンサー。

広告の枠や時間を2つ(以上)の広告主でシェアすることをダブルスポンサーといい、一般に掲載拒否される対象となります。

この理由は大きく分けて2つあります。

(1)広告商品の販売単位を維持する。

例えば電車の中づりが1枠100万円だとして、代理店がその枠を買って上下2つに分割し、勝手に広告主2社に60万円ずつで販売するというようなことがあれば、商品の最小単位がくずれ、不当に代理店が儲ける上に、媒体の見え方の質を下げることにつながります。同様にTVCMの最小単位は15秒ですが、これを7.5秒の2枠に勝手に切って小額の商品として再販されるようなことも媒体社としては避けなければいけません。

(2)広告の主体がどちらなのか分からず責任主体が不明瞭となることを避ける。

広告というのはメディアの枠を借りた広告主のメッセージです。メッセージは発信の主体が責任を持たなければいけません。その主体者がどちらか分からないようなあいまいな広告は排除されることになります。

ダブルスポンサーについては上記がメディア全般の原則であり、特にテレビ広告では厳密に適用されています。

メッセージの主従関係が明確な広告(カメラ量販店がメーカー名を並べる)などは(審査の上)OKといったこともありますが、少なくとも2つ以上の法人が絡む広告は厳しい審査の対象となります。PCメーカーのCMにインテルのロゴとサウンドロゴが入るものは、今でこそ普通に放送されていますが、企画の当初は審査上最もギリギリの線だったに違いないと思います。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2004.05.25

インテルインサイドは日本発。

マイクロプロセッサ(MPU)メーカーのインテルの「インテルインサイド」キャンペーンは、各種MBAの教育でも取り上げられる、ブランド戦略の世界的成功例とされています。MPUという一般には知られない分野を、パソコンメーカーのプロモーションと連動することで多大な認知とブランディングを確立し、同時に他のMPUメーカーの進出を牽制する仕組みを構築したキャンペーンです。

このインテルインサイドが日本の大手広告代理店の企画から始まったということは、今や知っている人は少ないのかもしれません。1990年頃「Intel in it」というワーディングとロゴで、当時より始まった車内広告貸切電車でPCメーカーポスターとインテルのポスターを並列して掲載するなど、PCメーカーとの共同広告を日本で展開していました。

その後このキャンペーンは米国本社に注目され、Intel Insideという言葉に代わり、PCメーカーへのインセンティブを絡めた世界的マーケティング戦略に採用され現在に至っています(現在はインテル社の独自プログラムとして直で実施されています)。

私はこのインテルインサイドを日本発の誇るべきキャンペーンだと思っています。以前アメリカで実際にあった夏に雪かき機を売る方法というコラムを発表しましたが、部品メーカーが表舞台に立つという課題も夏に雪かき機を売るのと同様の困難性があると思います。それを画期的なアイデアによって世に送り出し、現在までその価値は衰えていません。

 残念ながらどのMBAの教科書にも日本発ということは書かれていないようです。しかし、このコラムの読者の方はぜひ覚えておいてください。日本人にもこのようなキャンペーンを作る力があることを。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.24

広告業界就職フォーラム2006、開催決定。

「2006年卒」向けの広告業界就職フォーラムの開催が決定しました。場所は今年と同じところです。

広告業界就職フォーラム2006

●日付:2005年2月6日(日)
●場所: 中央区立中央会館


この情報をまず05生のみなさんへお届けします。未だ厳しい就職活動中だとは思いますが、来年2月6日のスケジュールにこのフォーラムのことを記入し、必ずボランティアとして参加するんだ!という気持ちを持ってみてください。多くの04生がそのことを励みに、内定を手にしていきました。

当然京都でも開催したいと考えています。関西05生もぜひ心待ちにしていてください。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2004.05.23

CSR(企業の社会的責任)。

最近CSRという言葉が取り上げられています。CSRはCorporate Social Responsibilityの略であり「企業の社会的責任」を意味します。

企業に対する利益追求以外の社会的責任については過去より様々な形で唱えられてきましたが、現代のCSRについて日本総研のHPでは以下のように解説しています。


近年は、従来とは違った角度から企業の社会的責任が議論されています。その背景には、「マルチ・ステークホルダー・エコノミー」と呼ぶべき新たな時代の到来があります。企業と何らかの利害関係を有する主体はすべてステークホルダーです。

ステークホルダーには、顧客、株主、従業員のほか、取引先、地域住民、求職者、投資家、金融機関、政府など、実に多くの主体が含まれます。企業にとって、これらのステークホルダーそれぞれとの関係をこれまで以上に大切にし、具体的かつ実効性のある配慮行動をとることの重要性が増しているのです。その結果、現代企業に求められる社会的な責任は、従来の経済的あるいは法的な企業の責任を大きく超えた概念にまで広がったと言えます。

このような社会的責任の拡大が今言われている理由は、それが投資の基準になってきている(社会的責任投資(SRI))ことが大きいようです。

私が注目しているのは、ステークホルダーの中に「求職者」が明示されているという点です。求職の段階からその人たちとの関わりには社会的責任があるという考え方は、広告労協の新卒支援の意図そのものだといえます。

人だけが財産の広告業界。最近採用過程に改善の動きがあるのは、各社がCSRを意識している表れだと思っています。今後も各会社・業界団体のCSR活動に期待したいと思います。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2004.05.22

イグノーベル賞。

イグノーベル賞は2002年に日本からバウリンガルが受賞してからかなり取り上げられるようになりました。

イグノーベル公式HPでのイグノーベル賞の定義は、

Every Ig Nobel Prize winner has done something that first makes people LAUGH, then makes them THINK.(すべてのイグノーベル賞受賞者は、まず人々を笑わせ、そして考えさせる何かを成し遂げた人です。)

となっています。 

過去の日本人(と思われる人)の受賞研究は以下のようになっています。


The 2003 Ig Nobel Prize Winners
CHEMISTRY
Yukio Hirose of Kanazawa University, for his chemical investigation of a bronze statue, in the city of Kanazawa, that fails to attract pigeons.
(2003年イグノーベル賞:ハトに嫌われる銅像の化学的検証に対し金沢大学 Yukio Hirose氏に授与)

The 2002 Ig Nobel Prize Winners
PEACE
Keita Sato, President of Takara Co., Dr. Matsumi Suzuki, President of Japan Acoustic Lab, and Dr. Norio Kogure, Executive Director, Kogure Veterinary Hospital, for promoting peace and harmony between the species by inventing Bow-Lingual, a computer-based automatic dog-to-human language translation device.
(2002年イグノーベル平和賞:コンピュータによる犬と人間の間の自動翻訳装置「バウリンガル」を発明することで異なる種の間に平和と調和を促進したことに対し、タカラ他の開発者へ授与)

The 1999 Ig Nobel Prize Winners
CHEMISTRY
Takeshi Makino, president of The Safety Detective Agency in Osaka, Japan, for his involvement with S-Check, an infidelity detection spray that wives can apply to their husbands' underwear.
(1999年イグノーベル化学賞:妻が夫の下着に吹き付ける不貞行為発見スプレー「S-Check」のかかわりに対し、大阪の探偵会社社長へ授与)

The 1997 Ig Nobel Prize Winners
BIOLOGY
T. Yagyu and his colleagues from the University Hospital of Zurich, Switzerland, from Kansai Medical University in Osaka, Japan, and from Neuroscience Technology Research in Prague, Czech Republic, for measuring people's brainwave patterns while they chewed different flavors of gum. [Published as "Chewing gum flavor
affects measures of global complexity of multichannel EEG," T. Yagyu, et al., Neuropsychobiology, vol. 35, 1997, pp. 46-50.]
(1997年イグノーベル生物学賞 違う香りのチューインガムを噛むときの人の脳波パターンの測定に対し、関西医科大学出身Yagyu氏などに授与)

ECONOMICS
Akihiro Yokoi of Wiz Company in Chiba, Japan and Aki Maita of Bandai Company in Tokyo, the father and mother of Tamagotchi, for diverting millions of person-hours of work into the husbandry of virtual pets.
(1997年イグノーベル経済学賞 何百万人の人の仕事の時間をバーチャルペットの家畜学に転換させたことに対し、バンダイ他たまごっちの開発者へ授与)

The 1996 Ig Nobel Prize Winners
BIODIVERSITY
Chonosuke Okamura of the Okamura Fossil Laboratory in Nagoya, Japan, for discovering the fossils of dinosaurs, horses, dragons, princesses, and more than 1000 other extinct "mini-species," each of which is less than 1/100 of an inch in length. [REFERENCE: the series "Reports of the Okamura Fossil Laboratory," published by the Okamura Fossil Laboratory in Nagoya, Japan during the 1970's
and 1980's.]
(1996年イグノーベル生物多様性学(?)賞 恐竜・馬・竜・王妃(?)・その他1000以上ものの、すべて長さ100分の1インチ以下の、死に絶えた「小種」の発見に対し、名古屋の岡村化石研究所に授与)

イグノーベル賞の「まず人々を笑わせ、そして考えさせる」という価値観は、広告のあり方にも近いものだと思います。笑わせるだけならただの娯楽です。考えさせる何かを残せるものがメッセージとして届いている広告なのではないでしょうか。

あなたは最近のどんな広告に笑い、そして考えさせられましたか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.21

広告と広報の違い。

広報(PR)業界を受験する学生にとって、「広報と広告はどう違うか」という質問への答えは常に用意をしておかなければいけません。特に広告業界をきっかけに広報業界を知った人には重要です。

広報と広告の違いについては浜松商工会議所のHPが分かりやすい解説をしています。この解説では


広報とは「企業がマスコミに向けて情報を発信し、それがマスコミの報道を通じて社会に情報伝達されるもの」。
広告とは「新聞や雑誌のスペース、ラジオやテレビの時間を買って、その中で企業のメッセージ(新製品情報を含む)を伝えていくこと」。

としています。

このような定義上の違い以外に、両者の違いを短く言う表す言葉や例えを持っているとよいでしょう。例えば、

自分が言いたいことを言うのが広告。相手が知りたいことを言うのが広報。

広告はメッセージ、広報はニュース。

広告はビジネス活動、広報はロビー活動。

広告は特効薬、広報は漢方薬。

広告は地上戦、広報は情報戦。

といった感じでしょうか。

しかし、私はある広報マンから聞いた以下の例えにもっとも感銘を受けました。

「広告はモーターボート、広報はヨット。」

(モーターボートは自力で走り、ヨットは風向きを見ながら進んでいく。)

この例えは、自分が広告向きなのか広報向きなのかを考える上でも参考になるものではないでしょうか。

みなさんも広報と広告がどう違うのか、自分自身で言葉を発見してみてください。いい言葉が見つかったら、ぜひこのコラムにコメントとしてぶら下げてみてください。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2004.05.20

トップ・コミュニケーション・プログラム

電通パブリックリレーションズ(DPR)のHPを見ていたら、トップ・コミュニケーション・プログラムというサービスが載っていました。

これは、企業トップがメッセージを発信する際のコンサルティングプログラムであり、下記の点をコンサルするというものです。


    1.質問に対して的確に答えていたか
    2.伝えるべき情報の優先順位は適当であったか
    3.説明はわかりやすかったか
    4.誤解を招く表現はなかったか
    5.社会的に見て批判されるような不用意な発言はなかったか
    6.業界用語、難解語、横文字、略語を乱発していなかったか
    7.マスコミの特性を知らないために失言はなかったか
    8.表現、動作に問題はなかったか
    9.身だしなみはトップにふさわしいものであったか
    10.マイナスイメージになるような癖はなかったか

かつて「携帯で、名乗る。」というコラムで、就職活動生は個人事務所の社長と同じだと書きました。採用面接において、少なくともDPR社を受験するのであれば、上記10カ条を意識すべきでしょう。何せ慌てふためく経営者に落ち着いて正しいメッセージと発信方法を指導することがビジネスなのですから。

一部言い換えるとするならば、


    5.社会的に見て批判されるような不用意な発言はなかったか
    社会常識、礼儀から見て不用意は発言はなかったか

    6.業界用語、難解語、横文字、略語を乱発していなかったか
    若者しか分からない話や用語、学生言葉を乱発していなかったか。

    7.マスコミの特性を知らないために失言はなかったか
    面接官、特に役員の特性を知らないための失言はなかったか

ぜひご参考に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.19

電通の「連単倍率」。

電通の「連単倍率」、といっても馬券の話ではありません。連単倍率とは、決算の各指標で、単体決算に比較したグループ決算の倍率のことをいいます。

電通および電通の連結決算対象会社を合算した2003年度連結決算(3ページ)では、主要な指標の連単倍率は以下のようになっています。


売上高   1兆7,491億10 (単体の1,25倍)
売上総利益  2,940億44 (単体の1.46倍)
営業利益 466億87 (単体の1.33倍)
経常利益 471億23 (単体の1.15)

この数字からは、グループ会社の売上高合計は電通単体の売上高の4分の1(0.25倍)、売上総利益では本体の半分近く(46%)、営業利益でも本体の3分の1に相当する金額をグループ会社が稼ぎ出しているといえます。

この数字を見れば、いかに電通がグループ戦略に重きを置き、そしてグループ会社に力がついてきたかが分かると思います。グループ連結売上2兆円を目指すという俣木社長の目標もあながち不可能ではない数字なのかも知れません。

電通本体の新卒採用はすでに終了した模様ですが、電通テック、地域電通、電通Y&R、電通パブリックリレーションズなどのグループ会社はこれからが本番です。エントリー中の学生の方々はこの決算数字を励みにぜひ頑張って下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.18

電通、2003月度決算発表。

5月17日、電通は2003年度の決算を発表しました。

日経ネットの記事によると


広告需要が回復、電通が3期ぶり経常増益

 電通が17日発表した2004年3月期の連結決算は、経常利益が前の期比4%増の471億円と3期ぶりに経常増益となった。情報通信業界を中心とする広告需要の回復や営業外収支の改善が貢献した。2005年3月期も経常増益を見込む。

 前期の売上高は3%増の1兆7491億円と3期ぶりに増えた。飲料・し好品などの広告が苦戦した半面、情報通信や化粧品・トイレタリー、自動車・関連品などの広告が増えた。営業利益は1%減ったが、営業外費用の減少や投資有価証券売却益の計上で経常増益を確保。厚生年金基金の代行返上益127億円の計上で、純利益は308億円と34%増えた。今期の売上高は1兆8579億円と6%増を見込む。アテネ五輪効果は100億円と、時差があるためシドニー五輪当時よりは3割減りそうという。年金費用の減少やグループ会社の経費削減で4期ぶりに営業増益に転じ、経常利益は2%増える見通し。ただし特別利益が減り純利益は24%減りそうだ。併せて監査法人について、所属していた公認会計士が逮捕されたあずさ監査法人からトーマツに変更すると発表した。 (nikkei net 5/17 19:26)

一方単体(電通本体だけ)を見ると、売上高が1兆4,025億33百万円で前期比2.5%増と伸びた一方、売上総利益は2,019億41百万円と-0.5%とわずかながら下がっており、収益性の面で決して予断を許せない状況といえるでしょう。

また今期の業績については、五輪の影響はシドニー五輪と比べてアテネ五輪が時差の関係で3割減の100億円になると見込んでいるそうです。こうやってみると時差といえど巨大な影響なんだなと思います。

2003年日本の広告費と併せて、決算資料をよく読みこむことで、広告業界がどう動いていっているかを読み取ってみてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.17

缶詰消費量日本一は沖縄。

5月16日TBSテレビ系列「噂の!東京マガジン」の特集「にっぽん!番付大賞」で、沖縄県が日本の缶詰消費量がNo.1であり、特にSPAMなどポーク缶が食生活にはなくてはならない存在であると放送していました。沖縄でSPAMという言葉は元から本家の方を指していたようです。

この企画によると、終戦後アメリカ占領下の沖縄で海外の缶詰の文化が広がり、ポーク缶は貧しい時代の家庭料理にも取り入れられ、今ではスーパーの特売の目玉商品にもなっているということでした。デンマークからのポーク缶輸入量は1位アメリカ、2位イギリスの次に3位沖縄(!)がくるそうです。AllAboutの沖縄特集にも同様のことが書いてありました。

塩分が多そうということで未だ食卓に出てこない我が家のお土産SPAMですが、沖縄では「減塩SPAM」といったローカル商品(沖縄向け輸出商品!)もあり、「SPAMおにぎり」のようなカスタマイズもあるようです。コンビニでよくソーセージおにぎりを買う私としては、ぜひ全国展開を希望します>コンビニ業界の方々。

この「にっぽん!番付大賞」では3月28日放送分の「新潟・豚肉大好き王国の謎!?」で、肉と言えば豚、すき焼きも肉じゃがも当然豚というほど消費量の多い新潟の食文化を特集していました。食文化はそれぞれの地方で違うがゆえに、誰でも興味もそそられ、ひょんなことで大流行をすることがあります。今後もこの企画に期待したいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.16

2010年W杯開催国は南アフリカに。

2010年W杯開催国は南アフリカに決まりました。

国際サッカー連盟(FIFA)は15日、理事会を開き、2010年ワールドカップ(W杯)の開催国に南アフリカを選んだ。大陸巡回方式が導入される最初の大会として、アフリカの5カ国が立候補していたが、共同開催が認められなかったチュニジアとリビアを除く3カ国による争いとなった。理事24人による投票の末、最初の投票で南アフリカが過半数の14票を得た。モロッコは10票、エジプトは0票だった。アフリカでW杯が開催されるのは初めて。 (asahi.com 05/15 19:35)

息子の地球儀で調べたら、南アフリカとギリシャはほぼ同じ経度にありました。すなわち南アフリカでのサッカーワールドカップもアテネオリンピックと同じ時差での報道になります。

また、ドイツの時差はアテネよりも1時間ほどさらに遅く、2006年ドイツワールドカップも日本の新聞にとっては厳しい状況となります。2年おきに開催される全世界的スポーツ大会。その間報道メディアとしてテレビとインターネットの地位がますます向上していくことになるのでしょうか。

その点、2008年の北京オリンピックは新聞メディアにとって巻き返しの機会かもしれません。それまでに中国の威信をかけてSARSの特効薬を開発し、きちんと開催・成功させてほしいものです。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2004.05.15

大仏さまの鼻くそ。

すでに各紙で報道されていますが 「大仏さまの鼻くそ」という登録商標が東大寺の異議申し立てで取り消されたというトピックがありました。

奈良の大仏にちなんで名づけられた菓子「大仏さまの鼻くそ」の商標登録が、「耐え難い」と憤る東大寺の異議申し立てを受けて取り消された。
 直径7センチの球形で、米菓子を固めて黒砂糖で包んである。奈良県大和郡山市の業者が3年前に1個350円で売り出し、02年9月に商標登録していた。
 県内の寺社近くの土産物屋などで人気といい、販売は続けている。業者は「そんなに怒らないでほしい。ありがたいと床の間に飾るお客様もいるくらいですから」。
(asahi.com 05/13 22:31)

特許庁特許電子図書館で調べてみたら、確かに抹消されています。

一般に登録商標をとっていなくても商品は販売できます。 昨今のニュースでは「明治おいしい牛乳」につづき「森永おいしい牛乳」という商品が販売され、明治乳業は「おいしい牛乳では商標はとれないと判断していた」と説明していました。

「大仏さまの鼻くそ」には今後どのようなことがおきるでしょうか。まずは今回の報道でこの商品の知名度が爆発的に高まったので、このメーカーが大儲けすることは必然でしょう。一方この商品名には権利がないのですから、同名の類似品がどんどん出てくることが容易に想像できます。さらには地元土産店だけでなく、楽天店舗などの通販まで参入してくれば、結局東大寺にとっては商標議論は逆効果だったと言わざるを得ません。

東大寺が巻き返す方法は、「この商品名は不当表示だ。これは大仏さまの鼻くそではない。」と公正取引委員会に直訴するということでしょうか(苦笑)。果汁が入っていないのにオレンジジュースと表示してはいけないとか、カニが入っていないのにカニカマボコと謳ってはいけないように。

しかし結局は「大仏さまの鼻くそ風味」などの商品名に変えて、もう一巡売り抜くことはできそうですね(苦笑)。

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2004.05.14

アテネとの時差。

今年のオリンピックが開催されるギリシャのアテネは、日本時間より6時間マイナス、ニューヨークよりプラス7時間の時差があります。アテネ時間で3つ挙げて比較すると、


アテネ     5月13日10:00
→日本     5月13日16:00
 ニューヨーク 5月13日 3:00

アテネ     5月13日18:00 
→日本     5月14日 0:00
 ニューヨーク 5月13日11:00

アテネ     5月13日21:00 
→日本     5月14日 3:00
 ニューヨーク 5月13日14:00


となります。

このため今回のオリンピックは、現地の夕方の試合結果が日本の翌朝の朝刊に載らないという悪いタイミングとなっています。朝刊は紙面づくりがとても難しいものになる一方、結果連動などの広告企画は夕刊が中心になるのではと想像しています。

1998年の長野オリンピック、2000年のシドニーオリンピック、そして2002年に日本中が熱狂したワールドカップはまさに時差ゼロで実施されましたが、今回久々の海外大型イベントの情報を支えていくのは、やはりインターネットでしょう。asahi.comヨミウリオンラインも、紙でできないことをどんどんネット上で展開していくと思います。

そして注目は、昨日発表されたYahoo! JAPANが、JOC、JPC、スペシャルオリンピックスのオフィシャルパートナーになったことです。今年の夏は、ダブルスクリーン化がますます進行しそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.05.13

役員面接では交通費を出してあげてください。

採用担当の方に謹んで提言いたします。地方学生のために、自身の会社のために、役員面接ではぜひ交通費を出してあげてください。

●地方学生が最終面接で落ちるということ。

広告労協の調査では、昨年度の関東圏外の広告業界内定者の平均就職活動費用は平均で約20万円、最頻値は30万円台、最大は70万円台(北陸地方)という数字になっています。しかもこれは内定のある学生のみの統計であり、夢破れた学生の数字はもっと悲惨なものに違いありません。

地方学生が試験に臨むということは、費用だけでなく移動時間もかけているということです。また役員面接は一般に平日に行われることが多く、授業も出席せずに面接を受けている可能性が高いといえます。

役員面接で交通費が出ない会社は、間違いなくそれまですべての選考課程でも交通費を出していません。すなわち地方学生にとって最終で落ちるということは、それまでの費用と時間、そして受けるべきだった授業のすべてが無駄になるということです。

●落選学生は「会社憎んで、人事憎まず。」

地方学生が最終で落選したとき会社をどう思うか、役員の方はご存じでしょうか。彼らはみな「そんなことなら早く落としておいてくれ!」と悲痛な叫びをあげています。話を聞けばたいてい「役員面接でも交通費を出さなかったセコい会社でした」と愚痴をこぼします。そして空虚さの中で「役員」に悪印象を持って他の会社に行きます。最終に残るほどの学生ですから、多くは優秀な成績でクライアント企業に就職していくのでしょう。

しかし私の知る限り、採用担当を悪くいう学生は皆無です。役員面接まで残った学生は採用当局に対して自分を評価してくれたことに多大な感謝をしています。そして役員面接で一定数を落とさなければいけない事情を、学生自身も実感値として理解していると思います(「役員=お父さん、人事=お母さん」論を参照)

●本人に区切りを付けさせるためにも、役員面接での交通費支給を。

地方学生が役員面談で不採用になるショックは、それまでの過程が長く費用がかかるほど大きなものになります。本人にきちんと区切りをつけさせ、風評などネガティブなベクトルに向かわせないために、せめて費用面で多少の配慮をするべきだと考えます。

もちろん早い段階から交通費を負担することは、過剰なコストがかかるだけでなく、そのことで地方学生が不利になる恐れも否定できません。しかしせめて最終役員面接だけでも「会社の誠意として」交通費を支払うことは可能なのではないでしょうか

相手はそもそも無職の学生、そして対応如何では将来貴社のファンにも敵にもなりえる若者です。これは一種の企業リスク対策です。とはいえ、お願いしたいのは高々役員面接での交通費支給ということだけです。なにとぞご配慮いただければと思います。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2004.05.12

採用過程に改善の動き。

今年の採用では、東急エージェンシー、電通テックで大阪地区での試験が昨年より増え、さらに東急エージェンシーでは次回面接について交通費は会社が負担するとの報告が来ています。志望者の多い両社が地方からの受験者により配慮したということは高く評価したいと思います。

また、電通パブリックリレーションズでは昨年別な選考日としていた適性試験と1次面接を同日に続けて実施するようです。これで費用・時間の負担が軽減され、学業との両立もままならない学生にも助かる施策となっています。

2003年には、関西に支社があるにもかかわらず、5回に渡る試験をすべて東京で実施した広告会社がありました。この会社は広告労協の指摘を知ったのか、04年には関西での試験を取り入れました。

個々の会社のレベルで学生本位の試験方法を配慮しているところが出てきていることは歓迎すべきだと思います。私は過去新卒学生の経済的負担を軽減するための私的提言。というコラムを発表しました。今後就活費用や時間について行政レベルでももっと注目し、 若者就職支援にバウチャー導入も検討といった施策の中でもっと取り上げて欲しいものだと思います。

ちなみに、今週末の5月15日の選考スケジュールは現時点で5社もかぶっています。名古屋の会社は別にしても在京4社の採用担当の方々は、学生本位で融通を利かせていただけることを心からお願い申し上げます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.11

2004年TCC賞は「水性キンチョール/つまらん」。

2004年TCC(東京コピーライターズクラブ)賞グランプリは、山崎隆明氏(電通関西支社)の「水性キンチョール/つまらん(大日本除虫菊)」が受賞しました。

山崎氏は今回リクルートホットペッパーの一連の作品でもTCC賞を受賞されていますが、それに加えて、自然に優しいうんぬんという説明を大滝秀治が「つまらん」と一喝する水性キンチョールのCMでのグランプリ受賞となっています。キンチョー(大日本除虫菊)のサイトで本CMと企画意図を見ることができます。

私のようなものが批評するのもおこがましいのですが、TCCというコピーライターの賞でこのCMがグランプリをとったのは、表層的な環境メッセージに対する「つまらん!」という言葉の発見にあるのではと思っています。

しかりつけ、しかもそれをメッセージとして心に残すということは、日常でも並大抵な言葉の選び方ではできません。この場合「わかりきっとる!」でも「うるさい!」でも「うそくさい!」でもなく、やはり「つまらん!」だからこそ成立するのだと思います。また同じつまらないでも、この意図を伝えるのに女子高生が「つまんな~い!」という状況ではないはず。

作詞作曲家でも詞先でつくるか曲先でつくるかはそのときによると思いますが、この企画についていえば先に「つまらん!」というコピーの発見があり、そのメッセージをどのようなシチュエーションでCMにするかという順番で作られたのではないかと(勝手に)想像しています。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2004.05.10

ユニバーサルデザイン(UD)。

最近ユニバーサルデザイン(UD)という言葉がよく報道されます。UDは1980年代に米国ノースカロライナ州立大学(NCSU)のロナルド・メイス氏が提唱したものであり、UDの定義

The design of products and environments to be usable by all people, to the greatest extent possible, without the need for adaptation or specialized design.
(改造や特別な設計をする必要もなく、最大限可能な限りすべての人々が使うことができるための製品や環境のデザイン)

とされています。

上記NCSUのサイトで定義されている「UDの7つの原則」とその例について、三重県のサイトが分かりやすい解説をしています。ここではユニバーサルデザインの7つの原則とは


1. 誰にでも使用でき入手可能(公平性)
2. 柔軟に使用できる(自由度)
3. 使い方が容易にわかる(単純性)
4. 使い手に必要な情報が容易にわかる(わかりやすさ)
5. 間違えても重大な結果にならない(安全性)
6. 少ない労力で効率的に、楽に使える(省体力)
7. アプローチし、使用するのに適切な広さがある(スペースの確保)

と翻訳しています。

UDは、身障者用、外国人用などを「最初から区別せずに」商品開発や街づくりをするという点で、それまでのモノ作りと考え方が違うものです。身障者は身障者用を使ってくださいというものではなく、誰でも気兼ねなく使えることが重要な概念となっています。

UDの考え方は極めて受入れやすいものだと思いますが、製品を作る側に立てばUDはコスト増につながる可能性もあります。しかし、トヨタ自動車が「人にやさしいクルマ作り」としてUDという考え方を世に発信しているなど、広告業界にとっても注目すべきキーワードとなっています。

もしも筆記試験やグループディスカッションのテーマなどにUDが出た場合は、「最初から区別せずに」という点が分かっているかどうかが評価の分かれ目になると思います。このblogを機会に頭に入れておいてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.09

仕事がしたい!

5月8日土曜日に30人近い04生を集めて入社祝賀会が開かれました。パーティでは大量の名刺が習ったばかりの作法で初々しく交換されていました。関東・関西出身の04生は初対面でもすっかり打ち解け、また03生の先輩や内定したばかりの05生も駆けつけてくれ、広告界では極めてまれな横断的つながりが誕生しました。

すでに現場に出ている方もいましたが、多くは研修中か仮配属でした。彼らはみな「早く仕事がしたい!」と、待ち切れない様子でした。逆にいえば初任給をもらってもピンとこないというのが実感のようです。

それで気が付いたのですが、彼らは共通して就活時期から「内定が目的ではない」という意識を持ち続けてきたのではないでしょうか。

まずやりたい仕事が先にあり、それを縁があった会社でスタートさせることが就職活動である。そのような意識が、採用担当に「彼らのいきいきと仕事をしている姿」をイメージさせたのだと思っています。

自分がいきいきと仕事をしている姿がはっきり見えている人は、明確に学生の殻から一歩抜け出した人だと言えるでしょう。内定が欲しい!ではなく、仕事がしたい!と思えるほどに広告業界の魅力を研究してみてください。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2004.05.08

セルリキ(セルフリキデーション)。

プレミアムキャンペーンはオープン懸賞、クローズド懸賞、べた付け(総付け)が挙げられますが、ちょっと変わった手法で「セルリキ(セルフリキデーション)」というものがあります。

リキッド(liquid)は英語で「液体」ですが、リキデーション(liquidation)は「清算」という意味になり、セルフリキデーションは直訳すれば「自己清算」となります。セルフリキデーションとは「プレミアムの費用を一部消費者が支払う」ことでプレミアムを得ることができる仕組みのことを言い、略して「セルリキ」と呼んでいます。電通ワンダーマンの解説が分かりやすくなっています(セルフリキデーティングプレミアム)。

プレミアムは良くても当たるかどうか分からないクローズド懸賞では最初から参加しない人も多く、またべた付けでは大したものはあげられないというジレンマがあります。セルフリキデーションは購買を前提とした(マストバイ)キャンペーンで、クローズド懸賞べた付け両方のいいところを採った仕組みです。

レアものなど消費者に欲しいと思わせるほどのプレミアムであれば、それを得るために商品も買うし自分でも多少のお金を出すという人は結構います。そのような能動的な消費者向けにはぴったりのキャンペーンといえるでしょう。過去にはペプシやサントリーなどの例があります。

とはいえ、一般消費者からお金を振り込んでもらい、購買証明付きの応募ハガキなどと突き合わせて発送するというのはオペレーティングする側としても大変であり、また応募する側もかなりコアな人を対象とするために、そう一般的な手法とはなっていません。しかし今やITが発展し、ネットショッピングやマイレージのポイント交換もできる時代になっており、工夫次第では従来よりもスムースにセルリキ方式のキャンペーンを実施できるのではないかと思います。

あなたがいままで「絶対欲しい!」と思った景品は何ですか?いくらまでならお金を出してもよいと思いましたか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.07

売上げを2倍にしてください。

面接やグループディスカッションで「○○の売上げを拡大するにはどうしたらいいか」というテーマが与えられることがあると思います(実際今年の模擬面接官の1人は学生に「弊社の売上げを2倍にするにはどうしたらいいか」と聞いていました)。無理難題のようですが、広告主のオリエンテーションというものはほとんど無理難題ばかりといってもいいでしょう。

食品メーカーの課題で「売上げを2倍伸ばす」と言われたら「日本人に1日6食の習慣をつける」といった乱暴なアイデアから発見できる戦略もあると思います。実際、カップめんは、昼食や夕食に食べられていた袋めんと違う「間食・夜食」というマーケットで拡大していきました。また味の素はフタの穴を大きくして消費量を伸ばしたという伝説がありますが、これもあながちウソではないと思います(これはアップセルでしょうか)。

先に書いた「アップセルとクロスセル」および「垂直展開と水平展開」という考え方は、売上げを2倍にするといった無理難題に直面したときのヒントになると思います。必ずしも広告表現やメディア展開(現場の反省から言えば昨今のコスト効率論)といったことではなく、消費者に受け入れられる売上げ拡大のための本質的なアイデアを大きな視点から出せるかどうかが、広告主からパートナーとして指名されるキーになるのではないでしょうか。

面接などでこのような無理難題を投げかけられたら、「アップ/クロスセル・垂直/水平展開」という言葉を思い出してみてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.06

垂直展開と水平展開。

アップセル・クロスセルより大きい概念として、垂直展開・水平展開という言葉があります。

垂直展開とは現在もっている技術やブランドをさらに深化させ、そのジャンルでより強固な地位を確保することです。この代表はCPUメーカーのインテルといえるでしょう。インテル創業者が提唱した「ムーアの法則」はマイクロプロセッサにも当てはまると言われますが、実際は厳しい競争下の不断の垂直戦略によって自ら成し遂げてきたものといえるでしょう。

一方水平展開とは現在もっている技術・ノウハウやブランドを他のジャンルに転用し、より幅広い市場で利益を上げていくことです。この代表はアマゾンに他なりません。アマゾンはまずはオンライン書店として創設され、ITを活用したCRMで絶大なる顧客満足と巨大な市場と得ました。そしてそのノウハウを書籍以外の商品にも拡大し、世界最大のネットショッピング会社となりました。

アマゾンがbook.comのような安易なサービス名にしなかったのは、当初から総合ショッピングサイトとしてのブランド化をねらっていたからだと言われています。これが本当だとすれば、そのビジョンの壮大さには感嘆せずにはいられません。

最近では2003年7月にDell Computer Corporationが社名をDell Incに変更しています。これもコンピュータ以外に液晶テレビPDAなど他のジャンルも扱っていくという「水平展開」のためだと考えられます。

強固なブランドにとって水平展開は極めて魅力的です。しかしユニクロの食品事業のように、有名ブランドだからといって必ずしも水平展開が成功するわけではありません。ソニーのように電子機器からゲーム・音楽・映画などコンテンツに至るまでの水平展開は、ただ他の市場でも利益を得るというだけでなく、同社の統合的なブランド戦略に基づく事業拡大といえるでしょう。

水平展開が成功してはじめてブランドの本領発揮といえるかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.05

アップセルとクロスセル(メーカー編)。

流通同様に、メーカーにとってもアップセル・クロスセル戦略は重要です。この考え方にもとづくと商品開発やキャンペーン戦術が見えやすくなることがあります。

メーカーのアップセルの成功例は、「500mlペットボトルお茶・水」でしょう。190mlが中心の缶コーヒー、250mlまたは350mlが中心の清涼飲料はいずれも税込み110円ですが、500mlのお茶・ミネラルウォーターは、しっかりしたフタが付いていて持ち運びに便利で保存が利き、ぬるくなっても飲めるという付加価値があり、税込み150円という価格でも多くの消費者が手に取ります。新たな需要も喚起し、価格も高く設定できたいい例だと思います(ただし輸送費が高くなるなど多少のコスト増も発生します)。

メーカーのクロスセル戦略としては、花王の健康エコナ油と健康エコナマヨネーズが挙げられるでしょう。花王の最初の食品ブランドである「エコナ」は、健康に悪いイメージの油ジャンルで「厚生労働省許可特定保健用食品(いわゆる特保)」を開発したものです。この成功を機に、2002年9月にエコナ油を使ったエコナマヨネーズを発売、特保という権威とエコナブランドをバックにキユーピー牙城のマーケットで独自の地位を確立するにまで至りました。食卓での横断的な健康戦略は後発ブランドのクロスセル戦略そのものといっていいでしょう。

商品開発自体がアップセル・クロスセル戦略になっている場合もありますが、多くは広告やセールスプロモーションの形をとります。あまり厳密な区切りはありませんが、たとえば以下のようなものが挙げられるでしょう。

・購買頻度アップ 例:山崎パンまつり

・商品幅拡大 例:ライオン「住まいの除菌清潔フェア」

商品群をもっているのはメーカー自身です。しかしメーカーは基本的に消費者個人の購買履歴をとることができません。このため、常に流通を意識した形でのアップセル・クロスセル戦略が必要だといえるでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.04

刷り込み(インプリンティング)効果。

横浜のみなとみらい線が2004年2月1日に開業、横浜で東急東横線と相互乗り入れし、渋谷から元町・中華街までが直通運転となりました。開業当日のパブリシティも相当なものでしたが、私も本日ひさびさに中華街を訪れ、莫大な人数が元町・中華街にごった返しているのを目の当たりにすると、東横線との乗り入れが大きく影響していることを実感しました。

なにせ東急東横線の下り表示はほぼすべて「元町・中華街行き」と書いてあり、車内アナウンスでも元町・中華街を連呼しているのです。東横線で通勤通学する人だけでなくたまたま利用する人も行きか帰りかのいずれかに必ず「元町・中華街」という言葉に接します。

「そうだ、京都行こう」と思わせるには莫大なCMが必要ですが、「そうだ、中華街行こう」と東横線の全乗客に思わせるのはこのまま放っておくだけでももはや時間の問題といえるでしょう。このようなことを「刷り込み(インプリンティング Imprinting)効果」といいます。

終点の名称が観光地の直接的なPRになるというのは例外中の例外です。一般にはバスや都営地下鉄のアナウンス広告のように、バス停や駅案内に付随する媒体が使われます。このような媒体はそのバス停や駅のそばにある病院や飲食店、不動産屋などが利用しますが、もともとその路線を使わない限りまず利用されない業態であり、まったくムダのない広告といえます。特に地方では今でも中心的なメディアの一つといえるのではないでしょうか。

私のような横浜「みなとみえない地区」の住民までが連休を利用していっせいに中華街に行ったため、今年の連休は例年以上の混雑だったことは間違いないでしょう。気になったのは中華街駅の改札があまりにしょぼく、危険なぐらい人が流れていなかったということです。次回からはJR石川町から行ったほうがよさそうです(苦笑)。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2004.05.03

アップセルとクロスセル(流通編)。

ITを活用しなくとも、アップセルとクロスセルの考え方は重要です。スーパーなどの小売業は、アップセル・クロスセルを念頭に置いた売り場をつくります。

大規模小売店は本質的に「クロスセル」に強みがあります。今晩のおかずから季節行事まで、幅広い品揃えを武器にショッピング自体を提案します。献立提案では、コアの特売品の周辺に比較的安定価格の食材を並べるといったことで利潤をある程度保つこともできます。

またレジ横でも、タバコ、電池、ガム、祝儀不祝儀袋など「あ、それ買っておこう」と思わせる商品を置き、手にとらせます。トイザらスではレジ横にアイスクリームやポケモンカードなどのちょっとした商品を配置しており、レジ待ちが長くなればなるほど追加で買うアイテムが増えていきます(苦笑)。

小売業のアップセルは、メーカーとの連携によって実施されます。特に食品のように1人あたり原則として1日3食しかないマーケットでは、より単価が高く利益額が大きい商材が求められます。カップめんの高級化は、コンビニやスーパーの「アップセル」ニーズに応えたものだといえるでしょう。

実際は小売業では「上位商品へのスイッチ(アップセル)」より「同じ商品のまとめ買い促進」が中心になります。しかしまとめ買い促進は実質的には「値引き戦略」と同じです。スーパーは現金客がほとんどであり、チラシを見て特売日に買う客が多いため、CRMのような両者の信頼関係を構築するのは極めて困難といえます。

小売店も各種ポイントカードなどを発行していますが、事実上ポイント還元プログラム、すなわち値引による囲い込みのレベルを脱していないと感じています。きっと現時点では価格戦略以上に日々の戦争を勝ち抜く切り札がないのでしょう。小売業がCRMで大成功するためにはどのようなブレイクスルーがあるのか、広告業界が大いに取り組みべきテーマだと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.02

アップセルとクロスセル。

マーケティング用語にアップセルとクロスセルという言葉があります。アップセルとは既存顧客に「より上位のもの」を購入してもらうこと、クロスセルは既存顧客に「別な商品」も購入してもらうことを意味します。これらは購買履歴データベースを活用したCRM(Customer Relationship Management)の基本的な考え方です。

自動車販売はアップセルの代表的な例です。顧客が最初に購買した車を車検や定期メンテナンスでリレーションを保ちつつ、より上位の車の購入を勧めていく、という手法です。下取りも上位車を購入する上でとても効果なビジネスといえるでしょう。

クロスセルの代表は「ご一緒にポテトもいかがですか?」のマクドナルド、といいたいところですが、年中誰にでも定型的に勧めるという点ではCRM上のクロスセルとは言いづらいでしょう。

クロスセルの成功例は、オンラインショッピングサイト「アマゾン」が挙げられます。オンライン書店としてスタートした同社は、顧客の希望する作者やシリーズの新作が発売されると個人宛にメールで「連絡」します。同時に購買履歴から趣味志向を把握し、同じジャンルやその顧客が好みそうなジャンルの新作が出れば、顧客にそれらを「レコメンデーション(推薦)」して購買を促進(クロスセル)していくのです。

書籍という分野は積極的な推奨活動で興味を喚起できればいくらでも購入につながる可能性があります。この点で同じCRMでも自動車や生命保険のように長期的で高額商品分野に比べ短期的に収益を上げることができます。

パレートの法則は2割の優良顧客が8割の利益を創出しているとしています。しかし特にITを活用したone to oneのコミュニケーションで残りの顧客層のアップセル・クロスセルが可能になれば、優良顧客の層が厚くなり、効率的に利潤をあげることができるでしょう。

既存顧客になっていない人々を獲得することはマス広告の重要なミッションですが、一旦獲得した顧客はCRMによりアップセル・クロスセルをかけていく。これも私たち広告業界が提案しなければいけないことです。必ずしも媒体を売ることだけが広告代理店の役割ではありません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.05.01

IPO。

本日「Google がついに IPO 申請、調達規模は27億ドル 」と発表されました。

IPO(アイピーオー)とは新規株式上場のことをいいます。これは Initial Public Offering の略であり、直訳すると「(株式の)最初の公衆への提供」となります。

一般に株式とは株主が会社に資金を提供する代わりに譲渡される有価証券のことを指します。非上場企業の株式であれば出資金額に応じて年に1、2度配当(インカムゲイン)をもらうことで利益を得ますが、上場企業になるとその株式自体が高い流動性をもつことになり、株式の売買による利益(キャピタルゲイン)を得ることができます。資本金は企業にとって返済する義務のない金であり、株式を上場するということはいわば札束を刷っているようなものといえます。

しかし上場するということは、IPOの意味するとおり「社会から」広く株式を買ってもらうということであり、会社は社会的な責任をもつことになります(上場することは英語でgo publicともいいます)。そのためには利益を創出することだけでなく、財務状況の公開・健全性の確保、法律遵守(コンプライアンス)などが求められます(事実Googleは上場発表前には売上情報などは完全非公開でした)。

株式を公開することで莫大な資金を調達し創業者や役員は大きな売却利益を得る一方、文字通り社会的な存在となり創業者の勝手にはできなくなる。アメリカはこのトレードオフがはっきりしています。

一方日本では昔からの上場企業はたいていは大口の安定株主が存在し、取締役会の定めた役員人事を安定株主が中心になって承認します。このような実態もあり、日本語の「上場」という言葉自体に「社会的な存在になる」というニュアンスが少ないような気がします。

米国Googleのリリース
国内外広告関連上場会社株価情報

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2004年4月 | トップページ | 2004年6月 »